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大手企業とスタートアップの架け橋として、共創を円滑にするPlug and Play Japanのサポートとは

Plug and Play Japanには、プログラムの企画・運営を通してスタートアップの事業発展をサポートをする「Program Manager(以下、PM)」と、企業パートナーのオープンイノベー ションの推進・活性化に貢献する「Partner Success(以下、PS)」というチームがあります。
当社では大手企業とスタートアップをマッチングするだけではなく、コミュニケーションスタイルやスピード感が異なる企業間のギャップを埋め、よりスムーズな共創へと繋がるように、伴走者としてPMとPSの両サイドからサポートを提供しています。
今回、PMであるニコルSaori沙織とPSであるTaito泰斗に、それぞれの視点からスタートアップや大手企業をサポートするうえで気をつけていることや、成果を出しやすい企業の特徴、今後の展望についてインタビューしました。

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−−大手企業とスタートアップにとって、Plug and Play Japanのアクセラレータープログラムに参加することで得られる価値とは何でしょうか。

Saori:
Plug and Play Japanではコンソーシアム型のプログラムを提供しているため、スタートアップは1社ずつ大手企業にアプローチせずとも、複数の大手企業に出会うことが可能です。特にシードからアーリー期のスタートアップはネットワークが少ない中でゼロから面談機会を獲得し、なおかつ適切な人にアプローチをすることは非常にハードルが高いため、Plug and Play Japanというプラットフォームを介することで、大手企業との出会いもつくれ、ニーズがフィットしたマッチングもできやすいのは大きなメリットかと思います。

当社が提供するアクセラレータープログラムに関しては以下のインタビュー記事をご覧ください。

Taito:
当社のアクセラレータープログラムでは、複数の企業パートナーからのニーズに基づき採択スタートアップが決まります。そのため、大手企業側は自社が選ぶ視点とは違うベクトルで採択されたスタートアップにも出会うことができ、自社のニーズに対して多角的な視点で、幅広いスタートアップとの共創可能性を見つけることができます。

またアクセラレータープログラム以外の取り組みとしても、当社が提供する大手企業向けのイノベーション支援として、大手企業1社の個別ニーズに対して複数社のスタートアップを紹介する「Deal Flow」や、各企業パートナーの役員の方々をご招待しオープンイノベーションの取り組みに関して意見交換を行う「Executive Breakfast」、オープンイノベーションへの理解促進を目的とした社内イベントやスタートアップとの取り組み方をテーマとしたワークショップなど、多種多様なインプットセッションを行っています。
新型コロナウィルスの感染拡大前は、米国や欧州などPlug and Playの他拠点で行っているイベントに企業パートナーの関係者をお連れし、現地企業とのネットワーキング機会の提供や、グローバルにおける業界動向を体感いただくような活動も実施していました。このような多様なプログラムコンテンツを介して、イノベーションの芽を見つけ、新規事業創出やDX推進などに活かしていただけることに価値を見出していただいています。

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イノベーションを促進するために、大手企業向けに提供している支援内容の一部紹介

−−採択スタートアップと大手企業の共創をサポートしていくうえで、それぞれ心がけていることはありますか。

Saori:
企業パートナーと繋げて終わりではなく、スタートアップと伴走するために隔週で進捗確認を目的としたミーティングを実施しています。大手企業とのコミュニケーションが途絶えていたり、案件が思うように進んでいないなど、さまざまな状況が見られます。そのため、先方へ確認の連絡を入れるタイミングやコミュニケーションの仕方など、少しでも企業間でのコミュニケーションを円滑にし、スムーズに案件を進めていくためにハンズオンでサポートをしています。
例えばChampion*の方が「自社で活用するとなった時のユースケースが見えづらい」とふと発した言葉を逃さずに、スタートアップにはユースケースのスライドを加えて提案することで、大手企業側は社内連携を促しやすくなり案件を進められるかもしれないというようなアドバイスもしています。

