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映画『Reframe THEATER EXPERIENCE with you』(2020)の感想

Perfumeの映画『Reframe THEATER EXPERIENCE with you』を映画館で観てきた。

はじめに断っておくが、私は、それほど熱心な(熱狂的な)Perfumeファンではない。新譜が出て試聴して、気に入ればダウンロードするし、何かが違うと思えば、深追いはしない。ただ、応援したいという気持ちはあるので、一票を投じるような気持ちで映画館に行ってきた。

彼女たちがプロフェッショナルかつ努力の人であることは、まごうことなき事実である。彼女たち自身が、Perfumeを誇りに思っていることは、熱心なファンでなくともよくわかる。

あんなヒールで、ふくらはぎにあんな筋肉をつけて、踊り続けるなんて並大抵のことではない。鋼の有機的な肉体で、無機的なテクノポップの世界を泳ぎ続ける彼女たちは、本物のアスリートだと思う。

私がPerfumeに惹かれるようになったのは、曲だけではない。ポリリズムでブレイクした頃、あ~ちゃんが、広島のアクターズスクール時代を振り返り、「のっちは一軍だったけれど、私とかしゆかはそうではなかった」とぶっちゃっけて言っているところを見てからである。

十代の女の子が「私はアイドルだが、自分が可愛くないことを知っている」とはっきり言うさまは、爽快であったが、同時に苦しくもなった。容姿を揶揄されることは頻繁にあったのだろうし、それに幾度となく傷ついたのではないかと思うと、胸が張り裂けそうな、そんな気持ちにもなった。

あ~ちゃんは、歌もうまいし、トークもうまい。頭の回転も非常によい。彼女の知性が、彼女自身を苦しませたこともあるだろう。

『Spending all my time』リリースのときは、中田ヤスタカに対して、「海外リスナー向けに英語詞を書いているのかもしれないが、私たちと日本のリスナーのことはちゃんと考えているのだろうか」というような趣旨のことを話しており、驚いたことを覚えている。プロデューサーとコミュニケーションが少ないのか、あえて公で発言しても揺らがない関係性なのか、理由はわからないが、思っていることを正直に話す彼女がさらに好きになった。(事実誤認していたら、すみません)

ただ、これがライブ映像として一級品かというと、そこまでではない、というのが正直なところである。ライブの客席が着席という制約もあったせいか、高揚感が足りない。

国歌斉唱のような『VOICE』に感動したりもしたが、映像技術よりも、もっと爆音や重低音で、ドキドキしたかった。

再度、注釈を加えると、私は音楽ライブも、歌番組も、ライブDVDも苦手である。音楽は好きなのだが、何か作業をしながらとか散歩しながら、聞くのが好きなので、それだけに集中しろ、と言われると、途端に退屈してしまう悪癖がある。フジロックとかサマソニとか、絶対に我慢できないと思う。

なので、私の意見は参考にしないでいただきたい。

2019年の年の瀬は、『再生』をずっと聞いていた。

あと、いまだに『ねぇ』の高速ステップが大好きだ。あのステップをしている彼女たちをバストショットで撮影していた某音楽番組のカメラマンの良識をいまだに疑っている。

消費することとは、つまり、選択するということで、票を投じるのと同じことになりつつある。そういう意味では、私はこの映画を観に行くべき人間で、この選択に非常に満足している。


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佐藤芽衣
チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!