体験記事「堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター」
今回は夏休みの合間に訪問した、堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターさんを紹介させていただきます。
視覚障がいの方向け 新型コロナウィルス関連のまとめという記事で紹介した、「点字図書館の訓練・相談員による新型コロナウイルス関連情報まとめページ」を制作されたのがこの堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターで、以前から気になっていたのです。
どこにあるの?
場所は堺市立健康福祉プラザの2階です。
(画像はOSAKA福祉オープンキャンパスより)
(画像は堺市立健康福祉プラザより)
堺市立健康福祉プラザは、大仙公園、履中天皇陵のすぐそばです。最寄駅はJR阪和線の「百舌鳥駅」または「上野芝駅」でどちらも徒歩15分ほど。バスなら南海バス「旭ヶ丘 健康福祉プラザ前」すぐ、または南海バス「塩穴通」から徒歩7分ほどです。
(画像は堺市こころの健康センターより)
住所:〒590-0808
堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3番1号
電話:072-275-5024
開館:火曜~土曜 9時~17時半
代表アドレス:tento@sakai-kfp.info
貸出専用アドレス:tosho@sakai-kfp.info
どんな施設、設備があるの?
古墳めぐりの途中にふらっと立ち寄ったのですが、職員の方が気前良く案内してくださいました。
受付前には視覚障がいや聴覚障がいに関連するポスターや点字付きの地図、手話50音表などが掲示されていました(地図は撮り忘れました…)。
実は大学時代に手話を学んだことがあるので、そちらにもちょっと興味があるのです(手話歌とかやってました)。
受付には筆談ボードも置いてあります。
まず案内していただいたのはビデオライブラリー。聴覚障がいの方を対象とした字幕付きのDVDの貸し出しを行なっています。
奥には字幕制作室もあり、隣のスタジオでは字幕や手話通訳を映像に差し込む編集などが行われるそうです。
部屋の前では手話通訳と字幕付きの堺市長定例会見が行われていました。
続いては閲覧室。ちょうどzoomを使った相談支援が行われていたので中には入れませんでしたが、拡大読書器や音声の出る電子レンジなどの機器も置いてあるそうです。奥には対面朗読室もあります(残念ながら現在はサービス停止中だそうです)。
壁面にはテルミやさわる絵本、ロービジョン関連の本が陳列されていました。点字本ではないので、一般の方も借りることができるそうです。
続いては点字校正室。中にはパソコンと懐かしの点字ディスプレイがありました。現在はコロナ禍のため、ボランティアさんが来られて…ということはなく、メールやzoomを使ってやり取りされているそうです。
隣の点字印刷室には懐かしの点字プリンターがありました。アレはJTR製ですね笑。
続いては録音室。こちらも懐かしのパソコンとマイクがあり、定期試験の度に音声版問題をつくるためプレックストークを操作しながら読み間違って悔しい思いをしたのを思い出します笑。最近は生声の録音なく、パソコンで編集することが多いそうですが。4部屋ある録音室もコロナ前はいつも埋まっていたそうです…。隣には録音室編集室もあります。
それ以外に相談室や研修室、会議室があり(残念ながら中には入れませんでした)、最後に点字図書館の書庫を覗かせてもらいました。
「点字本はあまりなく…」と言われていましたが、デイジー図書のCDが8000〜9000枚はあるそうです。
以上が施設の案内になります。
どんなサービスを受けられるの?
続いては堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターで視覚障がいの方が利用できるサービスを紹介します。
1.点字・録音図書を借りる
点字・録音図書を貸し出しサービスです。対象は堺市在住または通勤・通学されている視覚障がいの方です。ここの点字図書館だけでなく、全国の点字図書館の蔵書の中から探してもらい、借りることができます。利用は無料で、身体障がい者手帳があれば郵送料も無料になります。
(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)
またSDカード等に対応のデイジー再生機を持っている方で、自身でデイジー図書のダウンロードが困難な方を対象に、代行してダウンロードするサービスを行なっているそうです。
プライベートサービスもあります。
希望する書籍、書類、説明書などの点訳・音訳や点字の打ち出し(実費負担)、図書データのメディア(SDカード、USBメモリ)へのコピーです。
そのための点訳・音訳ボランティアさんの育成もされています。
2.対面朗読・読み書きをしてもらう(一部代筆含む)
読んで欲しいと思った図書や資料などを点訳・音訳したり、対面で朗読するサービスです…が、現在はコロナ禍のため対面での朗読サービスは停止し、zoomなどを介してのサービスを行なっているそうです。
(画像は毎日新聞より)
希望する書籍、書類、説明書の代読・代筆を依頼することもできます。
3.相談する
見えない・見えにくい方の相談を受け付けています。利用は無料です。身体障がい者手帳を持っていなくても利用できます。
