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違いを価値に変えていけ! 「タマキニイメ」モノヅクリ集団
日本人は人と違うことを恐れる。学校では人と違うことをすると、「困った子」というレッテルを貼られる。そして人と同じことができるように訓練されるのだ。時代が大きく変化している中で、100年前から変わらない学校教育は、「より早く、より正確に、繰り返し生み出せる」ことを求める。それは、AIがもっとも得意な分野。人間の価値は一人一人が違うことなのに。
日本のへそと言われる地域に位置している兵庫県西脇市。その街に、播州織という伝統的な技術を使い、一点ものしか作らないという面白い企業がある。ママハタの北播磨リーダーからのご縁で玉木社長とつながり、私が最近学んでいるオランダの学校教育・イエナプランの「違いが価値になる」という話で盛り上がり、研修をさせていただくことになった。その名も「あたりまえを疑え!パラダイムシフト研修」だ。
「カイシャ」という概念をくつがえす「場作り」
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犬の他にも、ひつじ、やぎ、にわとり、がいて、社員は動物と一緒に過ごしている。これも「ホンモノ」にこだわるタマキニイメならではの理念なのかも? 玉木社長は「人間より動物が好き」と言い切る(笑)
まずはあそび
そんな風変わりな楽しい社風であっても仕事となると、お互いに気を遣ったり、意見が違っても言い出せなかったり、常識に囚われて、尖ったクリエイティブを発揮しにくかったりすることもあるらしく、今回の研修のゴールを「自分の価値を知り、互いが違うことで更に素晴らしいモノヅクリ協働ができるようになること」。と提案させてもらった。
ということで、まずはイエナプランの4つの活動のなかの「あそび」羊や山羊のいる中庭でかくれんぼやじゃんけんゲームであそぶことからスタート。(人は自然の中でこころを解放し、カラダを使ってあそぶことで互いに仲良くなれる生物なのです)
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哲学おしゃべりカードからの対話と8つのスマート
クリエイティブな仕事はどうしても個別作業になる。玉木社長は今でもモノヅクリの現場で「自らの手と頭を使い」試行錯誤し、作品を生み出すことをしているのだそうです。(タマキニイメInstagramより)
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個別作業は寡黙にならざるを得ない。だからどうしても、日常的に社員同士の対話の機会は少なくなる。ということで今回は哲学おしゃべりカードを使った「正解のない対話」をやってもらうところからスタート。学校では先生が子ども達に正解を教えるという形の授業を受ける。だから、「間違っていたらどうしよう!」と考えて、なかなか手を上げることができない子が多いのだそう。そういう意味では「哲学カード」は一人一人の考えが違うことを知ることにフォーカスできるし、正解などなくてもそれぞれの考えが違うのだということを知るきっかけにもなる。
そして8つのスマートで「自分が好きなこと、得意なことを知る時間」は、「人はどれくらい優れているのか?ではなくどんなふうに優れているのか?」といった「インテリジェンス」の見方で互いに一人一人の価値に気がつくことができる時間となった。
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キッチンのある解放的な空間での「ディファレンセーションランチ」
玉木社長のこだわりは会社の中に、まるで家の中のリビングでくつろいでいるような空間を作っていること!イエナプランでも教室を「リビング」と呼び、子ども達が家にいるようなくつろいだ時間を過ごせるということにこだわっているが、タマキニイメ本社では、見事にそれを実現している。
変態モノヅクリ集団(笑)が集まる場所は、キッチンと自社の布を使ったおしゃれなチェア、そしてたくさんの本やポスターに囲まれた解放的な空間だ。ここで食事したり、お客様と話したり、3匹のワンコと遊んだりと、全てがまるで家族で過ごすリビングルームのようなのだ。
この場所を使って今回は「ディファレンセーションランチ」と題した、自分だけのアイデアで、「世界に一つだけのオープンサンド」を作ってもらった。ここはさすがモノヅクリ集団!個性的で見た目も味も申し分ないユニークな作品ができあがった。
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そして、できあがったオープンサンド作品のプレゼンタイム。こだわった部分と、なぜそこが大切なのか?などの説明をしてもらった。とてもユニークで、この思考がタマキニイメブランドの根幹に流れているのかも知れないと感じた。
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なんでもないものに価値を持たせる
午後からは、会社の周りを散策してもらい、いつもなら見過ごしてしまう、石ころや、草や花など、自然界にあるものを採ってきてもらい、その価値をグループに発表するというもの。しかもその中に「クリティカル思考」を取り入れて、チームの他の人から「そうかなあ?私はそうは思わないけど?」と「批判的思考を盛り込んだ対話」の時間とした。
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自分の頭で考えるクリティカル思考
先にあげたが、日本人は学校で「先生が用意した正解を学ぶ」ということを小中学校を通して、9年間行った結果、「クリティカル思考」になることが難しく、同調圧力とも取れる状態でも自分の意見は主張できない人が多いと言われている。
YESもNOも同じ価値であると教えられるオランダの子ども達は、学校という安全で守られた場所で対話を通して、訓練され、「相手の考えを鵜呑み」にするのではなく、自分の頭で考え、「自分はこう思う」ということがはっきりと言える大人になるのだ。
これからの「タマキニイメ」を考える
最後はマインドマップを使い、それぞれが、今日のワークの中で、刺激を受けたことや気づいたことをテーマに、チームとしての協働を考えるマインドマップの時間。一人一人が自分の頭の中の思考を言語化して紙の上に問いを出していくことで、これからチームとして取り組みたいことを整理していきます
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自分の価値やほかの人の価値に気づき、共に良い社会(地域)を創り上げるクリエイティブ集団となる
今回の目指すゴールに辿り着くには時間がなかった感がぬぐえませんが、一つだけ言えるのは、互いに相手と自分は違うこと。違うことが価値になること。「自分はこう思うよ」が言い合えるチームになることで、互いに刺激し合い、「より良い社会の実現につなげることができる」ということに少しでも気づくことができたなら、タマキニイメは今以上に地域に、社会に良い刺激を与えることができるクリエイティブ集団として、子ども達の未来を明るく照らす唯一無二の存在になること間違い無し!と感じました。
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パワフルで明るくて元気いっぱいな社長とその仲間達!合言葉は
「まいにち!ぜんぶ!たのしむ!」
玉木社長、参加の皆様、楽しい時間をありがとうございました。