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古民家で生きる鶏たちから学んだこと

 古民家で自給自足生活を送る知人から、興味深い話を聞いた。庭で地鶏を放し飼いしているというのだ。鶏は頭が小さく、知能は低いと教わってきたが、彼女の観察によると、鶏たちは想像を超える知性と社会性を備えていたらしい。

 まず驚いたのは、彼らの社会構造だ。ボスが存在し、集団で生活しているという。三世代にわたって鶏を飼い続けている友人によると、仲間が減ると、残された鶏たちは一斉に警戒感を強め、周囲を鋭く見渡すという。まるで、仲間の死を悲しみ、危険を察知しているかのようだ。

 鶏の優れた能力はこれだけではない。餌を食べる際、米と石やゴミを瞬時に見分け、必要な分だけを食べるという。しかも、その動作は人間の15倍の速さで行われるらしい。また、鶏の足の裏は非常に柔らかく、人の足音などの振動を感知できるという。
中国では、鶏が地震を予知する能力があるとも言われている。

 さらに、親鳥は危険を察知すると、独特な声で雛に知らせ、安全な場所に移動させるという。雛たちは、常に体を震わせており、この振動がコミュニケーションの手段になっている可能性もあるかも知れない。
知人は、家畜から鶏を山に返す実験を行ったという。自然の中で自由に生きてほしいという思いからだったが、結果は悲惨だった。生きていて良かったと思うのはつかの間で、会いに行ったら警戒心を解いた鶏たちは、他の鳥に襲われてしまったのだ。

 自然は、生き物にとって厳しい生存競争の場であることを痛感したという。鶏の観察を通して、私は多くのことを学んだ。鶏は、一見単純に見える生き物だが、高度な社会性を持ち、環境の変化に敏感に反応する。彼らの知恵と行動は、人間社会にも多くの示唆を与えてくれる。
この経験から、私は自然の摂理の厳しさを改めて認識するとともに、すべての生命が尊いものであることを実感した。そして、人間も自然の一部であり、他の生き物と共存していくことの大切さを学びました。


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