「マラマナ」を始めたきっかけ
ちょうど2年前にNoteで「マラヤーラム語を学ぼう」(#マラマナ)という題で記事を書き始め、インド最南端のケララ州の公用語で、約3800万人の母語話者を有するマラヤーラム語の単語を紹介する記事を52回(紹介した単語:169)にわたって更新してきました。ちなみに、「マラマナ」は「マラヤーラム語を学(まな)ぼう」を私が勝手に略したものです。今日は「マラマナ」を始めたきっかけと、今後の計画についてお話しします。
23年前、偶然日本にある私立高校に編入したことが、私と日本語との出会いの始まりでした。日本語をゼロ初級から勉強し、高校卒業後も、帰国して北インドにある大学で日本語を専攻し、2009年の末から14年間インドの都市、ハイデラバードにある国立大学で日本語・日本文化を専攻している大学生・大学院生を対象に日本語や日本語教育学や現代日本社会の授業を受け持っていました。国立大学には、インド各地から学習者がくるので、州立大学と違って、学習者の母語が多種多様で、授業では主に日本語を使い、必要に応じて英語も交えて説明していました。
大学はハイデラバードという南インドのテランガナ州にある都市で、現地の公用語はテルグ語です。また、西インドのマハラシュトラ州出身で母語がマラティー語の妻との共通語は、16年前にニューデリーの大学に入学後学び始めたインドのもう一つの公用語のヒンディー語だったので、生まれ育ちはケララとはいえ、大学の冬休みや夏休み等の長期休暇に2・3週間実家に帰ったときのことを除けば、日本の高校入学以来、21年間ケララに長くいることもなく、両親や高校時代の友人との会話のときにしか母語を使うことがありませんでした。
また、インプットの場合、ジャンル別を量の順で並べると次のようになります。
[読]フィクション(小説等):日本語>英語>マラヤーラム語
[読]ノンフィクション(新聞等):英語>日本語>マラヤーラム語
[聴]ノンフィクション(ニュース等):英語>マラヤーラム語>ヒンディー語>日本語
[聴]フィクション(映画等):英語>ヒンディー語>日本語>マラヤーラム語
要するに、「マラマナ」を始めようとした理由は、学生から社会人に成長していくなかで、母語であるマラヤーラム語から徐々に遠ざかってしまい、自分とは程遠い存在になっていた母語ともう一度真正面から向き合いたいと思ってからです。三日坊主の自分が52回も更新できたのも、マラヤーラム語について書くことによって、自分の母語を振り返るよい機会にもなったし、母語をよりよく理解することができたことにあると思います。
「マラマナ」も今月から月に2回のペースで更新していきたいと思っています。「マラマナ」の単語編はいったん中止し、マラヤーラム語と日本語を類型論的な観点から比較しながら紹介していきたいと思います。よろしくお願いします!