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日経記事を経営学の視点から見るーAppleも「S字カーブ」か 主戦場は産業データに
Appleの将来と日本企業が今後活躍する可能性のある領域、産業データについて書かれた日経新聞の記事、『Appleも「S字カーブ」か 主戦場は産業データに』についてです。
私個人の感想としては、Appleの将来の方向性に関して、同社がハードウェアメーカーやサービス提供者からデータインテグレーターへと変化する可能性が考えられると思いました。この変化により、Appleは産業データを活用し、ビジネスプロセスの最適化や新製品開発に貢献する可能性があります。今後B2B市場に新たなサービスが登場することと思います。
記事の概要
Appleの現在の状況は「S字カーブ」による成長の鈍化を示しており、新しい成長エンジンを模索する必要があります。ブルーオーシャン戦略に従い、産業データという新市場への進出が有望です。オープンイノベーションの視点から産業データを活用し、心理的安全性を確保することで、新たなイノベーションの機会を創出することが重要です。
経営学の視点からの考察
経営学の視点からの考察を以下に示します。
「S字カーブ」とイノベーション イノベーションと成長の限界
「アップルの売上高の5割強を占めるスマホは劇的な機能の進化が今後難しくなる」
エバレット・ロジャースのイノベーション拡散理論に基づくと、新技術や製品は最初の急成長後に成熟期に入り、成長率が鈍化します。AppleのiPhoneが「S字カーブ」の後半に入りつつあると考えられ、新たなイノベーションが必要です。
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ブルーオーシャン戦略 新市場への進出
「アップルも属する「GAFA」の顧客データ(主に個人)は巨大だ。それでも世界中で生まれるデータのせいぜい1割程度に過ぎず、残る9割は企業の製造や営業、調達の現場で眠る産業データだとされる。」
ブルーオーシャン戦略(W.チャン・キムとルネ・モボルニュ)によると、競争の激しい市場(レッドオーシャン)から、新たな市場領域(ブルーオーシャン)への移行が重要です。Appleにとって産業データは新たな成長領域を提供する可能性があります。
オープンイノベーション オープンイノベーションと産業データ
「日立製作所がその点、面白いアプローチをしている。「ルマーダ」という産業データの基盤をつくり、鉄道などの故障予知といった様々な課題解決の方法をみつけ出すサービスをしている。」
ヘンリー・チェスブローのオープンイノベーション理論は、外部の知識源やデータを活用して新しい価値を創造することを重視します。日立製作所の例で見られるように、Appleが産業データを活用することで、新たなイノベーションの機会を見出すことが可能です。
心理的安全性の重要性 企業データ活用の心理的障壁
データを取り込んで、産業データのGAFAをめざそうと最初に動いたのは米ゼネラル・エレクトリック(GE)だった。データを他企業から預かって蓄積し、互いに利用し合うプラットフォーム(情報基盤)事業を鳴り物入りで始めたが、失敗に終わった。企業がGEにデータを取り込まれてしまうと考えて、渡すのを拒んだからだ。
エイミー・エドモンドソンの心理的安全性の概念に基づくと、データ共有の成功には、参加者が安心してデータを共有できる環境の構築が不可欠です。Appleが産業データ市場に参入する際には、この心理的安全性を確保することが重要です。
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