凪彦について 『望月の烏』
ネタバレありです。
お気を付けくださいませ。
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凪彦くん。
どんな子かと思ったら、普通にいい子だった。
ごめんね、「あの二人の子だからヤバイ奴かも」という先入観持っちゃって。
私だけじゃないよね?
桂の花も菊野も茜もそう思ってたもんね?
だって実母があのひとで、実父があのひとだもんよ~~~~。
警戒するよね。
いざ登場したら、桂の花を徒らに傷つけまいとする配慮を見ると優しい子だって伝わるし、澄尾に謝ったところは人の気持ちに聡くて思いやりがある子だなって分かるし、松高への態度は自分の責任を認識して謙虚だったと思うし、澄生と佳通を通じて双方の意見を聞く姿勢は公平だよね。
澄生と目が合い微笑まれたときは、凪彦くんこりゃ恋に落ちちゃった?と思ったけど、その後はわりと冷静だったり。意外だったな。
誠実とか素直とか善良という素質は当たり前であってほしいけど、そうでもない。
だから、凪彦の心根は好ましいと思う。
もちろん、未熟なところはあるし、見識も十分ではないかもしれないけど、まだ十四?歳くらいだよね(違ってたらごめんなさい)。
そんなに気が強いほうでもないのに、御前会議では頑張ったよね!!
部下に恵まれたら。
平時だったら。
良い君主になれそうなんだけどなぁ。
*
そんな凪彦くん、雪哉に嫌われちゃっててかわいそうだな。
仕方ないとは思うんだけど。
凪彦との出会いは、雪哉には最悪のタイミングだったもん。
凪彦本人には、何も責任はないにしても。
(しかし幼子に蔑みの視線を向けるってどうなの雪哉)
(もともと嫌いなんだろうけど、凪彦と紫苑の宮を比べたよね?おとなしく座っていることもできないのかとか思ったよね絶対。でも幼子としては紫苑の宮のほうが規格外だぞ)
ここまで雪哉が嫌ってるのって、ほかに誰かいるのかな。
いや、雪哉が嫌ってる相手はたくさんいると思うんだよ。
好意を持つ相手や信頼できる相手のほうが希少だろうし。
でも、奈月彦の件の黒幕や関係者のことは、好き嫌いを突き抜けてる感じがするんだよな。
もっと冷徹なというか、無味乾燥みたいな。
なのに、凪彦に向ける蔑みと嫌悪のフレッシュさと言ったらもう、ね?
*
子どもの頃から博陸候雪斎に嫌われていることを察知していて、心の底から恐れている凪彦。
彼が、自分から博陸候のところへ踏み込むって、相当なんだよね。
一方の博陸候は、金烏代凪彦が執務室にやってきても、清々しいほど敬う姿勢を見せなかったね。
敬うどころか煽ってくる博陸候に、それでも怯まずに話ができてえらいよ!
(雪哉は大人げないよ)
(あんた博陸候雪斎サマなんでしょう)
凪彦の発言にはハラハラしちゃったけど、けど・・・!
・・・キレる博陸候を拝見できたのは、思いがけない僥倖でした。
「あの子」発言を引きだしてくれて、本当にありがとう。
あの場面は最高です。
何度読んでも、ときめきます。
なんだよ、凪彦の話って言いつつ結局は雪哉かよ!?と言われそうだけど、そのとおりですね。
ごめんね、凪彦。
凪彦くん、どうかこの先も雪哉をイラッとさせてください。
期待しています。
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