ある少年僧の話-1
「なんで同じように出来ないんだろう」
僕は小さい頃から発達に問題があったと思う。
3歳まで「あダダん」しか発語できなかった。
お母さんも、お父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも全部「あダダん」である。
落ち着きがなく、みんなに行動を合わせることができない。みんながやっていることに集中できないのに、逆にみんながとっくにやり終えていることをいつまでも集中してやり続けたりする。やろうと思っていたことが早めに失敗したり、やってる最中に邪魔をされると、すべてがどうでも良くなる。
そんな幼児だった。
やがて人並みに話せるようにはなったけれど、小学生になっても、相変わらず団体行動ができない。椅子にじっと座っていられない。まだギリギリ教師のゲンコツが許容されていた時代だったから、鉄拳制裁によりじきにウロウロすることは無くなったけれど、ノートは落書きだらけだった。特に算数が苦手で、3桁以上の数字が並ぶと、「いち、じゅう、ひゃく...」指で数えないといけなかった。他の教科でも、何度か失敗をして初めて覚えられるので、同級生との差は徐々に開いていった。
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