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飲み会からの逃亡

先日、こんなつぶやき記事を書いた。

昔の知り合い、というのは、昔、派遣で働いていた会社の人で、その会社の部署のパーティーをするから来ないかというお誘いがあった。

その会社は一部上場企業で、正社員はほとんど辞めないようなホワイト企業。当時のわたしは生活のためだけに、その会社で週に4日、一日5時間の労働をしていた。時給はわりとよかったのだが、きつい仕事なので非正規社員の離職率は高かった。わたしは結果的に4年近く働いていたのでメンバーとしては認められていたということなのだろう。

(その仕事だけでは収入は足りず、ほかに三つぐらい、こま切れの仕事を掛け持ちをして、結局、週7日働いて年収200万円ぐらいの地獄だった。経費の控除もできない非正規労働者は損をするばかり。そのような人々が税収を支えていることを最近のニュースで知り暗澹たる気持ちになった。金のない人間からの税収を当てにしないでほしい。そういう層が増えているから、取らないわけにもいかなくなっているのだろうけれど)

当時の同僚たちのことは基本的に好きだ。正社員の上司たちも、大体は責任を持って仕事をしていたし、同じ立場の非正規社員も複数の仕事を掛け持ちしながら、それぞれの目標に向かって頑張っていて、職場の雰囲気も良かった。

誘われた直後、すぐに返事はできなかった。会いたいような、会いたくないような…、と逡巡していた。行ったら楽しいかもしれない、と思い直して、「行きます!」と返事をした。返事をしたものの、その日から、どうにもこうにも憂鬱。憂鬱すぎて行けなくなった理由を考え始める始末。

ChatGPTに相談したら、「体調不良が理由だと相手も気分を悪くしないと思うよ」という普通のアドバイスをちょうだいする。サンキュー、ChatGPT、それでいく。そんなわけで、飲み会の3日前に断りのメールを入れた。結局、飲み会から逃亡してしまった。

社交的でオープンマインドな人間に生まれ変わりたい、自分を変えようと思っていたのに、急に面倒くさくなってしまった。その飲み会のために残業せずに仕事を切り上げて、急いで電車に乗り、お土産を買って、駅ビルのトイレでメイク直しをして、飲み会の場で近況の話をして、という工程の多さに、脳と体が拒絶反応を出したのだ。おそらく行けば楽しかっただろうし、みんなの近況を行けばリフレッシュにもなり、学ぶことも多かったはず。なのに行かなかった。

行きたくなくなった理由を自分なりに考えると、二つあった。

まず、この会社は安定しており正社員の離職率は低い。とはいえ、子会社や下請けはそれなりに大変。大企業の正社員は特権に守られて安定しているから、ある意味で変化のない日々に退屈している。定年退職までの道はそれなりに長い。だから、外から入ってきた人たちは、彼らにとっては物珍しく、刺激となる、ちょっとしたペット的な存在なのだ。正規メンバーではないから、競争相手でもなく、脅威にもならない。正社員だけだと毎度同じ面子になるので閉塞感もあるから誘われている感がぬぐえない。ただ、彼らはそんなことを意識すらしたことがないような善人である。「俺たち仲間だよな」とか恥ずかしげもなく言えてしまう。(中学から大学まで、首都圏の私立一貫校に行っていたような裕福なおうちの人たちが多い。そういう人の方が出世して、地方出身の国立大出身の人の方が要領が悪く出世もしていなかった。文化資本というものを目の当たりにした)

次に、非正規社員として働いていたからこその汚れ仕事もあった。気がきかない正社員が、わたしの範囲外の仕事を押し付けてきた上に、ぞんざいに扱い、捨て駒にされた。それに対してブチ切れてしまったことがある。収入が途絶えてもいいと決死の覚悟で怒りを表明した。当時、怒りで1週間ぐらい40℃の熱が出ていた。(心身のバランスが悪すぎる)

社内ではその社員の対応はまずかったいう結論になり、偉い人が数人、末端のわたしに頭を下げてくれたのだが、その対応を今振り返ると、裁判できたのかもしれないとも思う。そんなわけで、飲み会に行ったら怒りがぶりかえすような気もしてきた。

わたしは嫌な過去の出来事を昨日のことのように覚えているたちなので、「そんなことありましたっけ? 忘れっちゃった」なんてかわいいことは言わない。「まず、ここであなたが動くべきだったのに無関心で放置したから問題が起きて、それをわたしの責任にしましたよね。時給で働いてボーナスもない非正規のわたしに。わたしは、まだあなたのこと許してませんから」とか、滔々と素面で話し出しかねないと思った。わざわざトラウマを蘇らせたくなかった。(つうか、すでにトラウマがありありと蘇ってしまっている笑)

我ながら、生きづらい人間だと思う。ただ、なかったことにはできないし、思い出話に花を咲かせるのも、なんか嫌だったのだ。もちろん、苦労をともにして、思い出を共有している人たちではあるし、生活を支えてくれたことには本当に感謝もしている。でも、今、行ったところで疲れるだけじゃん、という結論になり、動けなかった。もっとあっけらかんと生きられたら良かったのだけれど、なかなか難しい。

(ネットワークビジネスとか始めていたら嬉々として参加したと思うが、そういう動機でもない限り、行けないのかもしれない。まあ、そもそも飲み会とか集団行動が嫌いで就職していなかった時期もあるぐらいなので、それも原因の一つだ)



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佐藤芽衣
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