特に海外企業に関しては、国内大手企業とマッチングしただけでは案件が進まないことが多いため、各案件の進捗状況を把握しながら当社としてどのように援助すればよいのか、都度状況をみながらチームで相談しあい、アドバイスをするようにしています。
例えば、大手企業から”We will reconsider it"という返答があった場合、海外スタートアップは文字通り再検討してもらえると思ってしまいますが、事実上はお断りである可能性が高いことなど、日本独自のコミュニケーションのコツのようなものを教えることもあります。

大手企業とスタートアップは社内文化や、案件の進め方、進めるスピードも異なるほか、限られた期間で実施するアクセラレータープログラムに対する温度感や期待値の差があるため、その差を埋められるような丁寧なフォローが重要になってきます。

Taito:
大手企業側の意図が、スタートアップ側にうまく伝わらない場合は、PMと連携しながら両者の目線合わせを丁寧に行い、方向性のズレを調整することがあります。また、大手企業によってはプログラムに参画いただくにあたり、AIやVR、量子コンピューターなど、初めて触れるテクノロジーもあるため、「Technology Update Day」など技術に関する知識をインプットするようなセミナー・イベントも実施しています。
他にもプログラム終了後には、企業パートナーに対して良かった点や改善点など、スタートアップ側からのフィードバックを伝えるとともに、PoC(Proof of Concept)や資金調達など、実現した全体の案件数に対するタイプ別の協業割合を提示するなど、個社別の情報は控えたうえで、次期プログラムに向けて企業側の改善に繋がるような情報共有を行っています。

*Championとは、企業パートナーの窓口として、Plug and Playとのコミュニケーションをリードする担当者。社内の課題やニーズなどを把握したうえで、スタートアップとの協業可能性の検討や関係構築、社内関係部署への繋ぎ込みを行うなど、企業のイノベーションをリードするうえで重要な役割を担う。


−−どのようにスタートアップと大手企業、それぞれの目的をすり合わせ、コミュニケーションギャップを埋めているのでしょうか

Saori:
大手企業によって置かれている状況や、Championによるコミュニケーションの取り方や社内の巻き込み方、関与度合いも千差万別のため、スタートアップと大手企業それぞれで、お互いのスタンスを正直に伝えていただくようにしています。
子会社ごとにChampionを任命し、スタートアップのアップデート情報に関して共有会を開いている企業もあります。
また、SNSでカジュアルにつながれるChampionもいますし、企業によるコミュニケーションの特色もあるので、些細な情報でもこまめに伝えるようにしています。
特にコロナ渦では、初対面がオンラインであることも多々あるため、人となりや担当領域などの補足情報も共有するようにしています。

Taito:
採択スタートアップがプログラムに入るタイミングで、企業パートナーに関するインプットセッションを行うようにしています。大手企業だからこそ名は知られている一方で、実際にどのような事業があり、何を求めているのかは想像し難いものです。企業側のニーズを伝えたうえで、これまでの経緯を含めて中長期的に案件を捉えてもらうこと、そしてアクセラレータープログラムの期間内で具体的な協業内容までは発展にしづらい場合もあることなどをスタートアップに伝えたうえで、お互いの立場における期待値のすり合わせをするようにしています。
プログラムを進めるうえで発生するギャップに関しては千差万別なので、隔週で行われるミーティングでフォローアップするようにしています。

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Summit(Demo Day)の様子。2020年1月以降は完全オンラインへとシフトし、プログラムを実施している。

−−大手企業の担当者によっては、スタートアップの先進テクノロジーと自社サービスの親和性を判断できずに悩んでいる企業も多いように思います。Plug and Play Japanとしてどのようにサポートしているのでしょうか。

Taito:
製造業など技術に関して精度や基準値を高く設定している企業に関しては、当社としても基準値となる数値を共有してもらったうえで、掲げている目的に対して期待にそうような技術を持ち合わせるスタートアップを紹介することがあります。必ずしも大手企業がイメージしている技術やサービスでなくとも、抱えている課題を解決できるサービスや技術である場合もあります。最終的には何をやりたいかによって必要なテクノロジーは変わってくるため、まずは企業パートナーが成し遂げたいことや到達イメージを共有いただき、目的に資するレベルの技術がある複数のスタートアップとつなげ、案件を進められるように面談機会を設けるようにしています

