なぜソフトバンクグループは、6ヶ月5兆円もの赤字を出しても潰れないのか?
(2022.8.17に、より分かりやすくなるよう、細かいところを修正しました。)
先日、友人がこのnoteを読んでくれました。
日経新聞と私、というプライベートな話。
そして読んだことをLINEで教えてくれました。
純粋に嬉しい。
で、話題は新聞に及びました。
新聞と言えば、最近のビッグニュースはこれ。
ソフトバンクグループの大赤字!
その額、6ヶ月で5兆円!
孫さんも、こう述べています。
そう、ソフトバンク創業以来の大きな数字なのです。
ところでみなさん。
5兆円の赤字と言われてピンときますか?
5兆円って、数字が大きすぎてピンとこない人も多いのではないでしょうか。
6ヶ月で5兆円の赤字。
直近3ヶ月では3兆円ほどの赤字でした。
これはどの程度の規模なのか。
そう、日本企業の4~6月期の赤字額としては、過去最大の数字なのです。
では、気になります。
Q: ソフトバンクGは、なぜこんなに赤字を出したのか?
Q: 6ヶ月で5兆円の赤字が日本企業にとって大きい数字であることは分かったけれど、ソフトバンクグループにとって、どの程度の規模なのか?
Q: なぜ5兆円もの赤字を出しても潰れないのか?
このあたりについて、今日はサクッと書いていきます。サクッとなので、お気軽に読んでみてください。と書いたのですが、5,000字を超えました。でも、だいぶ読みやすく書いて、図も多めにいれたので、是非読んでみてください。
◆なぜこんなに赤字を出したのか?
分かりやすく、会話方式で書いてみましょう。
私:ソフトバンクグループが6ヶ月で5兆円の赤字を出したね。なんでこんなに赤字を出したのか、分かる?
Aさん:うーん、ソフトバンクって、あのスマホのソフトバンクでしょ?スマホでそんなに赤字になるのかな?
私:そうね。ソフトバンクGはスマホのイメージが強いかもしれないけれど、それは子会社のソフトバンク。親会社のソフトバンクGの柱は、通信事業じゃないんだ。
Aさん:え、そうなの!?じゃぁ何をやっている会社なの?
私:一言で言うと、投資会社。ソフトバンクGにとって、現在の収益の柱は「ビジョン・ファンド」を通じた企業投資なんだ。
Aさん:そうなんだ。確かに、孫さんは投資のイメージがあるなぁ。
私:だよね。世界の人工知能(AI)関連の新興企業に未上場の段階で投資して、投資先が上場すれば段階的に株を売って資金回収しているんだ。ちなみに、投資先は何社ぐらいか知ってる?
Aさん:うーん、孫さんって色々やってそうだし、100社ぐらい?
私:実は、473社なんだよ。
Aさん:473社!!すごいね!
私:でね、ソフトバンクGは決算上、投資先の価値を評価しているの。ルールに基づいて、四半期ごとにね。そしてその増減を業績に反映しているの。企業の評価が下がればその分、損失を計上するんだ。
Aさん:投資先の価値の影響を受けるってことね。ということは…?4~6月期って…何があったっけ?あ、世界的にハイテク株が下落したのが関係している?
私:そうなの。アメリカが金利上昇したことをきっかけに、世界的にハイテク株が下落したよね。その影響で、ソフトバンクGの投資先の価値も下がったの。上場・未上場かかわらずね。
Aさん:2022年4~6月期、3兆円もの赤字になったのは、それが原因なんだ。
私:そう。この時期、ビジョン・ファンド事業だけで約2兆9000億円の投資損失を計上したわ。さらに円安が進行したわよね。
Aさん:そうそう!2022年4~6月で、120円→135円まで15円も円安になった!
私:3ヶ月で15円も為替が動くってなかなかないことだよね。その影響で外貨建て負債の円換算額が膨らみ、ここでも約8200億円の為替差損を計上したわ。
Aさん:そうなんだ…ソフトバンクって、てっきりスマホなどの通信事業かと思ってたけど、違うんだね。
私:子会社ソフトバンクは通信事業なんだけど、親会社のソフトバンク「グループ」になると、違うわね。ちなみに、4~6月期の、子会社ソフトバンク事業の利益が約2200億円。グループ全体の業績への影響は小さくなっているわ。
と、赤字の原因は、こんな感じです。
上記の太字で書いた通り、ソフトバンクGの赤字は「企業の評価が下がればその分、損失を計上」したというのが大きな要因です。つまり!実際に現金5兆円が減ったわけではないんですね。
でも赤字は赤字。6ヶ月で5兆円の赤字が日本企業にとって大きい数字であることは分かったけれど、ソフトバンクグループにとって、どの程度の規模なのか?
