内気な人に響く曲、Smiths
20代の頃、今のようにいつでも音楽が聴ける時代ではない時。
わざわざレコードショップに行って、CDを探さないと聴けない時代。
その当時、私は仕事だけの人間になっていて、趣味といえばお気に入りのCDを見つけては寝る前に聴き続けていたくらいだった。
ショップに行って、ジャケット買いをする日々。
そこで、当たり外れもあったけれど、びっくりするほど素敵な歌に出会った。
予備知識も何も無しで。
それが、The Smithsのライブアルバム、「Rank」だった。
ジャケットの写真に惹かれたのもあるし、歌は聴いたことは無かったけれど、このバンドはよく私の好きなデニス・ホッパーの撮った写真をジャケットデザインにしていて、気にはなっていた。
とにかく、凄かった。
モリッシーが飛び跳ねて歌ってるみたいな「Ask」がひどく心に刺さった。
おぼつかないリスニング力で、「シャイはいいよね」とか語りかけてるのはわかった。
歌詞の内容と、リンクする様に内なるパワーを吐き出すようなライブの音。
私はよく人から「おとなしい」「内向的」と言われていた人間だったので、余計にその単語だけで元気になれた。もっとはしゃいで良いんだって。飛び込んでみなよ!と、言われてるように聴こえた。
結局、和訳したYouTubeでやっと最近「Ask」の意味を全部知ることになるのだけれど、その内容と、私がわけもわからず聴いていた時の気持ちと、そう変わらなかった事に気付いた!
ライブ版の「Ask」を聞いてから、スタジオ版のを聴くと、まるでモリッシーが「大人しく」なってしまってるように聴こえて、私はライブ版を好んで聴き続けた。
心にモヤモヤを残した時や、悔しくて眠れない時に。
音楽療法、という言葉があるように、私はこの曲で自分のメンタルケアをしていたのかもしれない。
なにも、静かなクラシックが心を休めてくれるとは限らない。
私にとっての子守唄(?)は、Smithsだったというだけ。
ちょっとこれが落ち着いている時は、XTCだったけど、本当に落ち込んでしまっている時は自然とSmithsを選んで聴いていた記憶がある。
もちろんAsk以外にも、延々とライブ版を聴き続けてもいた。なんでだろう?とても心地が良かった。
楽器隊も素晴らしく、疾走感とリズムが全く自然で、ムキになっていなくて、本当に最高の音楽。