新しい点字 Braille Neue(ブレイルノイエ)とkataru braille
みなさんは点字を知っていますか?近年、この点字の新しい可能性を生む発明がありました。今回はそのBraille Neue(ブレイルノイエ)とkataru brailleについて紹介します。
点字のこれまでの歴史について
みなさんは点字を知っていますか?1825年、フランスのルイ・ブライユさんが発明した6つの点からなる、見えない人が触って読む文字です。日本にもこの点字は伝わり、1890(明治23)年11月1日に石川倉次さん考案の日本点字が採用されてから変わらず使い続けられてきました。
点字は発明された当初から200年ほど経ちますが、それ程大きくは変わっていません。点の数が8点(アメリカのニューヨーク・ポイントや日本の漢点字)になったり、中途視覚障がいの方向けに点の大きなLサイズ点字が発明されたり、ピンディスプレイで触れるようになりましたが、指先で読むためにその大きさやその点同士の間隔などは変わりません。
点字は指先の触覚を使って読む文字なので、その性質上、みなさんが読んだり書いたりする文字(点字に対して墨字と呼びます)のように、大きさやフォントを自由にデザインすることはありませんでした。点字の大きさはJIS規格「日本工業規格 JIS T9253」で定められています(点字図書や点字ディスプレイは対象外)。
(画像は新興グランド社より)
なので、ビールの缶にある「おさけ」も、駅の券売機にある駅名や料金表示も、カゴメのケチャップの容器にある「けちゃっぷ」も、サイゼリヤやびっくりドンキーなどの点字メニューも、全て同じ大きさで同じ形の点字なのです。
全ての人が点字を読めるように
点字は視覚障がいの方が触って読む文字です。視覚障がいの方が触って読む文字といっても、視力や視野障がいのある弱視の方が多いこと、また中途視覚障がいの方が点字を指で読めるよう訓練するのが大変なこと、ICT機器の発達で簡単に文字を拡大したり音声で読み上げたりできるようになったことなどから、点字を読み書きできるのは視覚障がい者の約10%です。
(画像は神戸市立点字図書館より)
小学校で点字やユニバーサルデザインを学んだ方も多いでしょうが、点字をそれなりのスピードで読める方は珍しいのではないでしょうか。
この点字が視覚障がい者専用の文字になっているという現在に対し、目でも指でも読める点字を提案するのが「Braille Neue(ブレイルノイエ)」です。
目でも指でも読める点字「Braille Neue(ブレイルノイエ)」
(画像はsoar「目でも指でも読める点字”を知ってますか?「Braille Neue」が目指すユニバーサルな社会」より)
Braille Neue(ブレイルノイエ)は、グラフィックデザイナーとして活躍する高橋鴻介さん(@ootori_t)が開発されました。
視覚障がいの方が点字を読むのを見て、「点を線でつないで読む点字」を思いつき試行錯誤されたそうです。いろいろな記事で語られる、視覚障がい者だけの点字と目が見える人だけの墨字を繋ぐコミュニケーションの架け橋になればという想いを聞くと胸が熱くなります。
(画像はsoarより)
渋谷ヒカリエや神戸アイセンターでのイベントや渋谷区役所新庁舎などで実際に使われているそうです。
(画像はSankeiBizより)
その高橋さんの発明までの経緯やその想いは、こちらのsoarやWIREDなどでのインタビュー記事に掲載されています(参考にしたサイトにも掲載しています)。現在も視覚的にも触覚的にも読みやすいようにブラッシュアップされ、掌で読む壁面デザインも試行されているそうです。
(画像はキャリアハックより)
個人的には点字が目でも読めるようになると、いろいろな人がここに点字があるよと伝えてくれるようになることはとてもメリットがあることだと思います。点字は触って読む文字なので、場所を知っていたり、触って発見しない限りはそこに存在しないのと同じになってしまいます(なので駅改札口やトイレ前で「こちらに点字案内板があります〜」と音声が流れているのです)。今まで見過ごされていた点字を周りの人が繋ぐこともできると考えるとワクワクしてきませんか。
点字にフォントという概念を与える「kataru braille」
点字を点字盤や点字タイプライターを使って打つ場合は、キレイで読みやすい点字と読みにくい点字(凸の部分が薄い、紙が破れすぎてているなど)の区別はありました。
しかし、点字にフォントはなく、基本的に同じ点が打たれるだけでした。そんなときに、Twitter上で点字に質感を与える実験作品を見かけました。
いしいれおさん(@ishii_reo)が発明し、東京TDC賞2021に入選されたkataru brailleというものです。
(画像はTwitter@ishii_reoより)
これは点字の表面にウニのようなチクチクや岩のようなゴツゴツ、テトラポットのような突起といった異なる質感を与えることで、墨字のフォントのような形状や人それぞれの声色のような多様な表情を与えられないかというものです。例えば小説などで語り手が変わるシーンで効果的に使えるのではないかと考えられています。
もちろん触ったことはないのですが、その触感がどんな感じなのだろうとすごく気になります。ぜひぜひ、実物を触ってみたいものです。
まとめ
Braille Neue(ブレイルノイエ)とkataru brailleの紹介いかがでしたか?実は僕自身はどちらも実物を触ったことがなく、ネット上での知識だけで紹介しているのは恐縮ですが…。
もちろん点字は視覚障がいの方が読む文字で、読みやすさが大前提となるのでしょうが、それでも、こんな点字の新しい可能性にはワクワクしますし、これを機により多くの方が点字に興味を持ってくれたらいいなぁと思います。また続報があれば追加していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
参考にしたサイト
①soar 目でも指でも読める点字”を知ってますか?「Braille Neue」が目指すユニバーサルな社会
②WIRED 目が見える人も、見えない人も。新しい点字で「2つの世界」をつなぐ
④キャリアハック 高橋鴻介|点字を再発明。目が見える人も見えない人も、同じ文字で繋がる社会へ
表紙の画像は富山市ボランティアセンターホームページより引用しました。