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回顧録#03 (妊娠13週) | MBA新学期と妊婦健診

MBAライフと妊婦ライフを開始し、あっという間に1か月経ち、10月になりました。
(2022年のMBA受験を経て、2023年3月に合格。2023年9月にIESE入学。プロフィールはこちら

MBA&マタニティライフ

入学から1か月が経ち、毎日バタバタと忙しいものの、徐々に学生生活のリズムが整ってきました。また、この期間に、スペインの病院や保険の仕組み、妊婦健診についても調べ、概要が把握できるようになりました。

「MBAの1日って、実際どんな感じなの?」、「スペインで、病院はどうしたの?」と聞かれることが多いので、今回の記事では、①MBA 1学期の日常と、②スペインにおける妊婦健診についてお話しします。


① MBA 1学期の日常

優先順位(何を選び、何を諦めるか)

1学期のお話に入る前に、入学オリエンテーションで紹介された三角形(トリレンマ)についてお話します。

忙しいMBAライフでは、トリレンマ(3つのうち2つしか選択できず、残りの1つは諦めるしかない状況)に直面し、「学業・遊び・睡眠」のどれかを諦めなければならないと言われています。入学時、大学側からは「ぜひ学業を優先してほしい」というメッセージが学生に対して伝えられました。

MBAのトリレンマ

このトリレンマの話を聞きながら、普通の学生であれば「2つを選択して、残り1つを諦める」ところですが、妊婦である私はリソースが限られており「1.5を選択して、残り1.5を諦める」くらいの覚悟を持った方がよいなと思いました。

妊娠中は十分な睡眠が大切なので、優先順位を「睡眠→学業→遊び」とし、学業については、まずは進級・卒業に必要な最低限のレベルで頑張ることを目指すことを決めました。

ただ、下位10%には必ずC評価が付くという厳しい成績評価システムの学校であり、その必要最低限のレベルですら簡単ではないことを覚悟しました。。。

IESEの評価システムは相対評価で、大きくはA10%、B80%、C10%に分けられます。このうちCを1学期中に3つ取ると面接、年間に6単位取ると追試と面接があり、改善が見られないと放校もあり得る

IESE 日本人在校生HP

1学期の授業

年によって多少の異なるかもしれませんが、私の学年では1学期は9月から12月中旬までの約3.5か月間で、以下の授業がありました。

  • ANALYSIS OF BUSINESS PROBLEM

  • FINANCIAL ACCOUNTING

  • CAPITAL MARKETS

  • COMMUNICATION

  • DECISION ANALYSIS

  • LEADERSHIP

  • MARKETING MANAGEMENT

全て必修科目で、同じ教室・同じメンバー(約70名から成るセクション)で受講するため、大学というより高校に近い部分もあるなと感じました。

一日の流れ

以下は実際の時間割で、75分の授業が3コマあります。

  • 08:30-09:15:チームミーティング

  • 09:15-10:30:授業 ①

  • 10:30-11:30:休み時間&チームミーティング

  • 11:30-12:45:授業 ②

  • 12:45-14:00:昼休み

  • 14:00-15:15:授業 ③

授業全体の80%はケースメソッドが適用されており、「個人での予習チームでの議論授業での議論」の3段階で設計されています。

チームでの議論に関して、私のチームでは、8:30~のチームミーティングで授業①のケースを議論し、10:40~のチームミーティングで授業②および③のケースを議論していました。

※ ケースを用いた授業の雰囲気や、授業以外の時間の過ごし方については、大学のブログに情報が掲載されていたので、ご参考に以下に載せておきます。

ケースメソッドは、ケースの主人公として意思決定を重ねる中でグローバルリーダーに必要な意思決定能力を開発することを目的とし、授業全体数の80%程度に適用されています。

多様性溢れる学生の意見を踏まえた議論に化学反応を生み出し、学生の学びを深めるための「指揮者」として教授が存在します。したがって、授業では、各学生の積極的参加が強く求められ、実際に、科目によって差はあれど、全科目を平均すると、約40%の成績評価が、授業への参加、具体的には個人の発言の量と質で決まります。

