音でわかる工夫 まとめ
視覚に障がいのある方は、僕たちが普段聴き流してる耳からの情報を手がかりに生活されています。今回はそんな音による工夫を紹介していきます。随時更新中です。
視覚障がい者向けに作られた音のあるの商品もたくさんあります。それらについては、別の記事「見えにくい人のための便利グッズその1」や日本点字図書館わくわく用具ショップなどに掲載されています。
また視覚障がいの方の生活を考えるのには別の記事「触ってわかる工夫」や「見えにくい人が見えるようにする工夫」も参考にしてみてください。
音サイン
音サインはその名前の通り、音が視覚障がいの方が移動する際の印(サイン)となるものです。ここでは、音サインと言葉で案内や説明をする音声ガイダンスとは区別して掲載しています。
1.音響式信号機(音の出る信号機・視覚障がい者用信号機)
音響式信号機は、信号機が青になったことを視覚障害者に知らせるために、誘導音を出す装置がついている信号機です。盲学校や福祉施設・公共施設周辺を中心に設置が進められています。
音は「とおりゃんせ」などのメロディ式と「ピヨピヨ」「カッコー」の擬音式とがあります。
また押しボタンを押さないとならないものと自動で音が鳴るもの(ほとんど8時から20時まで)があります。押しボタンの位置を伝えるためのブーブーという音が鳴るものもありますが、見えない人にとっては位置がわからず困ってしまうこともあります。
(画像はHIROMI TRAVELより)
この信号機の音響や青信号の時間延長を押しボタンを押さずに押さずに作動できる小型の送受信機がシグナルエイドです(後で紹介します)。
(画像はEXEOTECHより)
ピヨピヨとカッコーの位置関係はそれぞれの地域によって異なり、東西と南北で分かれる場合もあれば、幅の広い道路と幅の狭い道路で分けている場合などがあります。
(画像は大阪府警より)
この音の出る信号機をもっと設置しようと行われているのが、ラジオ・チャリティ・ミュージックソンです。12月24日から12月25日まで24時間のラジオ放送を中心に募金活動が行われています。
(画像は第45回ラジオ・チャリティ・ミュージックソンより)
2.駅構内など建物内での音サイン
地下鉄などで駅への地上入り口では、「チュンチュン」や「ホーホケキョ」など小鳥の鳴き声が鳴っています。これは鳥が鳴いている=外を表しています。
また改札口や階段では、ピーン・ポーンという音が鳴っています。
トイレの入り口では、水洗トイレ。イメージしたジャーと水の流れる音が鳴っています。男性トイレと女性トイレの方角やトイレ内の配置を教えてくれる音声案内もありますね。
(画像はNikkei Styleより)
建物の入り口や駅構内に設置されるこれらの音サインは盲導鈴(もうどうれい、誘導鈴や誘導チャイムとも)とも呼ばれます。
ただこれらの音サインは視覚障がいの方のにも、そこまで認知されていないようで、音サインと知らずにスルーされていることも多いようです。
3.電車の接近・発車メロディ
駅ホームで電車を待っているときに注意深く聞いてみると、鉄道会社によっては、上りと下りの電車の接近メロディが違うことに気づくかもしれません。僕も初めは認識していませんでしたが、全盲の先輩に言われると確かに違うのです。場所によってはアナウンスの声が上りと下りで男女別になっているところもあるそうです。
これを覚えてからは、最寄駅に電車が到着しそうなときに走るべきかどうかを耳で判断できるようになりました笑
例えば、京阪電車では、発車メロディは「上り(京都方面ゆき)」と「下り(大阪方面ゆき)」で区別されています。また大阪メトロの音を集めた、こんなホームページもありました。上りと下りの音の違いがよくわかります。
JRの山手線や大阪環状線などのように、ご当地メロディと呼ばれる、駅ごとに発車メロディが決まっているところもあります。僕も酔っ払って寝過ごしそうなときにハッと気付いて飛び降りたことがありますし、看板を探して駅名を確認しなくてもわかるので便利ですね。ただこのメロディ音で車内や駅構内のアナウンスが聞き取りにくいとの声もあるようです。
4.ドアチャイム・駅到着チャイム
車両ドアの位置を知らせる音サインもあります。鉄道会社によって音が違いますね。
