映画『間宮兄弟』(2006)の感想
映画『間宮兄弟』を見た。監督・脚本は森田芳光で、間宮兄弟を演じるの佐々木蔵之介と塚地武雅、2006年に公開された日本映画だ。
穏やかな世界を生きているように見えるが、女の子にアタックして撃沈したり、ヤクザに絡まれたりと、それなりに事件が起きていく。兄弟は互いを思いやっており、女性と付き合いたいと思いながらも、今の生活を壊してもいい、脱してもいい、とまでは思っていないので、大きなドラマにはならない。小さな波はあれど、命を揺さぶるような出来事は起こらない。
2006年公開当時、ほのぼの系映画と評価されていたのかどうかは知らないのだが、2021年の視点だと「牧歌的」「のんきだなあ」と思ってしまった。うっすらとした絶望も、正直なところ、見えなかった。おそらく、15年後の今のほうが貧しく、行き詰った社会になっているので、あまり好意的に見られなくなっているという観客(わたし)の問題ともいえる。
対比的に配置されている本間姉妹は、姉を沢尻エリカが、妹を北川景子が演じており、その豪華さと美しさに圧倒される。確かに、この二人が姉妹なら、納得してしまうかもしれない。沢尻エリカのアルバイト先がレンタルビデオ店というのも、ノスタルジーを感じさせるポイントになっている。(そして、この配役は、おそらく二度と見ることができない、という点でさらに貴重だ。)
間宮兄弟のお母さん役が中島みゆきであることも、びっくりポイントだった。常盤貴子も、美しいが、地味な役をまっとうしている。
江國香織の原作小説を読んだら、また印象が変わるかもしれない。
2021年は、森田芳光監督の没後十年にあたる。本当に時が経つのは早い。
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