Excelがまったくできなかった
かつて、わたしはExcelがまったくできなかった。関数? って何だよ。Excelは顧客名簿表ぐらいに思っていた。Wordで作るのと大差ないぐらいの感覚であった。そして、Excelができるだけで偉そうにしていた同僚(主に男性)たちが不可解であった。自分たちは文明人であるかのようにふるまい、猿のように扱われ、大変不快だった。たかがExcelではないかと思っていた。
ただ、あるプロジェクトの責任者をやることになり、膨大なデータの数値をまとめる必要が出てきた。これを手作業でやっていては一生終わらないことだけはわかった。業務上の必要に迫られて、しぶしぶ勉強を始めた。はじめは偉そうな同僚から教えてもらったりしていたが、あるときから、Google先生に聞いた方が全然わかりやすいことに気付く。関数の仕組みを理解できてからは、独学で初級の関数は大体わかるようになり、この数値を出すためには「〇〇と✕✕の関数を組み合わせればいいか」と頭に浮かぶようになってきた。仕事が一瞬で終わることもわかった。マクロは組めないが、Google検索でコピペで使える場合は使ったりもする。「これ関数がありそうだな」とあたりをつけて、Google検索で知りたい関数にたどり着けるようにもなった。
自分がいまだに入門レベルだということはわかっているのだが、Excelで何ができるのかを理解できていると、仕事のスピードが違うことは確か。Excelが使えていない人が出す数値のまとめは要領を得ないし、元のデータからどう集計したのかプロセスが見えてこなかったりする。Excel以前に、なぜデータを集計して数値を出すのか、ということが当人の中で整理ができていない場合は、何が何だかわからない、謎の報告タイムを過ごすことになる。
しかし、無駄に高圧的だった同僚たちの嫌な記憶があるので、Excelが少しできるぐらいで偉そうにしないようにとても気を付けている。今の時代だとYouTubeでも勉強できるので、苦手意識のある人は、まず仕組みを知るのもいいかもしれない。わたしはExcelができるようになるまで、セルの役割がわかっていなかった。
この動画はあとで見てみようと思っている。
Pythonで機械学習とかやるような時代なので、何をいまさら、と思うかもしれないが、まだよくわかっていない、という自覚がある人は少しやってもいいと思う。時短になるのと同時に計算間違いをしないので正確な数字が出せるようになる。入力ミスしたところを直したり、新たなデータがきたとき、数値を追加して範囲を変えるだけなので時間がかからない。他人のExcelを見たとき、何をやったのか(やっているのか)をすぐに判断できるのも心理的な負担を減らしてくれる。
Excelなんかできなくてもいいと思っていたが、できると楽になる。これは本当の話。ただ、勉強を始めたころは、言い知れぬ不安というか、わけのわからぬソフトに苦しめられているような感覚があった。
ちょっと何かができるからといって、偉そうにするのはやはりよくない。できない自覚がある人の反発をくらうだけだ。彼らは反面教師でもある。
Excelの使い方がいまいちわかっていない人は、集計作業に半日ぐらいかけて時間を浪費していると思わないでもないが、それを指摘するのは上席の仕事なのでわたしは黙っている。自分がやることになると、仕事が増えるだけなので黙っている。もちろん、フラストレーションは溜まるし、わけのわからない数値を見せられる会議の時間は無駄だと思うが、黙っている。
ただ、Excelは転職先でも必ず使えるので、何だかんだで汎用性の高いスキルと言えるかもしれない。何より、Excelに対してビクビクせずに済むことが、精神衛生的に良いと思う。