実録!モラハラサバイバー15

鍵にまつわる

 夕飯の買い物など、夫が家に居て私が出掛けると、夫は鍵をかけて出掛ける。一日中パジャマでダラダラしていても、ビデオで映画を観ている最中でも、多分大慌てで準備をして出かけるのだろう。私の鍵は玄関に掛けてあるので、鍵を持って出かけたかどうかは一目瞭然で、締め出すためにやっているとしか考えられない。だから、家人が家に居るから安心して鍵を持たずに買い物に行ってはいけない。

 鍵と言えば、車の鍵を私達夫婦は1つずつ持っている。
私の鍵は玄関に掛けてあるので、たまに夫が使っているのは許容していた。
夫の健康診断の日と、私の仕事がかぶったことがあった。夫は健康診断に車で行きたがったが、仕事は車でしか行けない場所だったし、仕事な事は周知済だったし、健康診断であることは初耳だったし、夫の健康診断会場へはバスでも行けたので、渋々乗車権を譲ってくれた。
ところが、である。
いざ出ようと思ったら車の鍵がない。直近で車を使ったのは私で、鍵はいつもの場所に戻していたのに。夫に電話しても捕まらない。
嫌な予感がして早めに準備していたので、その日は自転車を駅まで飛ばし、電車とタクシーを乗り継いでギリギリ約束の時間には間に合った。

 別の日の朝、デッキには昨日長男が使ったドライバーが置きっぱなしになっていた。デッキには以前にも触れた木材と、一月前に夫が折って以来放置され続けているスコップもあったのだが。
虫の居所が悪かったに違いない夫が
「ちょっと!なんでドライバーが出しっぱなの!」と、朝から喚いた。
何でかと言えば、木材が邪魔で手入れがされていないデッキに飛び出している釘が危ないと長男がそれを抜くために出したのだが、みんなの為に対処しようとしてくれた長男を売るような真似はしたくない。
「知らない」と答えた。
「知らないじゃないよ!片付けさせろよ!」とあまりに大騒ぎするので、
「させろじゃないよ。誰が出したか知らないよ。片付けなって言えばいいじゃん。その横にある折れたシャベルはいいの?もっとずっとあるよ。」と言ったらブッちぎれた。
「じゃあ言わせてもらうけど」
・・・いや。言わなくていいよ。夫は窮すると話をあらぬ方向へ飛ばしてけむに巻こうとする癖がある。今度はどこへ話を飛ばして胡麻化すんだろうと、思っていたら
「何度も言ってるのに、車の中掃除してないじゃん!じゃあもう乗るなよ!二度と車は使わせない!」と怒鳴って、足を踏み鳴らし、靴ホルダーを下駄箱の中に投げつけ、玄関の私の車の鍵を持って出かけて行った。
幸い車を使わねばならない日ではなかったので良かったが、車の鍵を取り上げて使わせなくする権利が彼にあるのだろうか?

 鍵は彼にとって、攻撃心をくすぐるアイテムではあるらしい。


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