75分×3コマの授業以外に、ケースを個人として読む時間(1ケース目安2時間)、課外活動、キャリア活動なども発生するため、1年目は特に多忙な日々を送ることになります。

IESE MBAプログラム

私の平日のスケジュールとしては、7:45に自宅を出発し、8:30頃に大学に到着。15:15に授業が終わった後は、チームでの課題や、翌日の授業の予習などをし、17~18時頃に帰宅することが多かったです。

夜に予定がないときは、自宅で夕飯を食べ、予習の続きをして0時頃に就寝。一方、友人とのディナーやイベントがあると、集合時間が20時以降に設定されていることが多く、帰宅が早くて0時。夜に予定を入れると、睡眠時間が不足しがちになるため、夜に予定を入れるのは週に2回くらいまでとマイルールを設けていました。

授業がない日

1学期の期間中、毎日授業がびっしり詰まっているわけではなく、キャリア関連のイベントやセミナー、チームビルディングの日もあり、それが良い息抜きになっていました。
例えば、月~金までフルで授業がある忙しい週の後、翌週の3日間はキャリア関連イベントが開催されるなど、授業がほとんどない週もありました。また、週末や祝日も含めて小休憩を取れる機会がちょこちょこあったのはありがたかったです。

体力のある人が多いのか、授業のない平日や週末を利用し旅行に出かけたり、翌日に授業がない日は、朝までパーティーを楽しむ人もたくさんいました。(私は、そのような体力のある人の真似はせず、のんびり過ごしていました)

自分スタイルの余暇の過ごし方

平日夜、特に予定があるわけではないのに友人からのお誘いを断るときや、パーティーがこれから盛り上がるというタイミングで「もう帰るね」と先に帰るとき、「もっと遊びたいなぁ」という気持ちがあったのは事実です。
特に1学期前半は妊娠中であることを友人には伝えていなかったため、「付き合いが悪い人」と思われていたかもしれません。

ただ、夜更かしをしなかった分、週末や授業がない期間の昼間に気の合う友人と少人数でランチを楽しんだり、自宅でホームパーティーを企画したりして、私なりの楽しい時間を過ごすことができました。

早い段階で自分のリソースを見極め、何を諦めるかを心に決めておいたことで、FOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)を最小限にし、無理のない範囲でMBAのソーシャルライフを楽しめたのではないかと思います。

② スペインにおける妊婦健診

公立病院 or 私立病院

まずスペインでは、公立病院か私立病院かに大別されます。日本では、どの医療機関でも公的保険を使った医療を受けられるため、これまで公立・私立病院の違いを意識したことがなく、スペインの医療制度を理解するのに時間がかかりました。

※バルセロナで医療通訳をされている下山さんのホームページに、スペインの医療の仕組みがわかりやすくまとめられており当時参考にしました

公立病院 (Público)
殆ど全ての住民が義務として国民健康保険に加盟。保険証さえあれば無料で医療を受けることができる。※無痛分娩・帝王切開含め出産費用は無料
ただし、対象患者が多いため、検査・手術などの実施までにしばらく待たされるケースがある

私立病院 (Privado)
プライベート医療保険に加入している患者が対象。未加入でも、医療サービスを受けることができるが、医療費・入院費などはすべて自己負担

バルセロナ 医療通訳:スペインの医療を参考に筆者まとめ


私の場合、MBAの学費にプライベート医療保険が含まれており、私立病院の選択肢がありました。とあるブログで「公立病院で出産した場合、相部屋もありうる」と読んだこともあり、迷わず私立病院にしました!

スペインでは無料で医療を受けられる公立病院があるため、私立病院には外国人が多いのかな?と想像していたのですが、実際にはスペイン人が大半でした。
(受付はほぼ英語が通じず、医師や看護師も人によるという感じでで、外国人の患者に慣れているわけではなさそうです)

公立病院は手続きが面倒で時間がかかり、予約が取りづらく、医師が選べないなどの理由で、経済的に余裕のある人は、プライベート医療保険に加入し、私立病院を利用しているとのことでした。


妊婦健診スケジュール

以下の流れで、妊婦健診を受けました。

妊婦健診スケジュール
09週目:初診(エコー)
13週目:健診①(エコー)
17週目:健診②
21週目:健診③(エコー)
25週目:健診④
29週目:健診⑤(エコー)
34週目:健診⑥
36週目:健診⑦(エコー、NST)
38週目:追加*の健診(エコー)
40週目:健診⑧(エコー)

