思い出の白浜

幼い頃、夏休みには一族総出で和歌山県の白浜に旅行した。
母方の親戚で、祖父、祖母、伯父、伯母、叔父、叔母、その妻や夫、いとこ達、そして父と母と私。総勢24人。
昼は海で泳いで、夜は花火大会を旅館の部屋から眺めて大喜び。
そして次の日は、グラスボートに乗って円月島を見に行く。
毎年の恒例行事だった。

今は、おじいちゃんもおばあちゃんも亡くなって、
みんなばらばらで集まることもなくなった。

もっともよく覚えていることといえば、
同い年のいとこと海から旅館に戻るとき、
いとこは右だと、私は左だと、帰り道を主張した。
絶対的な自信があった私は、
「じゃ、私は左に行くから、自分は右に行けばええやん」
と言い捨てて旅館に帰ろうとしたら、慌てていとこは泣きながら追いかけてきた。
「あの時から自分は方向音痴やとわかったわ」とそのいとこは私に言う。


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