東京都のチャレンジスクールは何がすごいか〈未来の学校をつくる6〉
日本の教育は世界的にも優れていると言われています。ただし、単なる知識の獲得だけでなく、「総合的な学力」を身に付けることが課題だとされています。未曽有の事態に対応し、不確定な未来を生き抜いていくには、幅広く「総合的な学力」が必要だからです。
近年学校は、ウィルス感染を防ぐため、密集、密接、密閉を避ける工夫をしてきました。クラスの人数を減らして登校させる、通学に時差を設ける、知識はオンラインで学ぶ、先生は学びのまとめ役になるなどの工夫が始まりました。すると、多くの人が、これが本来の教育じゃないかと考えるようになってきました。
東京都の「チャレンジスクール」では、こういった新しい時代に必要な多様な取り組みが、コロナ禍前にすでに実施されていました。
たとえば…、
(1)クラスの人数は30人の少人数、授業も習熟度別や選択別で少人数。
(2)通学時間に時差を設けているので、ラッシュ時間を避け、校内の密を避けられる。
(3)検定や高卒認定やボランティアも学校の単位として認定される柔軟な単位認定制度。
(4)たくさんの選択科目を選んで自分だけの時間割を作り、一人一人が違うスケジュールで学べる。
(5)プレゼンや課題研究で総合的な学力が身に付く。…
このようにチャレンジスクールでは時代の最先端を行く取り組みが行われています。
では、チャレンジスクールとはどんな学校でしょう。
チャレンジスクールは都立高校の分類の1つで、不登校や中途退学等を経験するなど、これまで能力や適性を生かし切れなかった生徒などが、新たに目標を見つけてチャレンジする高校です。
このような生徒を受け入れるために、チャレンジスクールは次のように計画されました。
まず、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて午前部・午後部・夜間部の学ぶ時間帯が選択可能な昼夜間定時制にする。
定時制は通常4年で卒業ですが、単位制にすることで3年間での卒業も可能にする。
たくさんの選択科目から自分の進路や興味関心に合わせて自分の時間割を作ることができる総合学科の高校にする。
さらに、学力検査・調査書がなく、面接・作文・志願申告書で入学者選抜を実施する。
これが20年以上前のことです。チャレンジスクールの最初の高校は都立桐ヶ丘高校で平成12年に開校しています。その桐ヶ丘高校の計画段階でこのような先端的な取り組みが構想されていました。
当時、この学校はすごいなあと思ったものです。(そして私は平成13年にチャレンジスクール2校目の世田谷泉高校の開校要員として赴任します。当時は都立内の公募異動がなかった頃で、勤務校の校長にどうしてもチャレンジスクールに行きたいとわがままを言って異動させてもらいました。)
現在でもチャレンジスクールの理念と取り組みは最先端でかつユニバーサルなものであると思います。
私たちの学校も、チャレンジスクールの優れたところを更に発展させて学校づくりをしていきたいと思います。
(写真は改装工事中の小台橋高校)