*当初予定されていなかったものの、36週目の健診結果を踏まえ、医師の判断で追加

日本の標準スケジュール(厚生労働省推奨)は、「妊娠初期~23週:4週間に1回、24~35週:2週間に1回、36週以降:週1回」です。
一方、スペインでは、週数に関係なく4週間に1回程度の健診であり、加えて毎回エコーがあるわけではありません。

例えば、エコーのある健診⑤(29週目)と健診⑦(36週目)は、約7週間も空いています。日本の産婦人科に通っていれば、その週数であれば2週間に1回はエコーがあるはずで、日本と比較してスペインはエコーの回数が極端に少ないように感じました。

全ての健診でエコーがあると思っていたので、「久々にエコーで赤ちゃんが見られる!」と楽しみにしていた健診で、心音を確認後に担当医と少し話をして、「今日はこれで終わり!また来月!」と言われたときは、ガッカリしました。(笑)

病院に関するスペインと日本の比較

次に、妊婦健診を通して、私が感じたスペインと日本での病院の違いについて共有します。

3つの違い ※完全な主観です

  1. キャッシュレス&自己負担なし

  2. 分業体制

  3. デジタル化

  1. キャッシュレス&自己負担なし
    日本では、保険診療の医療費負担は原則3割で、自己負担分は病院窓口で支払うのが一般的かと思います。

    一方、スペインでは、プライベート医療保険を使って私立病院に行く場合、適用対象の外来・治療・入院・手術・分娩は全額保険でカバーされ、また、保険会社から直接病院へ支払われるため、基本的に、病院での支払いが発生しません。また、公立病院に行く場合も、費用は全額税金でカバーされるため、病院で費用を徴収されることはありません。

  2. 分業体制
    血液検査は病院ではなく附属ラボで実施され、エコーを含めた各種検査は検査技師が担当し、医師は担当技師のレポートを確認するなど、分業体制がしっかりしているなと思いました。

    患者視点では同じ人に診てもらえる安心感はあるものの、医療機関視点では業務効率が良く、しっかり休みが取れて働きやすそうだなと感じました。
    ※総合病院ではなく開業医の診療クリニックの場合は、同じ医師が全て担当することが多いようです。

  3. デジタル化
    病院によるのかもしれませんが、私が妊婦健診で利用していた私立総合病院には、妊婦健診アプリがあり、エコー写真・動画、検査結果など全ての情報が一括管理されており、アクセスが容易でした。
    また健診予約も、毎回毎回取るわけではなく、初診後に、妊娠週数に応じた健診一覧表が自動作成される仕組みで、効率の良さに驚きました。
    ※自動予約された日時が都合が悪い場合は受付で変更可

    妊婦健診とは別件で、公立病院にもお世話になっているのですが、その公立病院にも患者専用アプリがあり、予約管理や医師との連絡ができる仕組みになっています。

    なお、上記で述べた私立総合病院・公立病院ともに、アポ数日前になると、登録電話番号宛にSMSで予約リマインダーが送られ、安心でした。

    利用者目線でも便利ですし、病院受付業務の負荷軽減という点でも進んでいるなと思いました。


言葉がわからず不便なところや、スペイン的な適当さで困ったこともありますが、日本よりも進んでいるところが多々あると感じています。

番外編:スペインの低い出生率

妊婦健診時の待ち時間に、医療通訳の方とお話する中で、「スペインは出産費用が無料なのにもかかわらず、出生率がかなり低い」と聞きました。日本では少子化が叫ばれていますが、スペインの方がより深刻だということを知り驚きました。
【出生率】スペイン:1.16人、日本:1.26人、出典:世界銀行

この1.16人という数値は、子沢山な移民を含めた出生率であり、移民を含めない場合だと更に低くなるとのことでした。物価の上昇が進む一方で最低賃金は依然として低く、若者の失業率も高いため、経済的にも親元を離れられない人が多いとのこと。その結果として晩婚化・少子化が進んでいるようです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!
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