実録!モラハラサバイバー6
ワンオペ育児
第一子が逆子で、切迫流産、切迫早産と常に安静が必要だったこともあり、妊娠中に仕事は辞めた。
そもそも、就職氷河期世代。私たちの一つ上の代まで就職率100%を自慢にしていた短大だったが、同級生で卒業式当日に就職が決まっていたのは1割にも満たなかった。私は、卒業研究の担当教官のような立場であった先生の設計事務所に拾ってもらえたが、その設計事務所もバブル崩壊のあおりを受けて、在籍した2年ほどの間に2回他社に吸収合併され社名が変更。とうとう、「社会保険は会社がお金を払ってる。これを止めても良いか?」と聞かれたのを機に退職。中途入社した会社で夫と出会い、結婚を機に、派遣社員になった。
そんな経緯もあって仕事というモノに、大した思い入れもなかった。
なにより我が子を自分の手で育てたい思いは人一倍強かったので、育児はサイコーに面白かった。
未だ「ワンオペ育児」なる言葉はなかったが、育児は全く一人で担っていたし、そのことに不満もまるでなかった。
伯母に、「あんたが、育児を楽しんでることは良~く解るけど、大変さもちゃんと夫に伝えないと。夫育ても同時にやらなきゃ後で大変な事になる」と、諭されたが、3人もこどもを育てているのに、大人を再教育する余裕なぞない!と、全く相手にしなかった。
結局は伯母が正しかった。女が、育児に充てる時間を割いてまで再教育しなきゃ成り立たない程、この国の男女格差は大きい。
夫は「専業主婦なんだから」という言葉を頻繁に使った。「専業主婦なんだから、家の事は全部やって当たり前」「専業主婦なんだから育児は全部やって当たり前」というように。
言っておくが、育児中の女性は専業ママであっても専業主婦ではあり得ない。それほど過酷に24時間体制で仕事にあたっている。だって、ほっといたら死んじゃう、か弱い生き物の命を1人で預かっているのだ。それに私は結婚と同時に退職したんじゃない。出産と同時に退職したんだから育児は担うが、あなたの世話は仕事じゃない!と言いたかった。「専業主婦」を言い訳にするなら、いっそそのためだけに仕事を持とうかとも考えた。
夜泣きを理由に夫は早々に寝室を別にした。「だって、俺が起きたって何の役にも立たないし、俺が昼間眠くて仕事が出来なかったら、家族みんな路頭に迷う」から。
「夜泣きに付き合って寝不足の元同僚の話はしないで。起きない自分が責められてるみたいだから」と言われ、その通りにしていたら話すことがなくなった。
不満を口にしようものなら「じゃあ何で一緒にいるの?」と聞かれる。夫に対する不満は、離婚の決意を持ってしないと口にすらできないことのようだった。
それでもイクメンを気取りたい夫は、赤ちゃんをお風呂に入れる役は買って出る。但し、出るタイミングで着替えやタオルが用意されていないことに怒る。
「おむつ替えもするよ♪」と、親戚に自慢する。でも、「おれがおむつ替えるタイミングでウンチをしてたことは、たまたま一度もない」そうだ。
育児は楽しいし、下手に手出し口出しされる事もなく、満喫していた。それを一人で担う事に何の不服もなかった。でもパートナーとしての夫に疑問は次々と沸き起こった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?