新型コロナ2価ワクチンの効果についての論文

ちょっと、コロナ関連の話は控えてましたが、
Cleveland Clinic の感染症科から出た論文を紹介します。

Effectiveness of the Coronavirus Disease 2019 Bivalent Vaccine.
Open Forum Infectious Diseases.Volume 10, Issue 6, June 2023.



背景
本研究の目的は、2価のコロナウイルス2019(COVID-19)ワクチンがCOVID-19を予防するかどうかを評価することである。

方法
本研究は、2価COVID-19ワクチンが初めて利用可能になった時に雇用されていたクリーブランドクリニックの従業員を対象とした。その後26週間のCOVID-19の累積罹患率を調べた。ワクチン接種による予防効果(時間依存の共変量として解析)をCox比例ハザード回帰を用いて評価した。解析は、前回のCOVID-19エピソードが発生したパンデミック期と、前回のワクチン接種回数で調整した。

結果
51017人の従業員のうち、4424人(8.7%)にCOVID-19が発生した。多変量解析において、2価ワクチン接種状態は、BA.4/5優勢時(ハザード比、0.71[95%信頼区間、0.63-79])およびBQ優位期(0.80[0.69-0.94])においてCOVID-19のリスク低下と関連していたが、XBB優位期((0.96 [.82–.1.12]))ではリスク低下は認められなかった。推定ワクチン効果は29%(BA.4/5優位期:95%信頼区間、21%~37%)、20%(BQ優位期:6%~31%)、4%(XBB優位期:-12%~18%)であった。
COVID-19のリスクは、直近のCOVID-19発症からの経過時間および過去に受けたワクチン接種回数とともに増加した。

結論
働き盛りの成人に接種された2価のCOVID-19ワクチンは、全体としてCOVID-19に対する適度な予防効果を示した。
BA.4/5系統が優勢な循環株であった場合、COVID-19に対する2価COVID-19ワクチンの予防効果は全体的に緩やかであったが、BQ系統が優勢な場合には予防効果は低く、XBB系統が優勢な場合には有効性は示されなかった。


縦軸:累積発症率。0dose(未接種)が一番低い。3回以上が一番高い。


本文の考察では、バイアス(偏り)が多いことも予想され、
・2価ワクチンを打つ人はコロナウイルス感染に気を使っていて、検査を受けることが多いかも、リスクが高い行動を取らないかも。
・逆に、打たなかった人は、検査受けない傾向にあるかも、リスク高い行動とるかも。
・でも、有給休暇とるには核酸検査が必要だから調べてるだろう。
・重症化については少なすぎて検討できない。
などなど書いてました。

結論には、
2価ワクチンは「マイルド」に効いていたとかいてますが(30%以下の有効率ですけど)、すくなくともXBB優位な時期には全く効かなかったようです。
接種回数によって感染率が上がるのは「予想外」って書いてましたが、
本当はそっちをメインに書きたかったのでは?

日本では(日本だけ?)、
生後6か月から小児でも2価ワクチン推奨されてますが、
XBBには効かないし、
そもそも重症化も少ないし(小児科では熱発しても検査しないことのほうが多いみたいですけど)・・・・・。


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