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空飛ぶヘビとアメンボロボット

イグノーベル賞を2回受賞者の著作

ノーベル賞と点対称な界隈にスポットライトを当てる、私の大好きな存在が、イグノーベル賞です。

彼らの研究は、有意義ではないのか?そんなことないです。筆者の研究である「哺乳類オシッコ21秒の法則」は、泌尿器科に根本的な意識改革をもたらしたそうです。では、何が"有意義"なのでしょうか?
ある研究から、違う次元の扉が軋みながらも突然開く瞬間は、あるかも知れません。現に「21秒のオシッコ」の発端は、愛息が自分に放尿したキッカケでした。そのかいあって、動物園で暮らす動物たちのオシッコタイムを見張る事になった、筆者の協力者たちがいました。

そう考えれば、ウナギや魚が泳ぐ原理から、宇宙空間で"泳ぐ"存在が、将来できるかも知れません。魚類が泳ぐなんて、当たり前ですよね。
でも、どうやって泳いでいるのでしょうか?どうやって浮いている?日常で見過ごされてしまう、そんな素朴な疑問の探究。これこそがアニマルモーションの研究であり、筆者の着眼点なのです。

資源やロボット、宇宙開発など、あらゆる次元の問題の突破口となる可能性は、無意味ではありません。ノーベル賞が軋んで開いた扉の先にある賞だと仮定するなら、イグノーベル賞は可能性を見出すために解明された、未来に託された解決方法の一端なのです。

筆者は、私たちがキッチンで見かけるGとか、Gとか、Gとかを、事細かに書き出してくれて、イグノーベル賞の何たるかをピュアな科学者の目線で、読者を奈落へと引きづり込んでくれます。もしも不思議な国のアリスが好きな方で、ウサギの穴に落ちる力を感じて頂けたなら、この心地よい重力を堪能してくれるでしょう。

英語では"How to walk on water & climb up walls"という本です。どうやって水の上を歩き、壁を登るか。日本語訳の方がとても上手なので、"ロボット"、"物理"、"数学"が守備範囲外の本の"蟲"たちも、冗長性だとか翅(ハネ)だとか非ニュートン流体だとか、普段見かけない語彙力は抜群なスパイスだと思います。ぜひご賞味くださいませ。

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