実録!モラハラサバイバー11

洗い物事件

 こども達が小さい時は、なんとかかんとか取り繕って楽しい家庭を演出することが可能だった。ただ、こどもが大きくなってくると、夫の言動がどうにもおかしいことに、こども達も気づき始める。
 もはやフォローすることもできないやと思い知ったのはある年の暮れの事だった。

 夫は自称「家事にだって協力的な夫」である。ここに私は大きな注釈「※但し環境が整えば」を加えなければならないのだが。
 お休みの日は「食器洗いとかしちゃう俺」のつもりなんである。しかし、それは食後、
「家族がみんな自分の使った食器を台所に運んで来れば」の条件付きだ。
好みだろうが、日頃洗い物を担当している私は、それぞれが別々に茶碗、お椀、お皿、お箸をセットで持って来られて台所に積まれると作業がしにくい。だったら茶碗5人分、お椀5人分とまとめてくれる方が良い。日頃洗い物を良く担当してくれる次男もこっち派なので、家族がハケた食卓から、
「はい茶碗~。はい箸~」てな具合で連携プレーをする事もしばしば。そうすると非常に効率が良いので、次男は学校へ行く前のちょこっとの時間でも、そんな風にして手伝ってくれる。
 ところが、である。休日だけ「協力的な夫」を演じようとする夫は、ごはんが終わるや否や、「みんな、自分の食器持ってこ~い!」と号令をかける。もしくは運ばれた食器だけ洗い物をするのだ。洗い物と言っても我が家には食洗機があるので、そこに入れるだけなのだが・・・。むしろ、食卓に置き去りの分については意地でも手を付けないので、結果、食洗機に入れられたものを私が出して、入れ直す羽目になる。私が食器を片付けようとすると、「台所に運んでおいてくれたら、俺やるよ」と張り切った声で遮る。でも、ゴメン。台所まで運んで置いとく位なら、そのまま食洗機に入れるよ。
「うちの子は食後に自分の食器を台所に運ぶってしつけもされてない!」と、まぁ、普段からそこは夫の地雷ではあるのだ。

 で、とうとうその日はやって来た。
休日、家族の朝ご飯がとうに終わった後に起きてきた夫の朝ご飯の食器だけが台所に置かれたまま昼食となった日だった。後から食べたなら自分で洗えば事件は起きなかったのに。
昼食後、次男がみんなの食器を食洗機へセットしてくれた。「昼ご飯の分は終わった!」の宣言と共に。そう。夫の朝ご飯の分は放置されていたのだ。だって、夫も条件が合わないものは放置するからね。

「なんで、俺のだけやらないの!!」と夫は激怒し、怒鳴ったり、喚いたり、机をばんばん叩いて威嚇した。
次男はその時にプチっと切れたようで
「おまえの事は、もう知らない」
とのたまった父の言葉を言質に、その後一切の接触を断った。


以来一言も父親と口をきかない次男に「あなたが悪い」とは間違っても言えない。フォローできない事件は次々と起き、夫は完全に家の中で孤立してしまった。

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