新幹線の停車駅が近づいた音サインは聞き覚えのある人も多いかもしれません。途中停車と始発駅、終着駅では音が違うんですよ。
車内の到着音は終点の駅だと音が異なるものもあります。
バス乗車口にも音声案内と音サインがあります。
またバス停について乗降するときにもブーという音が鳴っていますよね。
5.家電製品のボタン
家電製品のボタンには触って識別できる凸点や点字表記のあるものがありますが、電源ボタンなどを押すとスタート音(ピッ)や終了音(ピーッピーッ)が鳴り、作動したことなどを教えてくれます。冷蔵庫を開けっぱなしにしている時の「ビービーッ」という警告音もそうですよね。
(画像は記者撮影より)
また後述の音声ガイダンスのあるしゃべる家電もあります。
音声ガイダンス【音声で情報を得ることができるもの】
音サインだけでなく、録音メッセージなど音声による案内もあります。
1.点字案内板
駅構内や建物の入り口、トイレの入り口前で「こちらに点字案内板があります」という音声ガイダンスを耳にすることがありませんか。
(画像はまどか株式会社より)
全盲の方の場合、点字案内板や点字の地図などがあっても、どこにあるのか知らなかったり、触れない限りは気づかず無いのと同じになります。このような音声案内や音源があると、どこにあるのかがわかり初めてのところでも触って情報を得ることができるようになるのです。
2.シグナルエイド・メロガイドホーム
シグナルエイドは自分の意志で操作する事により音響・音声案内を受けられる小型送受信機です。事前情報提供エリアを受信する機能を備えていて、エリアを受信したとき、「ピッピッピッ」と本機からお知らせし、ボタンスイッチを押すと音声案内を受けられます。歩行時間延長信号機では、歩行者用の青色点灯時間を通常より長くしたり、信号機の操作ボタンを直接押すことなく、遠隔で操作ができます。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
メロガイドホームは、個人向けの自宅玄関用音声標識ガイド装置です。シグナルエイドに対応し、シグナルエイドのボタンを押すことでメロディを流すことができます。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
3.トイレ位置・トイレ内配置案内
最近では駅構内のトイレ前などに「ここにトイレがあります。向かって右側が男子トイレ、左側が女子トイレです」などの音声ガイダンスが流れているところがあります。
(画像は点字ブロック公式ウェブサイトより)
またイオンモールの身体障がい者用トイレでは、トイレ内の便座や手洗いなどの位置を音声で案内していました。後述のポッチなどトイレなどの配置音声ガイダンスをする装置もあります。
ウォシュレットや流すボタンなどのボタン位置案内を音声で案内するものもあります。例えウォシュレットの操作板に点字が付いていても、その操作板自体がどこにあるのかは、初めてのトイレだと聞くか触って確かめないとわからないのです。
トイレの流すボタンの位置やトイレットペーパーの位置なんかが全国共通のデザインになれば便利になりますね。
トイレに後から設置できる音声案内装置が「ポッチUD-W」です。広くてわかりにくい多目的トイレなどに設置してあると便利ですよね。
(画像はレハ・ヴィジョン株式会社より)
4.エレベーターやエスカレーターの上下や階数案内
「このエレベーターは上りです」「ピンポン、●階です」など、エレベーターやエスカレーターには、上りか下りかや階数を音声で案内してくれるものもあります(エスカレーターには逆方向に乗ろうとすると警告音が鳴るものもあります)。
(画像はマイナビニュースより)
エレベーターの操作板には点字表記のあるものもありますが、今何階にいるのかは点字でも音声でも案内のないものが多く、視覚障がいの方の場合、今何階にいて、目的の階に到着したのかどうかがわからず困ってしまうことがあります。音声で教えてくれると便利ですね。百貨店でもエレベーターの案内係の方は見かけなくなっていますし。
5.駅ホームのアナウンス
「まもなく●番線に●●方面快速●両編成が到着します」などアナウンスが流れていますね。電車や電光掲示板に表示されている電車の行き先や時刻が見えないとこのようなアナウンスが頼りになります(最近はスマホの乗り換え案内が便利になりました)。
