盲学校からの発信「静寂の中の熱い戦い 全国盲学校フロアバレーボール大会」
毎年夏に各地区予選を勝ち上がってきた全国の盲学校が集まる「全国盲学校フロアバレーボール大会」を知っていますか?
元盲学校教員として、これまで盲学校関係のアレコレについて紹介してきました。
今回はそんな盲学校関係の一大イベントである、全国盲学校フロアバレーボール大会について紹介していきます。
フロアバレーボールとは?
フロアバレーボールは視覚障がいスポーツの1つです。
6対6のチームで戦い、文字通りボールをネットの下(フロア)を転がしてプレイします。
チームはアイシェードを着用して全く見えない状態でプレイする前衛プレイヤー3名と、特に制限のない後衛プレイヤー3名にわかれます。通常のバレーと同じように前衛のブロックを除いて3打以内に相手コートへ返球します。
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
よく聞かれるのですが、ブラインドサッカーやゴールボールとは違い、ボールには鈴などは入っていません。ごく普通のバレーボールです。僕は前衛プレイヤーですが、アイシェードをしているのでプレイ中は全く見えません(盲学校では全盲生徒が前衛をすることがおおいです)。そのため、前衛プレイヤーは、ボールの転がる音や後衛からの指示や説明、前衛同士の声かけ、身体にネットやボールなどが触れた感触を頼りにプレイします。
一方で、後衛プレイヤーはアイシェードなどを着用しませんし、見えの制限はありません(一方で、後衛プレイヤーはアイシェードなどを着用しませんし、見えの制限はありません(盲学校では基本的に弱視生徒が後衛をしますが、青眼者もプレイします)。なので見えている分、いろいろな情報を言葉で味方前衛へと伝えます。盲学校では基本的に弱視生徒が後衛を担当します。
そんなフロアバレーボールは、青眼者(見えている人)も弱視も全盲も一緒になって楽しめるスポーツです。
詳しいルールやプレイの様子は、TOKYOパラスポーツチャンネルの解説動画や、JFVA日本フロアバレーボール協会や全国盲学校フロアバレーボール大会、TOKYOパラスポーツチャンネルのホームページをどうぞ。
僕自身も盲学校でフロアバレーボールに出会い、バレー部の顧問として、それから社会人チームで、盲学校を離れた今もフロアバレーボールに関わっています。
興味のある方は僕のマガジン「フロアバレーボール」に動画などありますので、よければどうぞ。
全国盲学校フロアバレーボール大会について
以前は「静かな甲子園」「盲学校の甲子園」などと言われていたグランドソフトボールが盲学校全国大会の種目でしたが、2017年からその種目がフロアバレーボールに変更になりました。
(画像は湘南ジャーナルより)
全国大会に向けては、各地区の盲学校同士で予算が行われます。北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国四国、九州の各地区で優勝した代表8チーム、及び前年の優勝地区の2位チーム、主管校の計10チームで戦います。
第1回の埼玉大会以降、コロナ禍で中止もありましたが、今年の東京大会まで夏に熱戦が繰り広げられてきました(コロナ禍についての記事がいくつかありました)。
過去の大会の結果は以下の通りです。
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
全校盲学校フロアバレーボール大会は競輪の補助を受けて運営されています。
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
僕自身の思い出
僕自身は盲学校時代に記念すべき第1回大会に引率として参加しました。
それまでの全国盲学校野球大会にも運営スタッフや引率で参加したことがあります。各地区の盲学校を勝ち上がってきたチーム同士の白熱した試合。
地区予選大会もそれまでと違い、全国大会出場がかかっているとあって熱が入ります。
フロアバレーボールはその性質上、プレイ中は静かに観戦することが求められます。アタックが決まる、ブロックやレシーブのミスで審判の笛が鳴った瞬間、喜びや悲壮を表す歓声がわぁっと広がります。
大会に向けて練習した期間は長くても、込める想いは大きくとも、決着がつくのは一瞬です。
決勝戦は文字通り一喜一憂しながら、手を握りしめ、静かに応援したのを覚えています。
2セットとも15-14までもつれこむ大接戦でした。
うちのチームは残念ながら惜しくも優勝は逃しましたが、この決勝戦に参加していた両チームの選手の中から、ゴールボールやブラインドサッカーのパラリンピックプレイヤーが出たことは何かの縁を感じます。
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
その後の全国大会には縁がなく、盲学校を離れてしまいました。が、社会人チームでフロアバレーボールを続けていたこともあり、地区代表の盲学校の練習に参加し、大会での活躍を応援していました。
コロナの影響が小さくなり、僕自身も離れていたフロアバレーボールに戻った時期からは、関東関西の盲学校練習試合にも顔を出させていただく機会もありました。
そんな訳で盲学校を離れてからも全国大会は気になる存在でした。
第8回全国盲学校フロアバレーボールTOKYO大会
(画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より)
今年のTOKYO大会には、僕の地区からは2チームが出場しました。大会前にどちらの盲学校にも練習へ行き、全国大会での活躍を応援しました。
いつもは結果や試合の様子は人立てに耳にするだけでしたが、今回のTOKYO大会ではYouTubeでライブ中継がありました。
1日目 Aコート
1日目 Bコート
2日目 Aコート(3位決定戦・決勝戦)
2日目 Bコート
なのでリアルタイム…ではなく仕事の休憩時間や帰宅途中の電車内で試合の様子を見ることができました。過去の練習試合や地区予選の想定とは違うプレイを連発するチームもあり、ハラハラドキドキさせられました。
大会結果は以下の通りです、大阪南視覚が4連覇を達成しました。
試合動画を見ながら、一緒に練習した学生を応援する気持ちだけでなく、自分が参加した埼玉大会の懐かしい思い出も蘇ってきました。
百聞は一見にしかず。記事を読んでいただいてる皆さんにも、ぜひ試合動画を見ていただいたらと思います。
まとめ
全国盲学校フロアバレーボール大会をいつか紹介しようと思って温めていましたが笑、今年は動画配信があるということで、僕自身の言葉よりも見ればもっとわかるだろうということで、このタイミングで紹介させていただきました。
来年に向けてもう各チームは動き出しています。気になった方はぜひこれからも全国盲学校フロアバレーボール大会のホームページをチェックしてください!
表紙の画像は全国盲学校フロアバレーボール大会より引用した第1回大会閉会式の写真です。