アザレア(Azalea)の物語
第2章 スピリチュアルとの出逢い。
タロット占い。
不思議な人との、
不思議な出会いは、
不思議なことを連れてきた。
アザレアの気持ちはお見通しとばかりに、かけてくれる言葉は驚きと癒しをくれる。
常に、緊張状態のアザレアが穏やかで居られる唯一の時間。
肩の力が抜けると言うより、凝り固まった心が緩む感じ。
そして、不思議の意味を知りたい気持ちは、
膨らみに耐えかね、弾ける出来事が起こった。
お菓子を手渡された時、初めてお互いの指先が触れた。
その瞬間の衝撃がアザレアの全身を貫いた。
言葉にすると可笑しげではあるが、例えるなら電気が走ると言うのだろうか。
とにかくこんなことは初めてで、一瞬全てが無になった。
時間の感覚もない。
世界の境界線もない。
ただ、無の状態。
多分、それは一瞬の出来事に過ぎなかっただろ。
しかし、その一瞬が永遠にさえ思えたのだ。
この出来事を踏まえ、出会いの意味を模索した。
しかし皆目見当は付かず、イラつきだけが募るばかり。
そんな中、ママ友の飲み会で状況が一変した。機械音痴のアザレアのスマホに、いつの間にかYouTubeがダウンロードされていた。
これも不思議と言えば不思議な出来事ではあるが、結局誰がしたのか分からず仕舞い。
このYouTubeが、タロット占いへとアザレアを誘った。
初めて開いた画面の一番上にあった
『お二人が出会った意味』
が目に飛び込んだ。そして、迷うことなく見始めた。
おススメで上がってくるタイトルは、不思議の意味を知れるような気がし、ネットサーフィンするようになった。
それ以外、アザレアの日常はいつも通り。
イライラも日常茶飯事。
波打つ気持ちは増すばかり。
そんな状態で良いことが起こる訳はなかった。
持ち前の頑張りが顕著に裏目に出た。
手を抜くことができないアザレアは、期待以上にやってしまう。それを良しとしない先輩女性から、やる事に比例して嫌がらせが増えた。
その嫌がらせは幼稚なもので、必要な連絡をしないとかとか。
『社会人として』を叩き込まれたアザレアは、理解に苦しんだ。別の先輩から女の嫉妬だと言われたが、逆に呆れて何も言えなくなった。
結局、仕事は後手後手。
問題が起き、対応を確認してもダンマリの先輩女性。判断して動くアザレア。上手くいくと手柄は横取り、協力しないならまだしも、邪魔をしてくる。
こんな状態でも「助けて」と言えないアザレア。
そんなアザレアは、こんな状況を何とかしたくて、よりタロット占いにのめり込む。
答えは出ない。
状況は悪化。
胸の二頭の魔物は力を増し、牙を剥く。
そして、アザレアの中がついに爆発する。
『こんな自分、自分じゃない。
本当の自分に還りたい』と。
この時、自分探しの旅がはじまった。
つづく。