「平和と弥栄を!」Peace and Iyasaka(prosperity) – 新しい時代の挨拶を求めて
私は書き初めで、国の弥栄を祈る気持ちから筆を執りました。
「弥栄(いやさか)」という言葉は、繁栄や発展を願う場面で用いられる古くからの美しい表現です。しかし、現代では日常会話で耳にすることはほとんどありません。この古語に込められた力強い祈りの言葉が、現代において忘れ去られつつあることを、私は惜しいと感じています。
私たちは、祝杯をあげる際に「乾杯」という言葉を使います。しかし、私はこの「乾杯」という言葉に、どこか違和感を覚えるようになりました。「乾」という字は、水気がなくなる、尽きるという意味合いを持ち、「杯」は酒器、つまり飲み干すことを意味します。勝利を祝う席で、まるで「完敗」を連想させるような言葉を使うのは、いささか縁起が悪いように思えてなりません。もちろん、言葉の本来の意味と、現代での使われ方にずれがあることは承知しています。しかし、言葉が持つイメージ、潜在的な意味合いは、私たちの心に少なからず影響を与えるのではないでしょうか。
そこで私は、祝意を表す言葉として、古来より使われてきた「弥栄」を現代に蘇らせたいと考えました。「弥」は、いよいよ、ますますという意味を持ち、「栄」は、栄える、繁栄するという意味を持ちます。つまり、「弥栄」は、ますます栄えることを祈る、力強い肯定的な意味を持つ言葉なのです。この言葉を使うことで、祝福の気持ちがより純粋に、力強く伝わるのではないかと思いました。
SFドラマの金字塔、『スタートレック』をご存知でしょうか。宇宙艦隊の活躍を描いたこの作品には、バルカン人という論理的な宇宙人が登場します。彼らの特徴的な挨拶は、中指と薬指の間を広げた「バルカン・サリュート」と共に交わされる「長寿と繁栄を(Live long and prosper)」という言葉です。これに対し、相手は「平和と長寿を(Peace and long life)」と応えます。この挨拶は、単なる社交辞令ではなく、相手の幸福を心から願う深い意味が込められています。
私はこのバルカン人の挨拶に感銘を受けました。そして、「長寿と繁栄を」に対応する日本語として、「平和と弥栄を!」Peace and Iyasaka(prosperity)という新しい挨拶を創造することを思いついたのです。「平和」は、争いのない状態を意味し、「弥栄」は、前述の通り、ますます栄えることを意味します。この二つの言葉を組み合わせることで、平和な世界がますます繁栄していくことを祈る、力強いメッセージとなります。
「平和と弥栄を!」という挨拶は、単なる言葉遊びではありません。それは、過去への敬意と、未来への希望を込めた、新しい時代の挨拶です。古き良き言葉の力を借りながら、現代にふさわしい形で表現することで、言葉の持つ力を最大限に引き出すことができるのではないでしょうか。
例えば、結婚式で新郎新婦に「平和と弥栄を!」と伝えれば、二人の未来が平和で幸福に満ち、ますます繁栄していくことを心から願う気持ちが伝わるでしょう。会社の設立記念パーティーで「平和と弥栄を!」と唱えれば、会社の発展と、社会全体の平和が両立することを願う、力強いメッセージとなります。
私は、この「平和と弥栄を!」という挨拶が、これから広く使われることを願っています。この言葉を通して、人々が互いを尊重し、平和を願い、共に繁栄していく、そんな未来が訪れることを心から願っています。乾杯の代わりに、これからは「平和と弥栄を!」と声を上げ、新しい時代の幕開けを祝おうではありませんか。この言葉が、私たちの心に平和と希望の光を灯し、より良い未来へと導いてくれると信じています。