それを知るために、ソフトバンクGは、今まで利益をどのぐらい利益or損失を出していたのか、見てみましょう。
◆いままではどのような利益or損失だったのか?
6ヶ月で5兆円の赤字がソフトバンクグループにとって、どの程度の規模なのか。それを知るために、過去と比較してみましょう。
こんな時は、一次情報へGO!
ちなみに、大企業の決算状況を見たい場合は「会社名 IR」でググればだいたい出てきます。ぜひみなさんもやってみてください。
これですね。
IRにはいくつかの情報があるのですが、とりあえず決算短信を見てみましょう。四半期(3ヶ月)ではなくて、通年(1年間)を見てみましょうか。
2022年3月期の決算短信はこちら。
通年、2021年4月~2022年3月の、ソフトバンクGの決算書。
決算書は、会社の通信簿みたいなもんですね。
じゃじゃーん!
黄色のマーカーのところを見てみましょう。
<売上高>
2022年3月 6.2兆円
2021年3月 5.6兆円
売上高で、この規模なんです。そして上がっていますね。
<当期利益>
2022年3月 △1.4兆円
2021年3月 5.0兆円
<当期純利益>
2022年3月 △1.7兆円
2021年3月 4.9兆円
2022年1-3月で2兆円の赤字を出しているのが影響していますね。
でも、2021年は4.9兆円の黒字だった、と。
ここで気づいた人がいるかもしれません。
そう、経常利益が載っていない!
これに気が付いたあなた、さすがです。
簿記を勉強したことがあるか、銀行員か、経営企画部か、そのあたりの人なのではないでしょうか…!
会社のPL見る時に、重要な点はいくつか(というか銀行員的にはたくさん)あるのですが、その中でも経常利益は外せないポイント。
一番見たい経常利益が載っていない!!
なぜ?
分からなかったので、誰か知っている人、教えてくださいませ。
ソフトバンクGの決算書をここまで見て思いました。
ソフトバンクGにとっても、6ヶ月で5兆円の赤字というのは、かなり大きなインパクト。もしかしたら想定の範囲内ではあったかもしれないけれど。
例えるなら。
直近4年の年収がこんな感じの家庭において、
960万円→520万円→560万円→620万円
経費とか税金とか色々ひいたら利益として残っているのがこんな感じで、
140万円→△96万円→490万円→△170万円
6ヶ月で500万円の赤字を出した、というイメージです。
※ 実際のソフトバンクGの数字をもとに、ケタだけ変えています。
…ぶれぶれやな。
これはサラリーマンの家計ちゃうな。
サラリーマンやったらこんなにぶれへんやろ。
このブレ幅は、起業家とかフリーランスとかの家計やな(偏見)。
でね。
この家庭が、6ヶ月で500万円の損失を出したんです。大変なことではあるけれど、今までのぶれぶれ度合いを考えたら、まぁ、ありうるかなって感じもします。いや、何より過去最大なので、やっぱり大きいな。
そしたら気になります。
この家庭の資産はどのぐらいあるのか。
だってさ、資産が1億円あるなら大丈夫そうじゃないですか。
500万円ぐらい赤字出しても、なんとかなりそう。
逆に資産が500万円しかないのに、6ヶ月で500万円も損失だしたら、それは夜逃げへのカウントダウンが始まってるって思いませんか?
※ ソフトバンクGは特殊な会社なので、そうとも言い切れないですし、PLとCFを一緒くたにするな!という意見はごもっともです。CFについては後述するので!
ということで、ソフトバンクGの資産を調べてみよう!
資産といえば、BSだよね。
これです。一次情報だよ。
上のリンクをクリックして、こう思った人もいるのでは?
「なーんや、決算短信やん。ま、ここに載ってるの当たり前やろ。」
うん、結論から言うと載ってるんだけど、探してみて。
私はなかなか見つけられかった。
ということで、ここに載ってます!