しかし、事故などで電車が遅れた際には、電光掲示板や貼り紙による案内が多いのですが、視覚障がいの方はそれになかなか気づきません。遅延や振替代替輸送の案内などのアナウンスはザワザワしていて聴きづらく、困ってしまうことも少なくないのです。
6.車内のアナウンス
電車内では行き先や次の駅、ホームの位置などの音声案内が流れていますよね。
バス車内でも行き先や停留所の音声案内が流れています(運転手さんによっては聞き取りにくいアナウンスもあったりしますが…)。
7.券売機の音声案内
駅の券売機にテンキーが付いていたり、券売機の横に点字付き料金表が掲示してあるのをみたことはありませんか。
どちらも視覚障がいの方を対象にしたもので、鉄道会社によって異なりますが、券売機のテンキーを押すと音声操作モードになり、音声案内にしたがって切符を購入できるようになります。
(画像はJR東日本より)
オペレーターと対話で話ができる券売機も開発されているようです。
8.ATMの音声ガイダンス
ゆうちょ銀行やセブン銀行などのATMにはインターホンによる音声案内があり、テンキーやボタンを使用して操作できるようになります。点字表記のあるATMも多いですね。
特にセブン銀行は全てのATMにインターホンがついていて、このインターホンのボタン操作で引き出し、預入れ、残高照会をすることができます。実際に視覚障がいの方の意見を聞いて開発されたそうです。
(画像はえりのブログより)
ちなみにゆうちょ銀行には電話やFAXで残高照会や振替などができるゆうちょダイレクトがあります。
9.白杖使用者向け音声誘導システム
TOA株式会社が開発したカメラで撮影した画像から白杖を認識し、自動的に音声案内放送を流す装置です。例えば、段差の前で「前方に下りの段差があります」のようにアナウンスし、場所ごとに応じた案内を行うことで、白杖を使用している視覚障害者の方を支援します。また、専用の白杖ではなく、普段使用している白杖を認識することができます。
(画像はTOA株式会社より)
10.ブロックボイス
日本道路株式会社が開発した、感圧センサの付いた点字ブロック(警告ブロック)の上に人が乗ると、ブロック近傍のスピーカーから案内音声が流れる仕組みです。
スマートフォンなどの機器は必要なく、シンプルなシステムなのでメンテナンスの負担も大きくありません。
(画像は音声案内システムの案内所より)
11.テレビ、ラジオ、映画、演劇、博物館
視覚障がいの方もテレビやラジオから情報を得ています。最近はテレビの副音声で状況の解説を聞くことも一般的になりました。テレビが聞けるラジオもあります(緊急地震速報を受信できます)。
ラジオは音声のみの情報なので、説明も具体的で、何がなんだかわからないことは少なくなります。アプリradikoやNHKラジオ らじるらじるを使用してスマホやタブレットでラジオを聴いている方もいます。
映画でも音声ガイドや副音声で解説が聞けるアプリUD Castがあるほか、音声ガイドによる解説のあるバリアフリー映画もあります。また音やセリフに加えて、登場人物の動きや場面の状況などを説明した音声ガイドのあるシネマ・デイジー(映像はありません)を日本ライトハウス情報文化センターや日本点字図書館で貸し出しされています。
バリアフリー演劇といって、舞台や役者の様子を音声で解説するものや、絵画の情報だけでなく、その様子を解説する音声ガイダンスなどもあります。
12.しゃべる家電
各メーカーでいくつかのしゃべる家電があります。また後述のスマートスピーカーによって音声で操作可能なIOTの家電も増えています。
①三菱電機のらく楽アシストシリーズ
しゃべる録画テレビ「REAL」は、初期設定や番組表、録画リスト、検索ワード、操作メニューを読み上げて くれます。
IHクッキングヒーター「びっくりリングIH」は、音声ガイドがついています。
IHジャー炊飯器 蒸気レスIHは、音声ナビがついています。
レンジグリル(オーブンレンジ)ZITANG(ジタング)RG-HS1には、音声ナビがついています。
別の記事「見えにくい人のための便利グッズその2」にて詳細を掲載しているものもあります。
(画像は三菱電機より)
