ビジョントレーニング その3 実践編(ワークシート)
ビジョントレーニングの紹介その3です。今回はワークシートを使ったトレーニングとその入手先を紹介していきたいと思います。
ワークシートを使う前に
ワークシートを使う際は、鉛筆やペンにも注意しましょう。
視力的に見えにくい弱視の子の場合、鉛筆は2Bや3Bの濃いもの、シャーペンは同じく2Bや3Bで芯の太さは0.7ミリや1.0ミリなど太いものが見やすくていいでしょう。見え方によってはボールペンやサインペンを使うとはっきりわかりやすくなります。
また色覚に配慮して、赤にこだわらず青や紫など自分の見やすい色ペンを使うことも大事です。
不器用さのある子の場合、太く持ちやすい公文の三角鉛筆やグリップを使うと持ち方が安定する場合もあります。
(画像は広汎性発達障害児ママの子育てブログより)
(画像はブンドキ.comより)
こちらの記事で、板書やプリントの工夫、筆記用具などについて紹介しています。
1 追従性眼球運動のトレーニング
①線めいろ その1
同じマークから同じマークまでを線の通りにたどります。まずは指で、次はえんぴつで、それから眼だけでたどります。眼だけでたどるときは頭を動かさないように注意します。
交差点があるのがポイントで、線を眼で追う難易度が上がります。
うまくできるようになったら、線を往復したり、線に沿ってハサミで切ってみましょう。
(画像はメノコトより)
②線めいろ その2
その1と同じように、指、えんぴつ、眼だけの順で線をたどりましょう。線が曲がっているので難易度アップです。難しいときは、線に色をつけてみてください。
(画像はメノコトより)
向きを変えることで、上→下だけでなく、左→右や下→上などいろいろな方向に眼を動かす練習になります。
これもうまくできるようになったらハサミで切ってみましょう。
③線なぞり その1
線と線の間を、えんぴつでなぞります。両側の線に触れないようにします。
できたら向きを変えて、いろんな方向で試してみてください。
(画像は記者撮影より)
(画像はメノコトより)
④線なぞり その2
今度はまるやしかく、さんかくや8の字など、図形の周囲をえんぴつで何度もグルグルなぞります。できたら反対回りもやってみましょう。
えんぴつの先をしっかり見てなぞるのがポイントです。
(画像は佐賀県教育センターより)
⑤迷路
100円均一ショップに行くと迷路の本が売っています。本人の力に合わせて難易度を調整してチャレンジしましょう。
(画像はメノコトより)
2 跳躍性眼球運動のトレーニング
①眼のジャンプ
上下・左右に文字を眼で追って読んでいきます。最後までいったら、また最初に戻って、繰り返し行います。
(画像はメノコトより)
暗記してしまわないように、数字や文字を変えて、再度行います。紙を傾けて斜めにすると難易度アップです。
難しい場合は指で文字にタッチしながら読みましょう。
②文字探し
数字や数字を小さい順から大きい順、ABC順、50音順に探してタッチします。
(画像はメノコトより)
特定のひらがなでやアルファベット、数字だけを見つけるバージョンもあります。
(画像はメノコトより)
③ランダム読み
声に出して数字や文字を読み上げていきます。右上からタテ読みと、左上からヨコ読みの両方にチャレンジしてみましょう。
(画像はメノコトより)
ひらがなやアルファベットでは知っている単語を見つけて丸をする、数字は読み上げながら1つずつ丸をつけていくなどすると難易度アップです。
3 眼と体の協応のトレーニング
①両手でグルグル
右手と左手の両方に鉛筆を1本ずつ持ち、同時に同じスピードで、図形の線と線の間をグルグルなぞります。
(画像は佐賀県教育委員会より)
内回りや外回り、右回りや左回りなど方向を変えたり、図形を拡大していろいろな大きさなどで試してみましょう。
②開いているのは(矢印は)どっち
ランドルト環のように開いているマークの開いている方向や、矢印の向きを指さしたり、その方向へジャンプしたりしてみましょう。
(画像はメノコトより)
③同じ形ができるかな
手本と同じポーズを、手や指、身体全体で真似しましょう。メトロノームのリズムに合わせて、リズムを少しずつ早くしていきましょう。
(画像はメノコトより)
4 視空間認知のトレーニング
①点つなぎ
見本を見て、点を線でむすんで見本を再現します。まずは5×5くらいからスタートしていきます。慣れないうちは線に番号をつけて、順番通りに書いてもいいでしょう。書き順を覚える助けにもなります。
(画像はぷりんときっずより)
慣れてきたら、図を回転させたり、左右反転させたり、見本の線を増やしたり、10×10など点を増やすなど徐々に複雑にしていきます。
正確に再現できるようになってきたら、見本を隠して再現することにもチャレンジしてみましょう。
盲学校の弱視の子で、この点つなぎのトレーニングを重ねることで、漢字の書き間違い(前の多い少ない)が減り、正確に写せるようになってきました。また記憶力も向上したようで、一度に線を一本ずつ確認していたのが、一度に何本もの線を覚えて写せるようになりました。
5 ワークシートの入手先について
ワークシートをダウンロードできるサイトをいくつか紹介します。
①メノコト ビジョントレーニング無料プリント・ドリル教材20選
いろいろな種類のワークシートが無料でダウンロードできます。
②佐賀県教育委員会 読み書き等のつまずきに対する「見る力」を高めるトレーニングの活用
ワークシートの他、いろいろなトレーニングの写真や動画が紹介されています。
就学前幼児向けの運筆プリントに、なぞり書きや迷路、図形を描写や点つなぎなどビジョントレーニングに活用できる無料プリントデータがあります。
こちらに初級から上級までの点つなぎのワークシートがあります。
図書文化社のホームページでは、北出勝也先生の書籍『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』、『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2』、『クラスで楽しく学ぶビジョントレーニング』に掲載されているパスワードを入力すると、遊び編で紹介したパズルやジオボード、ペグポードの見本シートやワークシートがダウンロードできます。
他にもビジョントレーニングと検索すれば、多くのサイトが見つかりますよ。
販売されているのワークシートやワークシート付属の解説本もあります。
ぐるぐる迷路、マスコピー、○×数字レース、点つなぎ、見比べレースがそれぞれ段階ごとに販売されています。
見る力を育てるビジョン・アセスメントWAVESと関連している商品です。
(画像はアットスクールおすすめ教材SHOPより)
②『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング(北出勝也)』
③ 『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング2(北出勝也)』
本にはビジョントレーニングの解説やコピーして活用できるワークシートも掲載されています。
④ 『発達の気になる子の学習・運動が楽しくなるビジョントレーニング(北出勝也 監修)』
遊び感覚のトレーニングや付属のワークシートを使ったトレーニングなど、学校や家庭で手軽に「見る力」を向上させることができます。大人のサポートの仕方、難易度のアレンジまで丁寧に解説されています。
まとめ
ビジョントレーニングで活用できるワークシートの紹介はどうでしたか。まずは遊びから入り、慣れてきたら徐々にワークシートやアプリなんかと組み合わせた毎日のプログラムを組んでみましょう。あまり長時間にせず、少しずつ楽しんで毎日続けるのがポイントです。
以下の記事も見ながら楽しんで取り組めるプログラムを考えていきましょう。
参考にしたサイト・書籍
①メノコト
②『発達障害の子のビジョン・トレーニング(北出勝也)』講談社
③『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング(北出勝也)』図書文化社
表紙の画像はCOMG!より引用しました。