資産 46兆円
負債 36兆円
資本 10兆円
先ほどの、この家庭に例えるなら。
って感じです。
資産とか資本とか難しいよーて方へ。
一般的な家庭として、ものすごく分かりやすく例えてみると。
あなたは住宅ローンを組んでいます。
土地と建物もあなたのもの(抵当権ついてる銀行のものという見方もありますけどね!)で、土地と建物とお金や運用商品等を合わせて4600万円ある。でも、住宅ローンが3600万円ある。だから、実質の資産は1000万円ぐらい。
っていうイメージです。
あくまでもイメージね。
で、ソフトバンクGの話に戻ろう。
6ヶ月で5兆円もの赤字を出したソフトバンクG。
つまり。
赤字の倍ほどの資本はあるよってことです。
正確に言うと、5兆円の赤字を出した期間は、1月~6月。
そして、その途中の3月末時点で10兆円の資本があるということです。
◆なぜ5兆円もの赤字を出しても潰れないのか?
ここからさらに。
上記で少し触れた、キャッシュフローも見てみましょう。
なぜキャッシュフローを見るかって?
少し考えてみて欲しいのです。
会社が潰れるか潰れないかって、どこがポイントだと思いますか?赤字が続いたから?それもあるかもしれませんが、赤字が続いていても倒産しない会社もあります。逆に黒字でも倒産する会社もあります。
倒産するかしないかって、赤字が出たからよりも、「お金(現金)があるかないか」の方がポイントなんですよ。
一般家庭で例えるなら。
年収200万円で支出500万円の赤字の家庭でも、手元にお金が1億円あったら全然問題ないわけです。この1億円が土地だったら困るけど、まぁ土地だったら売ってお金にすればいいし。とくかく手元に現金があれば大丈夫。夜逃げしなくて大丈夫。自己破産しなくて大丈夫。
(宮部みゆきの火車を読んでいるところなので、この例えが出てしまう…!)
でも。年収500万円で支出200万円で黒字の家庭だったとしても。手元にお金がなかったら困るわけ。年収500万円って言っても、給与は月払い。例えば毎月25日に40万円口座に振り込まれるとします。でも今日は15日。そして口座にはお金が10万円しかない。でも明日には30万円の支払いが待っている。「25日は40万円入るから!」って言っても、支払日は明日なのですよ。お金が足りないのですよ。住宅ローンが3600万円あるからこれ以上お金を借りることも出来ない。さぁ、どうする!?
…みたいなイメージです。
ということで、倒産するかしないかは、キャッシュフロー(お金の流れ)が大事なのです。
じゃぁ気になるよね。
ソフトバンクGのキャッシュフローはどうなっているのか。
ソフトバンクGのキャッシュフローはこちら!
もちろん、一次情報ですよ!
2022年6月時点では、6兆円の残高があります。
最初の方でも書きました。ソフフトバンクGの赤字は「企業の評価が下がればその分、損失を計上」したというのが大きな要因です。つまり、実際に現金5兆円が減ったわけではない、と。だから、6ヶ月で5兆円の赤字を出した後でも、こんなに現金があるのです。
◆まとめ
<ソフトバンクGのPL>
売上高 6.2兆円
当期利益 △1.4兆円
当期純利益 △1.7兆円
(2022年3月)
<ソフトバンクGのBS>
資産 46兆円
負債 36兆円
資本 10兆円
(2022年3月)
<ソフトバンクGのCF>
残高6兆円(2022年6月)
ソフトバンクGは、1~6月の6ヶ月で5兆円の赤字を出した。
でも、6月時点でお金は6兆円ある。
なぜなら、ソフトバンクGの赤字の大きな原因は、「ビジョン・ファンド事業での、投資先の企業の評価が下がったその分、損失を計上した(&円安により為替差損を計上した)」したことです。つまり、評価損です。実際に現金5兆円が減ったわけではないのです。だから、6ヶ月で5兆円の赤字を出した後でも、6兆円の現金がある。現金が手元にある限り、会社は潰れない。
だから、ソフトバンクGは潰れないのです。
もちろん、今後の動向に目は離せません。が、孫さんなら何とかするんじゃないかなぁという思いもあります。知らんけど。
◆さいごに
ふぅぅ。一次情報さかのぼるのは、なんだかんだ大変です。そして気が付いたら5,000字を超えていました。けっこう頑張って書いたので、この最後まで読んでくれて、「頑張って書いたやん」って思ってくださった方は、是非「スキ(♡)」のボタンをお願いします!
(5,894字)
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