『『罪と罰』を読まない』——ひとり読書会、開催。
みなさん、こんにちは。
むささびです。
今回は、ここ最近で一番「流れ」を楽しんだ読書について。
ここでいう読書の「流れ」というのは、「どういう順番で本を読むか」ということです。
皆さんは普段、本を読む順番を意識されていますか?
私は正直、全然意識していません。
今読んでいる本が読み終わったら(あるいは読み終わらないうちに)、積読コーナーから目についた本を引っ張り出して、次の本を読み始めます。
積読コーナーには、これから読みたい本がジャンル・著者などを問わず雑然と並んでいて、私の本を読む順番には、基本的に脈絡がありません。
シリーズものの作品や、上下巻に分冊されている作品についても、連続で読むことは稀です。
さすがに上下巻のうち下巻から読み始めることはありませんが、上巻を読んでから下巻を読むまでに、期間が数カ月空くということは多々あります。
最近だと、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』の4巻を読んでから5巻を手に取るまでに、3カ月が経過していました。
この読み方をすることに、作品が面白いか面白くないかは、あまり関係がありません。
もちろん、面白くないと感じた作品は途中で読むのを止めたりしますが……たとえ面白いと感じた作品でも、やはり連続では読まずに、違う本を挟みたくなってしまうのです。
この感覚、私だけでしょうか……?
2020年4月に1作目を読み始めた小野不由美さんの「十二国記シリーズ」も、間に違う本を挟みすぎて、いまだ最新作まで読み終わっていません。1年半もあったのに……。
繰り返しますが、「十二国記シリーズ」はめちゃめちゃ面白くて、大好きな作品です!
ただ、どうしても連続で読もうとは思わないのです。
話が逸れてしまいました。
今回はそんな「流れ」を一切無視して読書する私が、「これは良い流れだったなあ」と感じた作品をご紹介します。
それがこちら。
19世紀ロシアの名作『罪と罰』を読んだ後に、『『罪と罰』を読まない』という題の本を読む矛盾(別に矛盾ではないか)。
これが、とても楽しい読書体験になりました。
『『罪と罰』を読まない』は、岸本佐知子さん、三浦しをんさん、吉田篤弘さん、吉田浩美さんの4名が、実は読んだことのなかった『罪と罰』について、わずかなヒントを頼りにこういう話なのではないかと推理し合うという、変わった読書会の様子を収めた一冊。
まず、読書会メンバーが超豪華。
この4名が集まって、本についてあれやこれやと話し合う内容が、つまらないわけがありません。
そして何より、『罪と罰』を読んだことのない人が、『罪と罰』の話の筋や登場人物の思いを推測するという、「読まずに読む読書会」が斬新で面白い。
『罪と罰』から引用したわずかな文章を出発点に、4人の想像が際限なく飛躍していく様子が、おかしくてたまりません。
さらに後半では、『罪と罰』を読み終えた4人が再び集まり、推しキャラを熱く語り合う感想戦が繰り広げられます。
笑いながら読み進めるうちに、難解な『罪と罰』の筋書きをすっと理解することができ、そして「こんな解釈があるのか」という新鮮な気付きを味わえる、『罪と罰』への愛が詰まった作品でした。
私はこの『『罪と罰』を読まない』を、『罪と罰』を読み終えた後に読んで良かったと思います。
『罪と罰』を読み、自分なりに感想・解釈を持った状態で『『罪と罰』を読まない』を読むと、4人の推理の鋭さ・おかしさを本編と比較しながら楽しんだり、4人の読み方と自分の読み方を比較して新しい発見をしたりすることができました。
自分がよく理解できていなかった部分、見落としていた部分に気づかせてくれたり、登場人物たちの変な言動に対するツッコミに思わず共感したり……。
私は読書会に参加したことがないのですが、『罪と罰』を読んでから『『罪と罰』を読まない』を読んでいると、「きっと読書会ってこんな感じなのかな」と、あたかも読書会に参加したかような気持ちになりました。
『罪と罰』という、決して読みやすくない小説が題材になっているからこそ、その難解さを笑いに昇華し、そして作品の面白さを他の人と分かち合うことの満足感が大きかったのだと思います。
もちろん『『罪と罰』を読まない』は、『罪と罰』を読んでいなくても楽しめるでしょう。
4人と同じように、前半は『罪と罰』を未読の状態で読み、後半の感想戦は『罪と罰』を読み終えてから読んでも、面白いのではないかと思います。
でもやっぱり、この作品を最大限に楽しむならば、『罪と罰』を読んでから読むのが一番だと、私は思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
むささびでした!
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