仕事を「心の拠り所」にしない
「変わらないもの 探していた あの日の君を忘れはしない」
奥華子さんの「変わらないもの」の一節を最近よく思い出す。
「時をかける少女」を見てから大好きになって、中高生の時に無限リピートしていた曲。
この曲を取り憑かれたように聴いていたわたしは、きっと「手放せない人間」だったのだと思う。
わたしは、関係性を手放せない。
来る者は拒まず、去る者は追わず。そんな凛とした人に憧れていた。
でも、実際のわたしは、来る者にはびびり、去る者に心奪われ・・・という、だいぶ湿っぽい感じだ。
変わらないものを尊いと思っていたし、変わっていくものが怖かった。人付き合いは、特にそう。
仲の良い人ができる度、楽しい出来事を経験する度に、関係性を保持したくなる。
このままの関係が、ずっと続きますように、と。
そう願う度に、少し切ない気持ちになったのは、それが叶わないとわかっていたからだと思う。
年月を経ると、人は変わっていく。それは望もうと、望むまいと必然的に訪れてしまう。
人が変わると、相手との関係性も変わる。時には疎遠になったり、失ったりすることもある。
でも、それはきっと哀しいことじゃなくて、健全なことなんだろうと思う。
関係性が薄まることは怖いけど、結局のところ、わたしにできるのは、今その瞬間を大切にすることぐらいかもしれない。
新年早々、そんなことを考えているのは、わたしが今年大きく変わる予感がしているからだ。
それに伴って、今まで築いてきた関係性も、がらりと変わってしまうだろう、とも思う。
わたしは、それを引き受けると決めた。たとえ、失うものが大きくとも。
あとは、いかに不確実性を受け入れられるかだと思う。
今年のテーマは「アイデンティティを増やすこと」になりそうな予感がしている。
立ち上げフェーズの事業に関わっていることもあって、いろいろなご意見をいただくことが多い。
そんな時に大切になるのが、「事業」への評価と「わたし」をわけて考えることだと思う。
そして、それは、わたしが非常に不得意とするところでもある・・・。
わたしは、いろいろなものとの境界線があいまいなのだ。
わたしと他者、物事をごちゃ混ぜにしてしまう。
それは、ときに、本質を見誤ることにつながる。
今年、わたしが胸に置いておきたいのは「仕事に人生をかけない」こと。
これは精神障害を抱える人の地域活動拠点「べてるの家」の向谷地さんの言葉だ。
人生をかけない、というのは、ワークライフバランスの話ではない。
わたしは「仕事を心の拠り所にしないこと」を目指したいな、と思っている。
わたしは、境界線があいまいになりがちなので、一度それくらい距離を保ったほうが、ちょうどよいんじゃないか、と。
わたしが去年学んだのは、当事者を降りることだった。
父や母であること、会社員であること、過去に特定のつらい経験をしていること。
それらの当事者性は、その人だけのものである。
自分にとっては大切なものだけど、ひとつの事例にすぎない。
だから、自分の経験だけに縛られるのはやめよう、と。
今年はその続きとして、アイデンティティを増やしていく。
ひとつの「わたし」しかないと、批判や逆境に脆くなる。
いろいろな「わたし」を増やせれば、ひとつの「わたし」に固執することなく、必要に応じて手放していける。
そうすることで、少しでも、本質を見誤らないようにできたら、と思う。
社内部活動でnoteを更新しています。今週のテーマは「2019年終わったときに、なんて言いたい?」。台詞は思いつかなかった・・・。でも、今年もおもしろい1年になりそう。