②SHARPのしゃべる家電
SHARPの製品も音声ガイダンスがついたものがありますが、ネットで妙に人間臭いという記事を見かけたことがあります。加湿空気清浄機KI-FX75-Tは「お部屋の空気がキレイですね~、念のため空気を循環しますね」「空気の汚れ、見つけました。急いでキレイにするね」などと喋るそうです。他にも洗濯機やロボット掃除機も喋るようです。
③音声付き体温計、体重計、血圧計
音声機能付きの体温計、体重計(秘密を漏らさないためのイヤホン機能付き)、血圧計があります。どれも日常生活用具の対象になっています。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
詳細はこちらの別記事「見えにくい人のための便利グッズ その3」を参照してください。
またWeekly Inclusive Designさんのこちらのブログでも音声ガイドのある家電をまとめられています。
13.おもちゃ、ゲーム
音声で遊べるおもちゃやゲームもあります。詳細は別の記事「見えにくい子も遊べるおもちゃ・ゲーム まとめ」を参照してください。
情報を音や音声に変換する道具
1.光の明暗を音に変換する
①デジタル感光器 model09
光の明るさをピーという音の高低で表す理科教材です。視覚障害のある生徒が自ら実験に参加し、自分の耳で科学現象をとらえ、理解することができます。
この感光器のように使えるアプリもあります。詳細は別の記事「見えにくい人のための便利グッズその1」に掲載しています。
(画像は東京ヘレンケラー協会盲人用具センターより)
2.色を音声に変換する
①音声色彩判別装置 カラリーノ
知りたい物にセンサー部を当て、色彩判別ボタンを押すと女性の声で色を教えてくれます。150以上の色合いの違いを識別します。「黒」、「赤」など色名だけでなく、「暗い青」や「とても薄い灰色がかったオレンジ色」などの表現もあります。
この色彩判別装置のように使えるアプリもあります。別の記事「見えにくい人のための便利グッズその1」に掲載しています。
光源検知ボタンを押しながら、カラリーノを様々な方向へ向けるか、光源があると予想される方向へ向けると、光源の位置が測定されます。その後発信される電子音の高低によって、光源の強いあるいは近くにあるがわかります。低いほど弱いあるいは遠くにあります。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
3.文字を音声に変換する
①活字文書読み上げ装置&音声コード(SPコード)
活字文書読み上げ装置「テルミー」は、文書の内容を格納した音声コードを読み上げる機器のことです。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
音声コードとは、印刷物に掲載された文字情報を約2cm四方の二次元コードに変換したもので、専用の読み取り装置やスマホアプリ「Uni-Voice」によって読み取り、記録された情報を音声で聴くことができるものです。
(画像は関東図書株式会社より)
文書類だけでなく、長崎県のホテルでは盲学校と協力して、レトルトカレーに、温め方なとのガイダンスをUni-voiceで付ける取り組みをされているそうです。
(画像はNHK WEB NEWSより)
②音声読書器
通常の文字(墨字)で書かれた文書や書籍をカメラなどで認識し読み上げる装置です。スキャナータイプのもの、パソコンと一体型のもの、小型で持ち運びが容易なもの、拡大読書器(画面を拡大や白黒反転など補正して見れる機器)と複合したものなど、いくつかの種類があります。類似のアプリもあります。
(画像は日本ライトハウス 情報文化センターより)
③眼鏡型デバイス
オーカムマイアイ2は、活字読み上げだけでなく、時計を見る仕草をすると時刻を教えてくれる、人の外見の情報(おおよその年齢や男女など)や登録すると名前も教えてくれるなど多くの機能が搭載されている眼鏡型のデバイスです。
(画像はORCAMより)
オトングラス(OTON GLASS)やエンジェルアイスマートリーダーという類似の活字読み上げデバイスもあります。
(画像はTechWaveより)
(画像はKOSUGEより)
