MBA生と日本のフェムテックについて話したら、エンジニアの巻き込みが不足しているという結論になった
グロービス経営大学院で定期的に開催している「フェムテック部屋」。
第11回目は、海外のフェムテック製品について紹介したが、「なぜ日本のフェムテックは、米国や欧州と比較してこんなにも進んでいないのか」という質問が出た。
海外のフェムテック製品を紹介しながら、MBA生と議論した内容について紹介する。
CES2022でも話題のフェムテック
世界最大のテクノロジー見本市CES。米国消費者技術産業協会(CTA)が、1967年から毎年開催しているが、筆者が知ったのは2019年。
同僚が現地に行くと聞き、その時は特に興味もなく「出張お疲れさま」くらいの勢いで終わっていた。
(今考えると、もっと事前に調べて同僚と話しておくべきだったと後悔)
実は、その年のCESでフェムテック企業のLora DiCarloが、イノベーションアワード受賞取消となる事件があった。
(その後、取消は撤回されている)
新型コロナの影響で2021年はオンライン、2022年はハイブリット開催。
今年は、日本から現地に出向いた知り合いのSNSをひたすらウォッチ。「CES最高です!」という書き込みを指を加えてパトロールしながら、CESホームページやTechCrunchを見ていたが、気になった製品がこちらの3点。
UE Life Sciences
ハンディサイズの機械で、被爆なし・痛みなしで乳がんを検知し、手軽な検査受診でFDA(米国食品医薬品局)を取得している。
CESでは、グローバルウィメンズヘルステックアワードを受賞。
この製品を紹介した際、MBA生の一部から「なんであんなにマンモグラフィーは痛いのか。早く日本にもこの商品来てほしい」という声があった。
日本ではリリーメドテックが「痛くない乳がん検査」を実現している。
以下の記事で、リリーメドテックのファウンダーの想いが書かれているので、参考にしてほしい。
MOVANO
FDAクリアランスを取得し、日本でも販売されているOura Ringよりも女性特有のデータが集められるとのこと。
Oura Ringは日本語対応もしており、筆者の周りでも大人気だが、MOVANOはより女性向けのデザイン。2022年後半販売予定とのことで期待大。
Owlet
2021年にSPAC上場した、乳幼児のモニタリングブランド。布製靴下を巻き付けて、子どものバイタルサインをリアルタイムで確認できる。
MOVANOもOwletもそうだが、ユーザーのバイタルデータをどのように取得するのか、2022年は特に注目していきたい。
なぜなら、筆者はFitbitを使用しているが、Fitbitがなければ歩かないし、外にも行かないと思う。Fitbitは歩数が表示されるが「今日は500歩しか歩いてないから、コンビニでも行こう」という行動変容につながっている。
自分の健康状態を可視化できる重要性を痛感。
今後は血糖値も非接触でとれるようなデバイスを購入すれば、食事も気を使えるのではと期待。CESでも血糖値を取得できるデバイスがいくつかあり、チェックしていきたい。
日本のフェムテックの課題
日本からCESに行った知人が、「日本は30~40代男性のファウンダーが多かったが、韓国や台湾は女性も多く、男女差を感じた」と言っていた。
CESはテクノロジー見本市でもあるため、世界中の最新技術が集まるが、日本においてまだまだ女性の技術者は少ない。
さらに、女性の技術者が大企業に集まっている印象を受ける。
フェムテックに関しても、「THEテック」のような企業はまだまだ少ない。
以前、「こういうフェムテック製品が日本でもあればいいな」と思い、情報収集をした。しかし、そもそもエンジニアと出会う機会がなく、どうやって出会えばいいのだろう?で一時停止してしまったことがある。
もしかしたら、フェムテック事業を考えている方の中には、同じことを感じている方もいるかもしれない。
出身校のグロービス経営大学院では、MBA生とエンジニアが交流できるような仕組みを構築していたが、日本のフェムテックにおいても、同じようなマッチング(お見合い)のような仕組みが必要かもしれないと感じている。
実際に参加した感想の一部
参加者は、「フェムテックをはじめて聞いた」という方から、フェムテック事業を検討・展開している方までさまざま。
筆者は日々、フェムテックの情報に触れているので、「みんながフェムテックを知っている」と思いがちだが、「初めてきいた」という方も多くフェムテックの認知度がまだまだなことを痛感。
また、フェムテック事業を検討・事業化している方には、事務局をしているFemtech Community Japanに参加いただけたらうれしいです。