ないしょの話
手が触れるか触れないかの距離。
タバコの煙と何気ない会話。
ドキドキしているのは私だけ。
私たちは仲がいい。それだけ。
甘くて酸っぱくて苦くて辛い。
よくある話。ただの片想い。
最初は怖かった人。
少しずつ仲良くなって。
沢山話をして笑って。
一緒に過ごす時間が増えた。
だんだん当たり前になって。
気付いたら意識し始めていた。
いつの間にか好きになっていた。
夢は見ていない。
ちゃんと分かってる。
叶わないって。
私じゃだめなんだって。
でもやっぱり。
ほんの少しだけ期待してしまう。
指先が触れる回数。
私に向けてくれる笑顔。
大した用事のないLINE。
一緒に過ごす時間の長さ。
子供みたいな寝顔。
時々褒めてくれる服とメイク。
あなたのタイプじゃないのにね。
なんとも思われてないのにね。
分かってるよ
分かってるよ
分かってるよ
それでも嫌いになれなくて。
気にすればするほどに。
好きかも、が好きだ、になった。
私なんかじゃだめだよな。
でももしかしたら。
ほんの少しでも可能性があれば。
やっぱり諦めよう。
でも。でも。
毎日そんなことばかり考えていた。
顔には決して出さないけれど。
私うまくやれてるかな。
勘づかれていないかな。
あなたの言動に深い意味はない。
大丈夫それは分かってるよ。
でもほんの少しの可能性を信じたいの。
いつかちゃんと嫌いになるから。
それまでは多目に見てね。
好きでいさせてね。
もし他の誰かと幸せになっても。
応援するよ。
あなたの幸せを祈ってるよ。
なんて言えるわけないじゃん。
だって、好きなんだもん。
どうすれば振り向いてくれますか。
こっちを見て笑ってくれますか。
あなた好みの女になれば。
少しは意識してもらえますか。
少しだけ待ってよ。
私頑張るから。
だからまだ、他の女は見ないでね。
あなたの側にいたいから。
なんてさ。
思える人がよかったな。
そんなに必死になれた恋ないな。
本気で好きな人がいるって凄いことだ。
羨ましいなあ。
少しだけ寂しい、な。
私もいつかきっと、って。
思ってしまう。
ダメかな。
いいよね。
今は一人なんだから。
少しくらい幸せになっても。
だから待っててね。
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