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父のためなら *生一本*

私が幼い頃、父は気持ちの病を抱えていた。生後すぐ冷たくなってしまった姉を、一度しか抱きしめられなかったせいかもしれない。その後、生を受けた兄と私。 家族を養うために這いつくばって仕事をし、疲れた身体でも夜は眠れず、しーんと真っ暗な町を無心で走っていた。命をすり減らしながら生きる父は、団地の高所から姉の住む世界へと飛び立とうとする日もあった。 母はひたすら生一本に、妻として出来ることは何でも真摯に取り入れ実践してきた。あとは、ただ、祈ることしか出来なかった。 父の病につい