素晴らしき哉、サントラ6:『池袋ウエストゲートパーク』
外出自粛で時間に余裕があったのが、さすがに再び仕事に徐々に時間を取られ始めたので、これからは週1くらいペースで。
そして今回のサントラは、はい、みんな大好き(?んなわきゃーない?)『池袋ウエストゲートパーク』。と正式名称を全部言うよりも、「IWGP」といった方が通じるくらいその言葉が浸透した名作ドラマ。
石田衣良氏の原作をドラマ化し、演出が堤幸彦、脚本・宮藤官九郎、主演がTOKIOの長瀬智也、窪塚洋介、山下智久、佐藤隆太、妻夫木聡、坂口憲二、加藤あい、などなどなどなど、個人的ひいきは羽沢組系氷高組の氷高を演じてた遠藤憲一さん。あと辿ってみたら、の高橋一生! いま振り返ってみればすげーキャストじゃんっ、といまだに伝説扱いされるくらい贅沢なメンツが揃ったドラマでした。全員書いてるとスペース終わるので割愛。
とはいえ私個人は、その頃が最も忙しく夜型で仕事をしていたため、リアルタイム視聴はかなわず、話題になっていたのは知ってて、そこそこすぐに深夜に再放送していた時にガッチリハマった口。夜中に次の回が待ちきれない、というワクワクを久々に感じて新鮮だった。
そして何よりも、このドラマが放映された時(と深夜に再放送された時も)、私が働いていた会社は池袋にあったのだ。ウエストゲートパークではなくサウスゲートの方だったけど、来がけにウエストゲート…ってしゃらくさい、西口の東武(が池袋なんです)に寄ってから行くこともあったりして、あまりにもタイムリー感が強く、その意味でもどうしても思い入れ強めになってしまう。
上の写真の地下通路も5万回通ってたし(夜はさすがに怖いからあんまし通らなかったけど)。ちなみに上の写真は、ドラマで使われたクラシック曲だけを集めたCDの方。
で、サントラなのですが、『池袋ウエストゲートパーク』の方は、KREVAと羽毛田丈史氏の2名が担当。デジタル音多めで無機質っぽくて不安、不安なまま疾走する、みたいな曲が、ドラマの新しさを思いっきり作ってたと思う。このドラマに音楽が一切なかったら、かなり雰囲気違うハズ(まあ他のドラマだってそうだけど、中でも特に、音楽が大きい役割を果たしてるという意味で)。それは、音楽を担当した2名のセンスプラス、それを場面にどう使うかの堤さんのセンスが凄すぎたんだと思う。ライナーノーツの中に「ノイズをBGMにしてほしい」というオーダーをした、というようなことが書いてあり、それを具現化出来た二人もすごいなーと。
先の回のどこかで、番組とまったく関係ないところで使われるようになるのが、優れたサントラのひとつの条件だと思う、みたいなことを書いたけど、この14曲目に入ってる「Side Car」が、ドラマの終わった後最もいろんなところで使われてる曲だと思う。あ、これだけ會田茂一さんの曲です。
誰かタレントの過去の話をしていて、ギャング、とかヤンキー、とかの話題の時にコレが後ろで流れる、みたいなね。安直すぎ。だけど、そのくらいバイオレンスを感じさせる曲、っていうかイントロだってことなんだと思う。
3曲目「Like This, Like That」は、ふざけてたり穏やかなシーンのほっとする時の曲ですね。4曲目の「Digi Rock Metal」も疾走感強くてカッコイイ~、確かマコト(長瀬)と電波クンが車揺らして喜んでるとことかでかかってたような…。5曲目、「West Gate Brothers」は一転してアナログな雰囲気の優しい曲。ヒカル(加藤あい)を慰めるシーンでかかってたような気が。
7曲目の「I.W.G.P. Blues」は、タイトル通りブルース調のギターが楽しい、なんかマサ(佐藤隆太)のイメージ。8曲目「Ambient Piano」は、ただただ不安な、良くないことが起きる前兆みたいな曲。9曲目、「Digi Mind」もこれぞ「IWGP」!みたいなノイズ曲。CM前の盛り上がりにも多く使われたと思う。いわゆるノイズのジャンルは、そこまで好きではないけど、この曲は短い中にその特徴がぎゅっと詰まっててすごい曲だと思う。
13曲目、「Into The Suspense」はかなりヤバイことが起きているシーンのイメージ。小雪とBrother KORNのカップルヤバかったなーとか。16曲目、「Style」もすごくこのドラマのイメージと合体しちゃってる曲。ラストの「Only One」は、確かに池袋のガチャガチャわさわさしている駅周りが目に浮かぶ。
そもそもそれまでの池袋って、渋谷、原宿、ほど若者に人気があるわけではなく、新宿までの知名度はなく、もちろん銀座や表参道の高級感とかからは程遠い、ごちゃごちゃしててオタクが集まるイメージの町だった(アニメイトとかがあるから)(在住の方失礼、あくまでイメージです)実際働いてた印象としても、便利だけど危ない人が多め、それも、見た目にハッキリ危ないのがわかる人じゃなくて、サラリーマンの恰好だけど危なそうな人が怖いぞ、多いぞ、って街でしたよ(特にその頃は深夜まで仕事していることも多かったから。たまに徹夜コースも)
だからドラマの舞台として池袋が出てきたこともちょっと驚いたし、それがなんだか新しい?カッコイイ?ってイメージになってたのにも驚いた。でも、ちょうど世紀をまたいだところで、それまでの価値観と違うカッコよさが出てきたんだ、って感じられるドラマだった。
暴力とか殺人とかエロネタとか満載で、決してお子様にオススメできる内容ではないけど、突き抜けた明るさとか爽快感みたいなものもあると思う。それを思いっきりサントラが手助けしてる、本当に幸せなタッグ。クラシックの方まで書ききれないので、とりあえず写真のみで。でもこのドラマで、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」第1楽章がトラウマになった女のコ、いるんじゃないかな…。
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