スミレもバラも咲かせたい
私は、専業主婦です。
社会的には、無職です。
履歴書に書ける資格や特技を持っていない、車の運転も出来ない。
働き盛りで多忙な夫と、何かと手の掛かる中学生の娘がいるので、生活時間も不規則。
年齢も40代後半になり、もしも仕事を探すなら、条件はかなり厳しい。
節約と、ベランダガーデニングが楽しみの、普通のお母さん。
そんな私が想う「豊かさ」は、子育ての時間です。
娘の誕生から2歳までは、育児サークルの代表。
お世話になった助産院で、健診と子育て相談を兼ねた「同窓会」があり、同じ時期に生まれた子どもと母親、7組の交流が始まりました。
公民館の部屋を借りるために、団体登録が必要で、公民館に一番近い私が成り行きで代表になり、会場予約や仲間への連絡など。
2歳を過ぎると、保育園に預けてパートに出る人、引っ越した人もいて、残った私達も幼稚園探しの時期になり解散。
幼稚園時代は、うたのおかあさん。
とても家庭的な園で、制服や送迎バスがない、親子で登園して先生とも毎日お話できるところ。
保護者会の活動の他、読み聞かせサークル、ママさんコーラス、幼稚園対抗バレーボール大会など、とにかく忙しかった。
朝、娘と登園して、そのままお迎えの時間まで園で過ごすことも多かったです。
絵本の読み聞かせ、紙芝居、わらべ歌あそびとコーラスは、子どもたちが喜んでくれるので、やりがいを感じていました。
バレーボールは苦手意識があったけど、練習してみたらトスが上手と褒められて。
みんながアタック決めやすいように上げるのが、とても楽しかったです。
小学校では6年間、PTA新聞の担当。
子どもが学校にいる時間にできる係で、先生方やPTA役員に原稿を依頼したり、集めた原稿を印刷屋さんに届けたり、校正をしたり。
締切が過ぎて、計画通りに進まないため、働くママが参加しやすいように段取りを工夫しました。
中学校のPTAは、ほとんど負担なし。
短期集中、とても効率が良く、風通しも良い。
今年は、バザーなど大きな行事は中止となり、PTAの活動も未定の様子。
子どもが一人なので、娘の卒業と同時に私も次のステップに移行しています。
幼稚園3年間、小学校6年間、中学校3年間、というように。
一方、習い事は掛け持ちで、いろいろ挑戦して、私も裏方で手伝っています。
私がホームだと感じるのは、10年目のバレエ。
レッスン風景も、緊張感漂うリハーサルも、公演の楽屋や舞台袖でのサポートも、何をしていても楽しいです。
今では、髪型や舞台メイクも、娘が自分でできるので、衣裳の補正と最終チェックを手伝う程度。
コンテンポラリーにも挑戦したり、ますます楽しみになってきました。
去年の公演では、私はゲストのプロの先生方の衣裳係をさせていただいて、裏方冥利に尽きました。
勉強中なのは、3年目の日本舞踊。
踊りは、着付けも分からないところから始めました。
稽古着の浴衣は、娘が一人で着れるように練習しましたが、ティーンのサイズが無いため、肩上げなど補正が必要。
背が伸びる度に、ほどいて縫い直して。
衣裳も、大人の振り袖を肩上げして着せています。
衣裳の着付けや和化粧は、機会も少なく、まだ慣れません。
でも、邦楽は心地よく、古典作品を観るのが好きになりました。
中学校では武道も習っていて、洗濯物が、、、
日替わりで袴と、浴衣と、レオタードと。
まるで、いろんな花を育てているよう。花の色も、香りも飽きることがないように、娘一人で何人分、私はたくさんの経験をさせてもらったんだろう。
経験と思い出は、目には見えないものですが、親子で過ごした時間、子どもと一緒に成長してきた過程は、私の人生を豊かなものにしていると思います。
娘は今、怪我をしていて習い事は全てお休みしています。
治るまで不安もあるだろうし、忙しくて、今まで出来なかったことを、ゆっくり楽しんで欲しいです。
そして、娘が新しい芽を見付けたら、それが可愛いスミレでも、大輪のバラの花でも、また一緒に育てて行きたいと思います。