また後で紹介するアプリ「Envision AI」と連携して使用する視覚障害者向け高性能ウェアラブル端末の「エンビジョングラス」もあります。
(画像はEXTRAより)
4.データを音声に変換する
①パソコン
PC-TalkerやNVDA(NonVisual Desktop Accessという無料ソフト)などの音声読み上げソフト(スクリーンリーダーソフト)を使用することで、表示されるテキストを読み上げて使用することができます。MicrosoftのWordの読み上げに対応したWordTalkerなんてものもあります。
またWindowsにはナレーター機能が、Macには後述のiPhoneやiPadと同じVoiceOver機能があります。
②スマートフォン、タブレット
iOS端末のiPhoneやiPadでは、VoiceOverという読み上げ機能があります。またAndroid端末では、TalkBackスクリーンリーダーという読み上げ機能があります。
(画像はiPhone修理+DotFixより)
音声読み上げに対応した便利なアプリも沢山あります。
Uni-Voice for UDが提供する、ニュースやテレビ・ラジオなどの音声読み上げ形式の「読み上げるホームページ」に対応したWEBサイトを集めたサイトもあります。
③スマートスピーカー
CMでもお馴染みのスマートスピーカー。ニュースや天気などの検索、音楽再生、アラーム、スケジュール設定、家電操作などを「hey!Siriー」などの音声で行えます。
(画像はMOOVOO快適な暮らしより)
Amazon Eco、Google Home、LINE Clove、ロボホンなどがあり、それぞれアマゾンプライム対応、サウンドやLINEメッセージや通話など特徴があります。
④音声アシスタント
iPhoneやiPadのSiri(シリ)、Amazon EchoのAlexa(アレクサ)、GoogleのGoogleアシスタント、docomoのしゃべってコンシェルなど、スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーを音声で操作する際に活躍してくれる人工知能です。Siriに何度も「話しして」とお願いした方も多いはず笑
(画像はferretマーケターのよりどころより)
スマホやスマートスピーカーによるいろいろな可能性も広がります。
例えば、米国の有名水栓メーカー・MOEN(モーエン)の発表したスマート蛇口「U by Moen Smart Faucet」は、AmazonアレクサやGoogleアシスタントと連動し、音声コマンドで正確な温度と量の水を出してくれるそうです。
(画像はTEACHABLEより)
5.画面の情報を音声で説明する
①テレビの音声解説(音声ガイド、副音声)
視覚に障がいがある人がテレビや映画を見るとき、主音声だけではわかりにくい人物の動作や情景などを声で伝えるのが、「音声解説」です。音声解説では、人物の動きや情景の変化だけでなく、字幕やテロップを読み上げることもあります。
(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)
解説放送付きの番組を視聴している時にテレビの音声を「副音声」にすると利用できます。通常、テレビのリモコンの「音声切替」ボタンを使って、「副音声」に切り替えます。
(画像は日本民間放送連盟より)
②映画の音声ガイド
音声ガイドと日本語字幕のついた映画は2016年には7作だけでしたが、2017年には60作に、
映画館でダウンロードした音声ガイドを使用できる、「UDCast」や「HELLO! MOVIE」といったアプリがあります。
また東京田端にあるユニバーサルシアター、シネマ・チュプキ・タバタでは、音声ガイドを体験できるようです。
(画像はFILMAGAより)
6.デイジー図書
デイジー(DAISY)とは、「Digital Accessible Information SYstem」(アクセシブルな情報システム)の略で、視覚障がい者の読書のために開発された、世界50か国以上で採用されている国際標準規格です。多くの視覚障がいの方がデイジーによる読書を楽しんでいます。
