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第38週 教育者 ピアニスト 伊藤恵


はじめに 

今週の教育者はピアニストの伊藤恵さんです。




お生まれ


伊藤 恵(いとう けい)さんは、1959年1月6日愛知県名古屋にお生まれになりました。


ピアニストなられるまで

伊藤 恵(いとう けい)は幼少より有賀和子氏に師事され、
桐朋女子高等学校、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学、ハノーファー国立音楽大学で学ばれます。 スウェーデンを代表するピアニスト兼作曲家のハンス・ライグラフ氏(1920~2011年)に師事され、ドイツ・オーストリア流の正統派の演奏法を体得されました。

ピアニストとしてのご活躍

在学中からエピナール国際コンクール、J.S.バッハ国際音楽コンクール、ロン=ティボー国際音楽コンクールと数々のコンクールに入賞されます。

1983年第32回ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ部門で日本人として初の優勝を飾られます。こうしてサヴァリッシュ指揮バイエルン州立管と共演し、ミュンヘンでデビューされます。

その後もミュンヘン・シンフォニカ、フランクフルト放送響(現hr響)、ベルン響、チェコ・フィルの定期公演などに出演されます。

 日本では「若い芽のコンサート」でN響との共演をはじめ、各オーケストラとの共演、リサイタル、室内楽、放送で演奏を披露されています。

CDの代表作は、シューマン・ピアノ曲全曲録音「シューマニアーナ1〜13」です。

伊藤さんはシューマンを非常に愛好しておられ。かつてNHK番組のインタビューで「シューマンは恋人」と語ったこともあったそうです。

このCDは1987年から2007年にかけて、CD13枚にわたって録音されたシューマンの全ピアノ作品録音です。


2007年秋にはこのシューマン全集完成記念コンサートを行われました。

さらに、2008年にリリースを開始した「シューベルト ピアノ作品集1〜6」は1作ごとに注目を集め、第6集は2015年度レコード・アカデミー賞、第70回文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞されています。

その後「ベートーヴェン ピアノ作品集2」(フォンテック)は、レコード芸術特選盤を獲得されています。

また2019年4月には最新CD「ショパン/24の前奏曲、シューマン/クライスレリアーナ」を発売されました。

また、サイトウ・キネン・フェスティバル松本はじめ武生国際音楽祭、 軽井沢音楽祭、リゾナーレ音楽祭、東京・春・音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンなどに参加されています。

1999年から2006年までの8年シリーズではシューマンを、2008年から2015年4月までの新たな8年シリーズではシューベルトを中心としたリサイタルを開催され。2018年からはベートーヴェンを中心としたシリーズを開始されています。

伊藤さんのベートーヴェンソナタの演奏について以下のような記事があります。

彼女の「第30番」を聴いたが、特に第1楽章と第3楽章の優しさと幸福感に満ちた響きが印象に残る演奏だった。聴き手によっては、激しさが際立つはずの第2楽章で、ガツンという衝撃がやや足りないと思う向きもあるかもしれない。しかし複雑な構成の中で微細な分散和音(アルペジオ)の一音一音にも優しい歌を読み取る彼女の演奏は、独自のベートーベン像といえるだろう。
ソナタという楽曲形式にのっとって作曲しながらも「ベートーベンの音楽は(自由に発想する)ファンタジーだ」と話す。「耳が聞こえないという彼の音楽家としての苦しみは想像がつかない。耳を越えた体の全体で自然の音を聞き取っていた」。そんな作曲家が書いた音楽からは「人は意味のある幸せを勝ち取るべきだ」という励ましの声が常に発せられている。ピアニストとして、ベートーベンのこうした強烈なメッセージにどう向かい合い、人々に演奏を通じて伝えていけばいいのか。伊藤さんがたどり着いたのはベートーベンの音楽に満ちている「ドルチェ(優しく、甘く)」という性格だった。「彼の肖像を見ると、髪が逆立って厳しい顔付きをしている。でも私は彼が(楽譜に)書いた『ドルチェ』の箇所を見ると、この人は世界で最も優しい人だと思う」

また尊敬するピアニストについて以下のように話されています。

彼女が尊敬するピアニストは、惜しまれつつも引退したアルフレート・ブレンデル氏。彼がベートーベンの「ディアベリ変奏曲」を弾いた演奏会に最も感動したという。「演奏家の生き方も問うのがベートーベン。私はブレンデルのように、人が生きるということを厳しく追究する演奏はとてもできない」と話す。その一方で「私はベートーベンの『ドルチェ』に本当に感動している。(優しさに満ちた)ドルチェなベートーベンとこの先、付き合っていきたい」と夢見心地の表情で語る。



1993年日本ショパン協会賞、1994年横浜市文化賞奨励賞を受賞されています。

2018年ジュネーヴ国際音楽コンクールの審査員も務められ現在、東京藝術大学教授、桐朋学園大学特任教授を務めておられます。


以下の記事を参考にして今日の記事を書きました。



めぐめぐがすごいと思う伊藤恵さんのこと

1ヨーロッパで古典的な弾き方を学ばれ、日本人で初めてミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝されていること。

2シューマンピアノ曲全曲CD13枚という非常に根気のいるCD全集を出されていること

3そしてその素晴らしい演奏技術を次の時代のピアニストたちに伝えておられること。


明日水曜日と木曜日本番を迎えられるエリザベート王妃国際音楽コンクール2021年ピアノ部門ファイナルに出場されるお二人の日本人ピアニストがどちらも伊藤恵さんに師事されていることを知り、この記事を書きました。


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