終業時間後に休日出勤命令される
終業時間が過ぎ、わたしは電車の中でぐったりしていた。外勤を終え、明日はやっと休みだと一息ついているところだった。会社のSlackをチェックする義務はないのだが、念のため、見ておく。ボスからの新規メッセージがある。
そこには、「明日の午前中に在宅勤務でいいから、○○に対応してほしい」とあった。休日出勤には従わないと、解雇理由にもなるらしい。ただ、翌日、というか二十四時間切っているところで依頼するのって、さすがにひどすぎないか。
ワーカホリックになったところで報われないことはわかっているので、代案を出して断りを入れる。それに翌日に在宅勤務をしたところで、何とかなるような案件でもなく、今更やって何か意味ある? という類の仕事であった。ほかの人のシフトに合わせて会議をするための休日在宅勤務なんかしたら、休みは休みでなくなる。仕事の頭になったら、休日として機能せず、ダラダラ仕事をすること必至である。
結局、代案で何とかなったのだが、これって独身だから言われているんだろうな、という気はした。家庭がある人には言わないだろう。わたしに休日出勤を命じた時間帯は、指示をした当人も休んでいるのだ。え、何なの?
独身社員は会社に滅私奉公して当然という空気感はあらゆる会社で横行しているのだろう。そして、その休みは休日出勤を断ったことにより、一日中、モヤモヤが募り、全然楽しくなかった。
会社は過労死しても、鬱になっても、何の責任も取ってくれないのだから、そこまで尽くすような対象ではない。つうか、人間の献身というのは、ろくな結果を生まない。家族や恋人に尽くしたところで、相応のお返しなどない。適当に余裕があるときにだけ、やればいい。
こういう違和感がふりつもると、信頼関係にもヒビが入る。そのうえ、わたしは困ったことに忘れない人間なのだ。
まあ、断れたこと自体が、わたしにとっては大きな一歩だったかもしれない。