旅するこころ -気散じ-
繰り返される毎日に疲れ果て、都会の華やかさも喧騒に変わっていた。アパートで一人心が沈む夜。ふと顔が浮かび送ったメールへの返信は一文だけ。
"沖縄の海はいいぞ、あんたも来たら"
翌日には、空を飛び海を渡って、波照間島まで来ていた。ほわっと熱い空気、何処にいても心地よく聞こえてくる波の音、山羊の声。私の知らない世界。
学生と先生という関係ではあったが、当時から何だかとても気が合った。取留めのない事から生きる意味についてまで、思いつくまま語り合った時間は、この上なく多彩だった