Saori:
スタートアップ側としては、大手企業に理解していただくために、似たような技術が有象無象あるなかで、他スタートアップと比較した際の競合優位性について明確に伝えられるように用意をしてもらいます。特に海外スタートアップにおいては、言語の観点から、優位性をプレゼンできなければ国内大手企業にとっては国内スタートアップとの協業を選ぶ傾向が強いので、自社の独自性について相手が理解できる形で伝えられるかは非常に重要だと考えています。

−−アクセラレータープログラムを通して、一定の成果を有する大手企業とスタートアップは、取り組む姿勢やコミュニケーション方法などに傾向があるのでしょうか。

Taito:
大手企業側は、会社としての体制やカルチャーも影響しますが、社内の情報連携がスムーズで、スタートアップやテクノロジーに対して事業部のリテラシーが高ければ、最初のミーティングから案件に携わる社内関係者が同席し具体的な話に入れるため、案件が進むスピードも早いです。また、Championは多角的な視点から共創可能性を検討するために社内のニーズを幅広く把握しなければなりません。社内のニーズや課題を的確に把握していることで、実際にスタートアップがサービスについて説明した際に、自社のニーズと照らし合わせ、自社サービスや製品への転用や応用を想像し、その場でスタートアップ側に踏み込んだ質問やリクエストを出すことができる方は強いように思います。当社としても、ご契約をいただく時点で大手企業にはオンボーディングを実施し、Championの役割や案件を動かすうえでのノウハウについてはお伝えするようにしています。

Saori:
スタートアップと大手企業側どちらにも言えることかもしれませんが、そもそも3ヶ月で結果を出す=彼らの成功ではありません。
もちろんプログラム期間内ではタイムラインを区切ってある一定の成果を追っていくことは大切ですが、プログラムを通して新たな協業が生まれ、発展していくことも重要です。PoCをやるにしても、最終的に事業化へ結びつけ売上に繋げるところまで持っていくために、なぜそのPoCが必要なのかが定義づけできている企業は強いと思います。
その前提のもと、相手を知ろうとするスタートアップは成功に結びつきやすいように思います。協業相手の可能性がある大手企業をしっかり調べて、相手のアセットや課題の所在を考えたうえで、自分たちなりの仮説を持って協業案を提案できるスタートアップは建設的なディスカッションに繋げやすく、案件も進みやすいです。
自社のサービス説明だけで留まってしまう企業が多く、相手を理解したうえで提案できているスタートアップは意外に少ないように思います。

−−お二人の今後の目標について教えてください。

Saori:
PMとしてプログラムを考えるうえで、”少し役に立つ”セミナーやイベントではアクセラレーターとしては十分ではありません。
スタートアップの成長にダイレクトに効果を発揮するような施策でなければいけないと思っています。
プログラム期間中に実施するイベントやセミナーは、スタートアップの事業成長を支えるための手段の1つでしかありません。単にイベントを乱発するのではなく、それぞれのスタートアップに真摯に向き合いながら、何が本当に必要とされているサポートなのか、価値あるコンテンツとはどういうものなのか、プログラム内容の品質を追求しながら、Plug and Play Japanのプログラムが持つ価値を高めていき、スタートアップの事業成長を導いていける存在であり続けたいと思っています。

Taito:
スタートアップの成長支援を担っているPM同様に、各大手企業のフェーズにあわせ、イノベーション支援内容の品質を向上し続けることで、スタートアップとのコラボレーション、そして大手企業のオープンイノベーション活動がより加速されるようなサポートを提供していきたいと考えています。
また、スタートアップ×大手企業だけではなく、大手企業同士のコラボレーションなど、イノベーションプラットフォームとしてPlug and Play Japanがハブとなるような仕掛けを増やしていきたいです。
海外動向や先進テクノロジーの情報など、Plug and Play Japanだからこそ持っている情報もあるので、一歩先をいく鮮度が高い情報をお届けしていきたいと思っています。

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