体験記事「神戸アイセンター ビジョンパーク」
先日、神戸アイセンター ビジョンパークを訪問しました。場所は神戸三ノ宮駅から出ているポートライナーの医療センター駅を降りてすぐのところです。通算3回目ということで、紹介の記事を書いてみました。
神戸アイセンターは、世界初の、研究と臨床とロービジョンケア/社会復帰支援の3つが一体になった施設です。
研究は、髙橋政代さんで知られる理化学研究所 生命機能科学センター 網膜再生医療研究開発プロジェクトで、iPS細胞による網膜再生などの研究が進められています。
臨床は、神戸市立医療センター中央市民病院と先端医療センター病院の眼科機能を集約・拡充した、神戸アイセンター病院で行われています。
そして、ロービジョンケア/社会復帰支援を行うのがビジョンパークです。アイセンターの2階、神戸アイセンター病院の受付と同じ階にあって、誰でも気軽に立ち寄れる場所になっています。
ビジョンパークはNEXT VISIONが運営されています。研究・治療・ロービジョンケア・リハビリ・社会復帰を繋ぐことによって視覚障害者の社会復帰を進めるために、イベント ロービジョンの集いや相談支援、研修会、i see!(アイシー)運動などに取り組まれています。
と、固い話はこのくらいにして、ここからはビジョンパークの魅力を紹介していきます。
1 たくさんの本
ビジョンパークにはいたるところに本がたくさん置いてあります。まるで本屋さんみたいです。彩りにあふれる図鑑や飛び出す絵本、興味を引くサブカル系の本は見ているだけでワクワクしてきて、思わず手に取ってしまいます。
写真を見てもワクワクしてきます。そして、点字の本はほとんどありません。これは、視覚障がいの方だけでなく、誰もが楽しい本を共有してほしい、面白い本があるなら見える人が読んで面白さを共有してほしいという思いからだそうです。また後述の機器を使えば、全盲の方も本の文字を読み上げる体験ができますよ。
2 あえてある段差やスロープ
館内は神戸アイセンター病院と同じフロアにあるのですが、あえて段差やスロープなどのバリアを設置しています。また白杖の無料貸し出しもあって(スワロフスキーなどでデコレーションしたデコ白杖もあります)、白杖の便利さを体感してもらうねらいもあります。見えている青眼者の方がよくこけるそうですが笑
3 機器の展示、体験
据え置き型や携帯型の拡大読書器、ルーペ、コインケース、触読式や音声式・振動式などの腕時計、サインガイドなどが展示してあります。
また情報マスターの和吉(わきち)さんが最新の機器を紹介してくれます。
①スマートスピーカー
GoogleやLINEのスマートスピーカーも体験できます。「OK Google、◯◯について調べて」と聞けば、ウィキペディアから調べた情報を音声で教えてくれます。天気や気温、目的地までのルートや所要時間なども音声のやり取りだけで教えてくれるので、スマホやPCなどの操作が難しい方も簡単に使えます。
(画像はビックカメラより)
②HOYA 暗視支援眼鏡
眼鏡型の機器で、カメラの画像を目の前のディスプレイに投影する事で、暗い場所でも夜盲の方が明るくはっきりと見えるようになります。実際に暗所で体験することもできます。詳細はこちらのページから。
(画像はHOYAより)
③OTON GLASS
こちらも眼鏡型の機器です。眼鏡のサイドにあるボタンを押すことで、カメラに映っている文字を認識して読み上げてくれます。目の見えない人でも墨字(通常の文字のこと)の本が読めるようになるのです。ちなみにOTON(オトン)という名前には、開発された方の父親が脳梗塞で文字が認識できなくなってしまい、その父親(おとん)にまた読書をしてほしいという思いから開発された経緯があります。
(画像はGoodMorniogより)
2019年春からJINSから資金調達し、新しいモデルの量産体制に入っているそうです。詳細はこちらのページから。
(画像はOTON GLASSより)
④オーカムマイアイ2
百円ライターほどの大きさの機器で眼鏡のツルにつけて使用します。ジェスチャーやボタンを押すことでカメラが認識した文書の読み上げや顔の認識(性別なども教えてくれます。登録しておくと◯◯さんと近づいた人の名前を教えてくれます)、製品の識別、現在時刻などを音声で教えてくれます。またオーカムマイアイはW ifi接続不要です。詳細はこちらのページから。
(画像はシステムギアビジョンより)
⑤音声調理器
IHや音声機能付きの炊飯器や電子レンジを備えたキッチンスペースもあり、調理体験などもできるようです。
4 アクティブ体験
アクティブゾーンではボルダリングなどの体験もできますよ。
①ボルダリング
みちびきクライミングウォールというボルダリングスペースがあります。このボルダリングは水・金・土に開催され、NPO法人モンキーマジックが運営しています。モンキーマジックは、視覚障がいのボルダリング ワールドチャンピオンシップ優勝者の小林幸一郎さんが代表を務める、視覚障がい者も晴眼者も一緒にボルダリングをしようと普及されている団体です。
80度からこちらに反り立つ120度までの6つの壁があり、見やすいよう光るホールドも付いています。
言葉だけで「二時の方向にとってのような形のホールドを持って!」などとっさに指示するのはすごく難しいですが、子どもたちは夢中で取り組んでいました。
②運転シミュレーター
信号や道から出てくる車のタイミングを見て、アクセル、ブレーキを踏む運転シミュレーターがあります。が、サイドから突然車が飛び出してくる鬼仕様でした笑
5 相談支援
様々な施設や段階が日替わりで来られていて、話を聞いたり相談したりできるのもおススメポイントです。
教育では、神戸市立盲学校と兵庫県立視覚特別支援学校が隔週で出張相談支援に来られています。
生活や就労相談では、神戸アイライト協会や兵庫県視覚障害者福祉協会、JRPS 日本網膜色素変性症協会、日本ライトハウス情報文化センター、神戸市立点字図書館、国立神戸視力障害センター、アイ・コラボレーション神戸、MDSiサポート、きんきビジョンサポート、堺市立健康福祉プラザ、兵庫盲ろう者友の会、障害者就労移行支援事業所サンヴィレッジ、きららなど本当に多くの施設や団体が、日替わりで来られて相談、サピエ図書館や機器の体験などをされています。
またチャリティコンサートやミニ落語会、就労支援フォーラム、体幹トレーニング、ヨガ、ロービジョンの集いなどのイベントも開催されています。
まとめ
さてさてどうでしたか。フラッと立ち寄りたくなったでしょうか。訪問するのに予約はいりません。みなさんもぜひぜひ神戸アイセンター ビジョンパークを訪ねてみてください。
また視覚障がいの方のお手伝いをしたときにサンキューカードをもらえることがあります。
(画像はNEXT VISIONより)
10枚集めるといいものがもらえるみたいです。まるで笑点の座布団だ。アイセンターの近辺が狙い目かもしれません笑。詳しくはこちらから。
最後に購入したi see!運動ピンバッチの写真を貼っておきます。
表紙の画像はNEXT VISIONより引用したisee!運動(アイシー運動)のマークです。