デイジー図書の特徴のひとつは、特別なファイル圧縮方法を用いているということです。圧縮率にもよりますが、1枚のCDに50時間以上も録音することができます。目次から読みたい章や節、あるいは注のような任意のページ・場所に自在に飛べるという機能もあります。これらの機能がついた「音声デイジー」は録音図書として、点字図書館などで貸し出しされている他、インターネット上のサピエ図書館からデータをダウンロードすることも可能です。
また表題や見出しの階層構造だけでなく、完全なテキストも収め、さらに音声とテキスト、図表などをシンクロ(同期)させた「マルチメディアデイジー」もあります。ロービジョン(弱視)の方だけでなく、ディスレクシア(識字障がい)など発達障がいの方も利用されています。
(画像はDINF障害保健福祉研究情報システムより)
通常の教科書では読むことが困難な児童、生徒はマルチメディアデイジー教科書を利用することができます。申請は、保護者、担任、通級指導担当、校長、教育委員会、支援者、本人でも行うことができます。詳細は(公財)日本障害者リハビリテーション協会ホームページを参照してください。
それ以外に映画の音声に加えて、音声ガイドで場面や状況の解説をしている「シネマデイジー」もあります。
①録音再生機
シナノケンシのプレックトークポータプルレコーダーPTR3は、デイジー図書の再生、録音、編集が可能な機器です。
(画像はシナノケンシより)
携帯型のプレックストークリンクポケットもあります。
(画像はシナノケンシより)
日常生活用具の給付対象になっています。また視覚障がい関係施設や点字図書館などで体験や貸し出しをしているところもあるので、購入を検討される方は尋ねてみてはどうでしょうか。
②アプリ
スマートフォンやタブレット、パソコンでもデイジーやマルチメディアデイジーを利用できるアプリがあります。
ボイス オブ デイジー 5はDAISY再生アプリで、サピエ図書館から直接データをダウンロードできます。
いーリーダーは読むことに困難のある子ども達を支援するタブレット向けDAISY再生アプリです。iPad専用アプリです。
(画像はシナノケンシより)
7.カメラに映ったものを音声で伝える
①リモートアシスト
眼鏡やヘルメットにも取り付けられるカメラに映った映像を通してオペレーターとの会話で日常の困りごとを解決する月額制のサービスです。
(画像はリモートアシストより)
②アプリ Be My Eyes - Helping blind see
スマホのカメラを使って、視覚障がいの方が困ったときに、登録したボランティアが眼の代わりになってサポートするというアプリです。詳細は別の記事「体験記事「アプリ Be My Eyes - Helping blind see」」を参照してください。
③アイコサポート
スマホのアプリの位置情報とカメラの画像を通して、オペレーターが道案内や並ぶ列、書類、身だしなみや自販機の商品などを確認して音声で伝えてくれる月額制のアプリです。
それ以外にも、精度にまだまだ課題はありますがカメラで写したものが何かを音声で教えてくれるアプリもいくつかあります。
8.その他(量や長さや重さや時間などを音声に変換する)
① みずいろクリップ
様々な容器に簡単に取付けるコトができ、熱いお湯や冷たい水、調味料などの液体の注量を知ることができる機能(6分間までのタイマー機能付き) + 先端を色が知りたい対象物に押し当てるコトによって、明るい暗いなどの環境下を問わず、正確に色を判別し通知する機能を1本にまとめた 視覚に障がいがある方用のデバイスです。
(画像は株式会社Raise the Flag.より)
②液体プルーブ
コップの縁にかけるようにセットして、容器内の液面の高さを、音によって知らせる道具です。
縁から3.5cmの深さで液体に触れたときにピピピピピと、縁から2.5cmの深さで触れたときに連続したピーという電子音がするので、入れすぎてこぼれるのを防げます。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
類似品にアメディアの「こぼれず注げる!液体どこまで」があります。
③音声キッチン秤
音声で重さを教えてくれる秤です。いくつか種類があります。詳細は別の記事「見えにくい人のための便利グッズ その2」を参照ください。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