見えない・見えにくいことへの不安や疑問、今後の生活について、福祉機器の申請方法など、一度聞いてみたい、聞いてほしいことがあればぜひ相談してみてください。
コロナ禍の現在は、zoomでの相談にも対応しているそうです。
(画像はリフォームのニムラより)
また視覚・聴覚障害者センターでは、相談内容に合わせて、必要な道具や機器の紹介や貸し出しを行っています。拡大読書器・ルーペ・白杖・音声パソコンは実際に体験できます。
(画像は宮崎中央眼科病院ロービジョンケアより)
購入前に体験したい方はもちろん、どんなものか知りたいという方も相談してみてください。
ただし、担当者不在の場合があるので、来館して相談される場合は必ず事前に電話やメールで連絡くださいとのことです。
4.訓練する
視覚・聴覚障害者センターには歩行訓練士が3名おられ、歩行をはじめ、拡大読書器やルーペなどの機器の選定と使い方、掃除・洗濯・調理などの日常生活、点字の読み書き、パソコンやスマートフォンを音声で操作する方法などの訓練を受けることができます。
(画像は神奈川県総合リハビリテーションセンター 七沢自立支援ホームより)
来館での訓練も訪問での訓練もどちらも実施されています。
また月1回、初心者講習会という、音声パソコン、点字の読み方、白杖基礎操作の体験会が実施されています。一度体験し、その後も相談の上、訓練を継続することも可能です。
5.交流する
見えない・見えにくい方やその家族、支援者、ボランティア、職員の交流を目的とした交流サロンを月1回開催されています。
内容は音声解説付き映画体験会、スポーツ体験、ミニコンサート、脳トレ「手指を使った体操」、アロマストーン作りなど毎回異なるそうです。
次回令和3年9月11日(土)は、「履中天皇陵」と「大仙公園」の鳥たちで、野鳥の生態や自然環境との関わりについてのお話と散策だそうです。
おすすめポイント
1.欲しい点字本を印刷してくれる
「希望する本のデータはあるけれど印刷された点字本がない」というときには点字本を印刷して貸し出してくれるそうです。点字で読みたいときに便利なサービスですよね。
(画像は神戸市立点字図書館より)
2.堺市以外に住んでいても来館すれば相談サービスを受けることができる
堺市立の施設なのですが、来館さられば他市町村の方の相談を受けることも可能だそうです。太っ腹ですねー笑。
また入院や施設入所されている方の相談も受け付けています。視覚障がいだけでなく他の障がいがある方も対象です。病院内や施設内での移動訓練、身辺動作訓練、担当スタッフの方々への研修なども実施されています。
3.点字図書館機関紙「わびさび」
点字図書館からのお知らせや新刊案内などが掲載されている機関紙「わびさび」を発行されています。こちらから、墨字版(HTML)・音訳版(mp3)・点訳版(BES)がダウンロードできます(バックナンバーも掲載されています)。
またこちらの「役立つページ(Q&A)」には、新型コロナウィルス関連や、堺市作成のチラシ・パンフレット、各種リーフレットなどのテキストデータがあります。
4.健康福祉プラザ内にいろんな福祉施設がある
この堺市立健康福祉プラザには、視覚・聴覚障害者センター以外にもいろんな福祉関連の施設が入っています。
市民交流センター、授産活動支援センター、スポーツセンター、生活リハビリテーションセンター、総合相談情報センター、堺市発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター「エマリス堺」、堺市難病患者支援センター、重症心身障害者(児)支援センター「ベルデさかい」、堺市こども相談所、堺市障害者更生相談所、堺市こころの健康センターです。
なので例えば就労に関しては、視覚・聴覚障害者センターで相談した後に障害者就業・生活支援センター「エマリス堺」に行くことも可能です。これは便利ですね。
4階のトレーニング室を使って活動するサウンドテーブルテニスのサークルもあるそうですよ。
(画像は毎日新聞より)
まとめ
堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターの紹介いかがでしたか?もう一度情報を掲載しておきますね。
住所:〒590-0808
堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3番1号
電話:072-275-5024
開館:火曜~土曜 9時~17時半
代表アドレス:tento@sakai-kfp.info
貸出専用アドレス:tosho@sakai-kfp.info
いろいろとおすすめポイントはありますが、地域の見えない・見えにくい方と交流できたり、いろんな福祉関連施設が集まっているのがいいなぁと思いました。
堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターは大阪版スマートサイト「大阪あいねっと」にも掲載されています。
(画像は大阪府眼科医会より)
スマートサイトの目的は医療と福祉、教育を繋ぐことですが、堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターはその福祉と地域を繋ぐ架け橋になっているのではないでしょうか。そんな堺市健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターさんのような施設が増えていけばいいですね。
お忙しい中、心よく案内していただいた職員の皆さん、ありがとうございました。
また機会があれば他の視覚障がい関連の施設を紹介したいと思います。
表紙の画像は記者作成より