吸入麻酔濃度は【年齢調整】0.7MACで維持する
前回吸入麻酔濃度を考えるときの考え方
【MAC】について解説しました↓
今回は吸入麻酔を具体的に何%で設定するか、です。
先に結論の表を貼っておきますね。
ん?これはどう使うんだ?
と思った方でも大丈夫です!
記事の最後で具体的な使い方について解説します。
■ MACの応用、MAC-awake
現代の麻酔で吸入麻酔薬に求められているのは「鎮静」です。
鎮痛・筋弛緩は別の薬剤があります。
そこでMACの概念を応用した
MAC-awakeが登場します。
MACは半数の人が「動かない」指標でしたが、
MAC-awakeは半数の人が「起きない」指標です。
これまでの研究で、
MACの約1/3がMAC-awakeであることがわかっています。
セボフルランなら約2.1%です。
■ 鎮静に必要な吸入麻酔濃度は0.7MAC
MAC-awakeの濃度で鎮静すると
約半数の人は起きてしまうということになります。
なので
1/3MAC(0.33MAC)の約2倍
0.7MACで管理します。
これで
約95%の人が刺激されても起きません。
セボフルランなら約1.5%が0.7MACです。
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もうちょっと細かく知りたい人はこちらの書籍がおすすめです。
MACの概念をエーテル時代の麻酔のやりかたからイラスト付きでわかりやすく解説しています。
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■ MACは年齢で変化する
実際の設定をするまで
もう一つ知識が必要です!
それは
MACは年齢で変化するということ。
MACは基本的に身長や体重によって変わりません。
が、高齢者ほど必要な吸入麻酔濃度は減ることがわかっています。
実際麻酔をかけるときは年齢を考えて
濃度を設定します。
■年齢別吸入麻酔濃度表
ということで
吸入麻酔薬は【年齢調整】された0.7MACに濃度を調整します。
具体的な数値をまとめました。
麻酔中のモニターには
呼気の吸入麻酔濃度が表示されます。
これが0.7MACとなるように調節します。
■あれ?脳波は見なくてもいいんですか、、?
もちろん見てもOKです!
吸入麻酔はプロポフォールと比べて鎮静効果の個人差が少ない薬です。
なので0.7MACで維持して
脳波(BIS)は見ないことは結構あります。
しかし、以下のような状況では
脳波をみながら麻酔薬を調整するのはアリでしょう。
●もとから他の薬が使用されていた
- プレゼデックスで鎮静されてきた
●もともと意識が悪い
- 脳外科手術、外傷
●循環動態が不安定
- 出血、低血圧
■さいごに
まとめです。
今回は、
吸入麻酔は年齢により必要な吸入麻酔濃度が決まっていること。
0.7MACが一つの目安であること。
をお話ししました!
適当に麻酔器の気化器をひねっていたわけではなかったですね😂
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