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認知症の薬について

今日から夏日だそうです。
朝も日差しが強く、暑くなりそう。


コロナ関連の話題ばかりだったのですが、

もともと(浅く広い)医療系ブログ目指していたので、

他の疾患も話題にしたいと思います。
高齢化社会で問題となる認知症の治療についてです。


Mayo Clinicより

Dementia-Treatment.


認知症の治療

ほとんどのタイプの認知症は治すことはできませんが、進行を抑制する方法はあります。


いきなりですが、認知症を治す薬はありません。

完全に進行を止めることもできません。

進行を遅らせることはできるようです。


薬物療法

認知症の症状を一時的に改善するために、次のようなものが使われます。

①コリンエステラーゼ阻害薬

ドネペジル(アリセプト)、リバスチグミン(エクセロンパッチ)、ガランタミン(レミニール)などのこれらの薬は、記憶や判断に関わる化学伝達物質のレベルを高めることで作用します。

副作用としては、吐き気、嘔吐、下痢などがあります。その他、心拍数の低下、失神、睡眠障害などの副作用の可能性もあります。


いわゆるアクセル系の薬です。

意欲がない、言葉数が減った患者さんには効果的です。

逆に、攻撃性が強く、易怒性があるような患者さんには不向きです。

ずっと飲んでると怒りっぽくなることもあるそうです。
(もともとの性格なのか判断しづらいですが、
怒りっぽい方は、ちらほらみかけますね。)


消化器症状があるので少量から開始するのと、

徐脈があるので不整脈のある人には注意です。


認知症の進行の抑制効果はどれも同じくらいだそうですが、

以下のような違いがあります。


ドネペジル:
ジェネリックがあるので安い。軽症から重症認知症まで使用可能。


レミニール
1日2回内服なので、認知症の方には管理がやや難。中等度まで。


エクセロンパッチ:
 意欲を高める効果あり。中等度まで。

 貼り薬で使いやすいが、30%の人にかぶれ等皮膚症状がでる。




②メマンチン

メマンチン(メマリー)は、学習や記憶などの脳機能に関与する別の化学伝達物質であるグルタミン酸の活性を調節することで作用します。場合によっては、メマンチンはコリンエステラーゼ阻害剤と一緒に処方されることもあります。
メマンチンの一般的な副作用は、めまい、傾眠です。


いわゆるブレーキ系の薬です。

中等度および高度アルツハイマー型認知症における症状の進行を抑制する薬です。

進行抑制以上に「患者さんを穏やかにする作用」が強いそうです。

周辺症状(幻覚、妄想、介護拒否、暴言暴力など)に効果的です。

海外ではNamzaric(ドネペジル+メマンチン)という合剤もあるそうです。


漢方の抑肝散にもグルタミン酸の過剰放出を抑制する作用があるとのことです。

こちらは効き目が出るまでに2週間ほどかかるそうです。

稀に、浮腫や低カリウム血症がおこる(甘草)ので注意しましょう。


③抗アミロイドβ抗体

海外では、新薬として抗アミロイドβ抗体があります。

脳内のアミロイドβに結合して減らす作用があります。(値段が高い)


軽度アルツハイマー病とアルツハイマー病による、

MCI(軽度認知障害)の進行を抑制する

アデュカヌマブとレカネマブです。


アデュカヌマブはFDAで迅速承認されましたが、
効果がないとする研究もあります。

日本では認可されていません。

レカネマブはFDAでは2023年1月承認(年間340万円位)されています。日本でも承認申請中のようです。


適応は、MCIもしくは軽度アルツハイマー型認知症で、

アミロイドPET検査や脳脊髄液検査で、

アミロイドβの蓄積が認められた人です。


臨床試験が行われており、

65~80歳のグループに2週間に1回投与(注射)し、
18か月後の認知機能の変化を比較すると、
偽薬グループに比べ27%の症状の悪化を抑制したそうです。

副作用として、脳浮腫(12.6%)、脳出血(17.3%)があり、
定期的にMRI検査が必要です。

PETは高いし、MRIも定期的にうけるには高いし、
物忘れ程度の状態で脳出血(無症状のようですが)おこすような高価な注射を開始するのはちょっと厳しいですね。


非薬物的なアプローチ

いくつかの認知症の症状や行動問題は、以下のような非薬物的なアプローチで初期治療を行うことができるかもしれません

薬以外のアプローチが、初期治療にとても重要とのことです。


①作業療法

作業療法士は、自宅をより安全にする方法を教えたり、対処法を教えたりすることができます。その目的は、転倒などの事故を防ぎ、行動を管理し、認知症の進行に備えることです。

②環境を修正する

散らかっているものや騒音を減らすことで、認知症の人が集中したり機能したりしやすくなります。ナイフや車の鍵など、安全を脅かすような物を隠す必要があるかもしれません。認知症の人が歩き回ったら、監視システムで警告することもできます。

③作業を簡素化する

作業を簡単なステップに分け、失敗ではなく、成功に焦点を当てます。構造化と規則性は、認知症の人の混乱を軽減するのにも役立ちます。

とはいっても、
都会では独居の老人も多いし、
施設でも、慢性的な人手不足の日本の介護業界では、
言うは易く行うは難し。

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