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第18週 金曜日 芸術家 柳澤紀子




18人目の芸術家は日本の版画家、美術家、学者の柳澤 紀子(柳沢 紀子、やなぎさわ のりこ)さんです。



柳澤 紀子(柳沢 紀子、やなぎさわ のりこ)さんは

1940年5月30日静岡県旧浜松市(現在は周辺市町村と合併し新制浜松市)にお生まれになりました。

浜松市立高等学校を経て、1959年に東京藝術大学美術学部油絵専攻に入学されます。

東京芸術大学では林武氏に油彩を学び、当時「最も影響を受けたのはゴーギャン」「版画の様々な制約の中自分が日常感じている矛盾、情念的なものをどれだけ表現出来るか」に意欲がわき、版画を志されたそうです。

(「出会い」 静岡新聞 1982年1月12日)

1963年大学を卒業され大学院油画研究科に進まれます。

そして東京芸術大学四年から大学院時代に、駒井哲郎氏に銅版画のてほどきをうけられます。

「林先生の土俗的情熱と駒井先生の都会的感性 〜 思えば、私は銅板とシルクスクリーンの上で、この二つの要素の絡み合いの中に少しでも新しいものをみいだすために努力している」と振り返る。そして「葉書大の銅版にただ針で描いて腐蝕させただけ」の作品3点の処女作を芸大祭りに展示したら、吉屋信子が購入。そのお金でニードルの針を買い、銅版画のとりこに。「油絵と並べて少しも軽く無い強い版画を作りたい」(小笠原流押花9月号 昭和41年) 

1965年に東京藝術大学大学院油画研究科油画専攻を修了されます。

紀子さんが大学院生当時、大蔵省職員の伯夫氏(元衆議院議員(自由民主党)柳澤伯夫氏(現・城西国際大学学長))と出会い交際が始まりました。なお、知り合ったきっかけは知人の紹介だそうです。お二人には娘さんがおられ、関西学院大学神学部准教授の柳澤田実さんです。

そして卒業後結婚されます。そして伯夫氏の勤務の都合で1971年(昭和46年)から4年間、ニューヨークのブルックリンハイツに住むことになります。

当時全盛だったアンディ・ウォーホルの作品を見て影響を受け、シルクスクリーンの世界に目覚め「自分の幅をぐっとおおきく広げてくれた」とおっしゃっています。

渡米して美術を学んだ経験からイサム・ノグチらアメリカ合衆国のアーティストについても詳しいそうです。

帰国後は静岡県掛川市に居を構えアーティストとして活躍し、精力的に作品を発表されるようになりました。

作品の多くはエッチングなどの技法を用いた銅版画であるが、稀に横幅50メートルを超える壁画などの作品も創作しておられます。

テーマは「身体と精神の関係」であり、描かれる身体にはアンモナイトや翼、舟、水、樹木などのイメージが重ね合わされ、人と自然や文明、時間など多様なテーマが共鳴している」また3.11前から核をテーマにした「test-zone」(核実験場)などの作品や、和紙を活用したミクストメディアによる大作にも活動領域を広げているそうです。

国立国際美術館長/詩人・建畠哲との対談で作品の主要なモチーフ について

以下のように述べられているそうです。


人体:出発はアフリカの男性。出会いはニューヨーク。ワークショップで出会った黒人達の肉体は様々な要素を抱えて強烈だったが、当時、自分の周辺ではあまり男性は描かれていなかったので描かなければとおもった。
翼:ニューヨーク以後。あくまでも形と色。何かで「翼は重いもの」というのを読んで納得出来たから軽やかじゃない重い翼を描いている。(同上)
犬:インドのベナレスでたくさんの犬がいて、人が焼かれたあと焼き場にわーっときて燃え残りを食べる。でもみな優しい顔していた。びっくりして、そこから描き始めた。
廃船:舟も身体もやがて朽ちて行く。ぎりぎりのところで生きている、大変な状況でそんざいしているという姿を描きたい。
水:浜名湖のほとりで生まれて、最初から水にめぐまれてスタートした。子供を産んで育てた経験でたとえば臍の尾でつながっている。自分は自分の母へ、母はそのまた母へと…原初につながっていく気持ちがある。人間は海からでてきたそうだし。
アンモナイト:形態がエロティックで有機的、無機的でふしぎな、大地がつくった版画のよう。


1992年文化庁から派遣され芸術家在外研究員としてロンドンに滞在されます。

そして2003年から2011年まで武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画研究室教授を務めておられます。


以下の賞をはじめ多くの賞を受賞されています

日本版画協会展日本版画協会賞(日本版画家協会)。
静岡文化奨励賞(静岡県教育委員会)。

1963:サロン・ド・プランタン賞(東京芸術大学)
1964:第32回日本版画協会賞(「聖」「Lips」)
1999:東京ステーションギャラリー賞(水邊の庭'99)
2001:第10回山口源大賞(水邊の庭V)
2011:紺綬褒章

また以下の美術館で作品を見ることが出来ます。

ブルガリア国立美術館 - (ブルガリア共和国ソフィア市)
サンフランシスコ美術館 - (アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市)
太田川河川敷 - (静岡県磐田市)
財団法人池田20世紀美術館 - (静岡県伊東市)
静岡県浜松総合庁舎 - (静岡県浜松市)
浜松市立高等学校 - (静岡県浜松市)
福田健康福祉会館(リフレU) - (静岡県磐田市)
浜松市美術館 - (静岡県浜松市)
掛川市立中央図書館 - (静岡県掛川市)

書籍


ご本人のHPでいろいろな作品を見ることが出来ます。



めぐめぐがすごいと思う柳澤紀子さんのこと

1大学で初めて出会われた銅版画と油彩の両方の分野で素晴らしい作品を創り続けられていること。

2芸術と自然を組み合わせたりまた人間の問題を扱ったり様々なテーマに取り込まれていること。

3娘さんが学者になられるという母としても素晴らしい方であること。





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めぐめぐ@日本の女性の人生を記事にして書いています。
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