なんで原油が下落したの?(前半)~OPECの歴史から紐解く原油価格の決まり方~
最近、原油について聞かれることが多いので、ここに投稿してみます。
長くなっちゃったけど、読みやすくしたので、お時間ある時にサラっと読んでもらえれば嬉しいです!!
改めましてこんばんは、FPむーです。
◆なぜ原油価格が急落したの?
原油の先物価格(5月物)が1バレル=23ドル→マイナス37.63ドルになりました。
一日で56ドルも下がるなんて。
原油先物の取引が1983年に始まって以来、最低の水準。
(画像は、三井住友銀行マーケット情報より)
Q.なんでこんなに下がったのか。
A.需要に対して供給が多すぎたから。
Q.なぜ4/21に下がったか。
A.5月先物の現物渡しの期限が4/21だったから。4/21に決済しないと石油そのものを引き取らないといけない。
でもタンクはパンパンで引き取れない。
困った、投げ売りやー!って価格が暴落。
簡単に言うと、こういうことです。
◆そもそも原油価格ってどうやって決まるの?
原油の暴落の原因として、需要に対して供給が多すぎたから、と書きましたが、そもそも原油価格ってどうやって決まるのかご存知ですか?
原油が取れる場所はある程度決まっています。どこでも取れるというわけではありません。あなたの家の地下を掘っても原油はとれないわけでして。
じゃぁ、どこで原油がとれるのか?
原油と言えば、OPECって聞いたことありますよね?原油の産出国には、大きく2つの区分があります。OPECとOPEC以外。
◆OPECってなぁに?
そもそも、OPECって何やねんって?石油輸出国機構と言いまして。
OPECの発端は、自分たちが産油国なんだから、利益も自分たちで享受したい!と言って立ち上がったグループです。ここで、原油の利権の歴史を紐解いてみましょう。
◆原油の利権の歴史
◆第二次世界大戦後、原油の需要が拡大
時代はさかのぼること、第二次世界大戦後。
戦争が終わり、原油の需要は急拡大しました。
そのころは、石油メジャーと呼ばれる7つの巨大企業が石油を掌握。資本力と政治力で石油の探鉱(採掘)・生産・輸送・精製・販売までの全段階を垂直統合で行い、シェアの大部分を寡占していたのです。
7つの巨大企業とは、アメリカ企業5社とイギリス企業2社。そう、アメリカとイギリスなんですよ。アメリカとイギリスの巨大企業が強固なカルテルを結成して莫大な利益を上げていたんです。おかげで第二次世界大戦後の先進各国は復興し、経済は復活。
でも、実際に油田を持っている産油国には半分程度の利益しか入ってこなかったんです。
中東の産油国としては面白くないですよね。実際に油田を持ってるのはオレなんですけど。なんで利益の半分しか入ってこーへんねんって。
そんな中、事件が起こりました。
◆1959年、原油公示価格の引き下げ
1959年2月、石油メジャーが、産油国の了承なしに原油公示価格の引き下げを発表。
そんなことされたら、中東の産油国、怒りますよね。
強い不満を抱いた産油国はアラブ連盟第1回アラブ石油会議をカイロにて開催。石油メジャーに対して原油価格改訂時の事前通告を要求。
原油の価格を引き下げるなら、産油国に事前に通告してよって。勝手に決めないでって。
でも、その要求は受け入れられず。
◆1960年、さらなる引き下げの結果
さらに、1960年8月。石油メジャーが再び価格を引き下げ。
もう、産出国は激おこ(ノ`Д´)ノ
1960年9月14日、イラクの呼びかけに応じてイラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国の代表が集まり、中東地域の産油国を中心として、石油輸出国機構を設立したのです。
これがOPEC。
後にアラブ首長国連、アルジェリアなどが加わり、OPECには現在13カ国が加盟。本部はなぜかウィーン。オーストリアは加盟国じゃないのですが(笑)。
OPECは1970年代に石油の価格決定権を石油メジャーから奪いました。まぁ、その1970年代に2度もオイルショックを引き起こしているんですけどね。
原油価格の話に戻りますと。
1980年代半ばに価格決定権は自由市場に移りましたが、今でもOPECが全世界の原油生産量の4割以上、埋蔵量の7割以上を占めることから、生産調整などにより原油価格に大きな影響を及ぼす存在となっています。
どうやって価格調整しているかって?
供給量を調整することで石油価格を調整しています。
・加盟国が石油価格を上げたい場合→供給を制限するために生産割当量を下方修正。
・加盟国が石油価格を下げたい場合→供給を増やすために生産割当量を上方修正。
こうやって、OPECは原油価格を調整してきました。
では、最近の原油価格はどういった動きをしていたのでしょうか。
◆2000年以降の原油価格の動き
2000年以降の原油価格の動きを見ていくと、大きく下落した局面は今回を含めて3回ありました。
1回目が2008年後半。リーマンショックです。
世界的な景気減速が、エネルギー資源である原油の需要を減少させました。
2回目が2014年後半。シェールオイル革命です。
今まで開発が困難とされていたシェール(頁岩(けつがん)層に含まれる
非在来型の石油や天然ガスの採掘が可能になったのです。シェールオイルが実用化されたことにより、エネルギー革命が起きました。原油の優位性が揺らいだんですよね。
今までは、原油の産油国と言えば中東。サウジアラビア・イラン・イラクあたりだったんです。でも、シェール革命により、アメリカの生産量はすさまじくのびました。いまや、産油国の第一位はアメリカなんです。中東じゃないんですよ!シェールは中東の原油の優位性を脅かすモノ。
そして3回目が、今回。コロナショック。
COVID-19の感染拡大の影響により、世界中で外出自粛。経済がまわってないのだから、当然原油の需要も激減。需要は30%減と言われています。需要が減ったなら、それに伴って供給も減らさないとバランスおかしくなるのに、供給はそこまで減っていないので、価格は暴落。
「え、なんで需要が減っているのに供給が減らないの?」っと思ったあなたへ。そこには、サウジアラビアとロシアの思惑があるのです。そろそろ2500字超えて長くなってきたので、続きはまた次回。出来れば、明日アップしたいな。
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