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臨床実習の記録

こんにちは。

先日、デスクの整理をしていたら「臨床実習の記録ノート」が出てきました。

これはわたしが鍼灸の専門学生の時にとっていたノートで、懐かしくなってついつい読み入ってしまいました……。(笑)

せっかくなので!思い出に浸りながら、記事を1つ書いてみようと思います。


1.鍼灸の専門学校

わたしが通っていた鍼灸の専門学校は、東海地区の中でもかなり大きな学校の1つでした。

身体がかなりつらかった時期にお世話になった鍼灸師の先生に、「あの学校の卒業生は優秀。もし鍼灸師を目指すなら、あの学校がいいと思う」と推薦していただいたのがきっかけで調べ、家から近かったこともあり選びました。

この「優秀」と言うのはどういうことかと伺ったところ、「あの学校は、授業の一環として臨床実習をしてくれる。実際に地域の患者さんを診ることを授業の中で経験しているから、現場に出た時に即戦力になる」とのこと。

鍼灸の専門学校は3年制で、3年の卒業時に受験する国家試験の合格を目指して勉強に励みます。

わたしの母校では、1・2年生の時は解剖学・生理学などの西洋科目、経穴・東洋医学などの東洋科目、そして鍼・灸・マッサージなどの実技科目をみっちりと学びます。

そして、ある程度学力と技術が身についてきた2年生の終わりに学内の実技試験を受け、合格すると3年生から始まる臨書実習の授業に参加ができます。

臨床実習では、学校の建物の横にある附属の治療所に行き、先生の指導のもと地域の患者さまへ60分の施術を行います。

2.臨床実習の授業

臨床実習の授業は、なんと週に3回…!結構多い。

毎回授業の始めにその日担当する患者さまのカルテを先生から受け取り、前回までの施術内容や今回聞き取りすることなどの指導をいただきます。

その後、担当のベッドに行き、ベッドメイクをし、患者さまを呼び出して問診をし、60分の施術が始まります。

前回と異なる症状やわからないことがあれば、先生に報告をしてフォローをいただいたり、先生の隣につきながら施術を見る形で勉強させていただきます。

わたしが卒業するまでの間に担当した患者さまの数は約50名。

基本的には毎回違う患者さまを担当するので、学生のうちから約50人ものお身体を診させていただいたことになります。

本当に、貴重な経験をさせてただいたなと思っています。

3.臨床実習の記録ノート

施術が終わると担当した患者さまのカルテを記入し、先生に提出します。

そこで施術の振り返りを行なったり、アドバイスをいただいたりすることができます。

このカルテというのは、次の担当者へ繋ぐための記録。個人情報も載っているため、もちろん自宅に持ち帰ることはできません。

そのため、生徒は別に配られたノートに患者さまのお名前は記載せず、自分自身の施術の記録のみを取ることが許可されていました。

そのノートのメモ欄がめちゃくちゃ小さくて……。(笑)

使い物にならなかったので、わたしは自分でノートを1冊用意し、実習に入った日は必ず、忘れないうちに記録を取ると決めました。

日付、性別、担当の先生、施術内容(鍼・灸・あん摩マッサージ指圧)、患者さまの主訴、脈診や腹診の所見、筋肉や皮膚の状態。

どんな施術をして、どのツボを使ったのか。

在学当時から、鍼灸とヨーガ療法の融合のヒントを探っていたので、会話の中からヨーガ療法の見立てもしていました。

加えて、先生からいただいたアドバイスや、患者さまとの会話、全体を通しての反省などをわたしだけに分かるような形で記録していきました。

4.チャンスを成長に

授業の一環のため、体調不良など事情があれば欠席することもできます。

同じクラスの中でも、単位が取れるギリギリの回数まで欠席している同級生もいましたが、わたしは臨床実習が好きだったので、1度も休みませんでした。

最後に総回数を数えてみると、クラスの中でも1番でした。座学のテスト前でも休まずに出席ましたし、体調不良の同級生の分も代わりに施術に入っていました。記録と振り返りも、最後まで継続しました。

卒業するときには、一人前の鍼灸師として患者さまを診られるようになりたかったからです。そのためには、与えられた機会に真摯に向き合い、努力する必要があると思ってました。

記録を振り返ってみると、最初のうちは「脈をみ忘れた」「時間配分を間違えた」などの施術に慣れてないが故の本気の反省…(笑)が目立ちますが、最後の方のページをみると患者さまの会話とお身体の状態からの考察や施術に対する反省が目立つようになり、こうして時が経って客観的に見てみると、「あの経験が、わたしを成長させてくれていたんだな」と強く感じることができました。

5.患者さまの声

読み返してみたときに、記録していてよかったなと思った1つが、「患者さまからかけていただいたお言葉」でした。

当時もそうだったのですが、このお言葉が励みになったり、悔しさのバネになったり、挫けそうな時の支えになったりするんですね。

当時も今も、読み返すと嬉しいお声が。今の自分の応援に、少しピックアップしてみます。

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「いい人に当たってよかった〜、次も指名できたらいいのに」

「当たり!上手だった!やってもらえてよかった」

「ツボを上手に刺激してくれたから、軽くなったよ」

「こんなに動くようになったの初めて!」

「来た時は頭痛してたのに、なくなったよ」

「マッサージの手に向いてるね。すごく良かったよ」

「どこかで働いてるの?すごく上手だった!」

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6.最後に

当時は先生の指導と、学校外の勉強会に参加して学んだことと、座学や実技の授業で学んだことと、いろいろなことを掛け合わせて、フル回転で60分間、施術に臨んでいました。

最初のうちはうまくいかないことも多かったり、なかなか会話が続かなかったり、症状を聞くのが難しかったり……と、初めてのことに戸惑うことも多かったですが、臨床実習が終了する3年生の12月には、見違えるように成長することができました。

これもひとえに、お身体を診させて下さった患者さまと、指導して下さった先生がたのおかげと思っています。

今は自分自身で鍼灸院を開き、臨床を続ける毎日です。

指導してくださる先生はもう側にはいませんが、1人の鍼灸師として、この頃の経験と学んだ技術を活かし、日々施術にあたらせていただいています。

まだまだわからないことや見たことのない症例もたくさんありますが、その都度知り合いの鍼灸師の先生に話を聞いていただいたり、勉強会で質問をしたり、時に卒業生として学校の先生にもサポートしていただいたりしながら、目の前の患者さまと真摯に向き合っています。

今回このノートを見つけ、良い振り返りの機会になりました。あの頃の気持ちを忘れずに、さらに成長していけるように努力していきたいと思います。

それではまた。

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