姉妹トリップ⑦アイスランドでクジラの洗礼
さて、前回、意気揚々とホエールウォッチングへ参加した西島姉妹。
船は中型で、船内にはテーブルと椅子が並び、お手洗いも完備。カフェっぽいカウンターもあり、とてもいい感じです。
船外に出ることもできますが、クジラが見える地点まで1時間ほどかかるとのことなので、体力温存のため船の中で座っていることに。しかし、船内にいるのはわたしたち含め東洋人ばかりで、西洋人はみな元気いっぱいで船外へ。この旅で「西洋人、東洋人より体強い説」をじわじわと実感していたのですが、ますますその念が強くなりました。
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港を出て15分。スタッフのお姉さんは「波が穏やか」と言っていたものの、窓の外は日本海ばりに波が高い&荒い気が……。平穏な瀬戸内育ちゆえか、あるいは大西洋的にはこれでも穏やかな方なのか? 「思ったより波、激しいよね」と思いつつ、思いの外揺れる船に心を無にしながら、これでも普段より穏やかなのだろうと自分を納得させます。
中国人の団体客はテーブルいっぱいにお菓子を広げ、早速宴会を開始。目の前の親子連れはクジラのイラストを見ながら、「どれが見れるかな?」「僕はこのクジラが好き」と、かわいらしい会話を繰り広げています。
それらを横目に、わたしは「無事に沖までたどり着けるだろうか……」と不安にさいなまれていました。というのも、もともと乗り物全般が苦手で、子どもの頃は車に乗れば瞬時に酔っていた始末。今回は事前に酔い止めを飲んだとはいえ、この揺れで果たして効果があるのか自信が持てません……。
陸から遠く離れ、見渡す限りの大海に包まれた時点で、「なぜだか今、大海原にいる。泳げないのに。もし、この船が転覆したら……」と持ち前の妄想癖が発動。「大丈夫、大丈夫。だって西洋人はあんなに陽気」と、もう自分を騙さないと正気でいられません(西洋人の陽気さがまじでうらやましい)。
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荒れ狂う波。揺れる船。心なしか着実にこみ上げてくる吐き気。「クジラが見れるんだスポットに着いたわよ!」というアナウンスの声と、「わたしもう本当に無理」と妹に言い残して座席に倒れ込んだのはほぼ同時で、朦朧とする意識の中、船上では確かに「お〜〜〜〜〜!」というクジラが姿を現した歓喜の声が上がっていました。
いや、もう本当に、血の気がサーッと引いて、起き上がろうにも起き上がれない状態。祖母からもらったストールを頭にぐるぐる巻いて顔を覆い、ビニール袋を抱えたまま、おそらく一時間ほど夢とうつつを行ったり来たり……時折、遠くで聞こえる歓声……なんとか復活し、ムクムクと起き上がった時には船はとうに沖から戻り、港へ帰ってきたところでした。
そう、クジラを見るために1万円払ってツアーに参加したのに、結局沖で吐いてただけっていう、なにそれ、ちーん、なお話。
しかし、妹の話ではわたしが倒れるのとほぼ同時に、船内の人たちがパタパタと倒れていったらしい。妹「人間っておもしろいわ」。
今回の旅で学んだこと②もう二度とホエールウォッチングには参加しないw(わたしごときが大海原でクジラと触れ合えるはずはない、と今世では言い聞かせて自粛します……)
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陸地に戻っても軽い疲労を抱えながら、ボルケーノハウスでアイスランドと火山についてのビデオを鑑賞。かつての大噴火で街がやられ、人々が力を合わせて復興する様子がドキュメンタリーで収められていました。
そして、絶対食べようと話していた“宇宙一おいしい”と言わるホットドックの屋台へ! 刻んだ玉ねぎやマヨネーズがたっぷりで、宇宙一かはさておきおいしかったです。
レイキャビクの中心地にあるハットルグリム教会。中も美しく、座ってしばらくひと休み。
白夜なので明るいですが、この時点でもう20時とかそのくらいだった気がする。この後ホテルの側のレストランで食事をして、文字通り長い一日が終わりました。