④音声時計
ボタンを押すと音声で現在時刻を教えてくれる腕時計があります。種類もいくつかあります。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
腕時計以外にも置き時計式のものやキーホルダー、音声式のカウントダウンタイマーなどもあります。詳細は別の記事「見えにくい人のための便利グッズその1」を参照してください。
⑤音声電卓(イヤホン付き)
20センチ四方ほどの大きさで、10ケタ表示の音声電卓です。加減乗除とパーセント計算ができます。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
⑥音声方位磁石
ボタンを押すと、今自分の向いている8方位(東西南北の4方位と、北東、南東、南西、北西の合わせて8つの方位)を音声で教えてくれます。類似のアプリもあります。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
⑦音声メジャー
音声で長さを読み上げてくれるメジャーです。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
⑧キーファインダー、ICタグ
カーファインダーは、リモコンのボタンを押すと対応した子機から「ピピピ」という電子音が鳴り、探し物の場所を知ることができるものです。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
スマホとBluetoothで接続して探せるICタグもタイプもあります。
⑨ICタグレコーダー
本体はペン型で、付属のドット付き音声シールにメッセージを録音することができます。他にも類似のアプリ、ToT: Tag of Things ものタグもあります。
(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)
(画像はフロッグワークスの『かえるショップ』より)
⑩紙幣識別機
触ってすぐには判別しにくい、千円札、五千円札、一万円札を識別し、合計金額も教えてくれます。類似の商品やアプリもあります。詳細は別の記事「見えにくい人のための便利グッズ その2」を参照ください。
(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)
音の違いが情報になる工夫
①スギ材歩道
九州大の樋口明彦准教授(景観学)らのグループが開発に取り組んでいるもので、視覚障がい者が誤って車道に出るのを防ぐねらいがあります。
白杖でたたいた時にアスファルトの「カチカチ」とは異なる「トントン」という木琴のような音がが響くことで、区別できる仕組みです。
(画像は読売新聞より)
②車両接近通報装置
ハイブリッド車は、低速での走行時はエンジンが回転しないことが多く、走行音が静かであるため、歩行者の方は車両が近づいていることに気がつけないことが多くあります。
そのため、2011年から、発進から約時速25kmの速度域と後退時、車両接近を知らせる為の音を出す装置が設置されています。車速が上がると、音階・音量が高く・大きくなります。
音を聞きやすくする工夫
①骨伝導イヤホン
最近はスマホのカメラに映った映像や地図情報を音声で伝えてくれる便利なアプリや道具がたくさん出てきました。しかし、車や電車、信号機メロディなど周囲の音を頼りに視覚障がいの方が移動されています。白杖歩行で両手を開けるためにイヤホンを着用すると、それらの周囲の音が聞き取りにくくなります。そこで骨伝導イヤホンを使用すると、耳を塞がないので周囲の音を聴きながら、必要な音声情報を聞き取れるようになります。
(画像は視覚障害者用機器販売のレッツより)
②サイレントアンブレラ
雨音は音を頼りにして移動する視覚障がいの方にとって困るものの1つです。そんな視覚障がいの方の声を受けて丸安洋傘が開発したのが雨の音が小さくなるサイレントアンブレラです。
(画像は丸安洋傘より)
まとめ
見えない人は視覚以外の耳や触覚や嗅覚や味覚から情報を得ていますとは良く聞きますし、自分もそう伝えるのですが、今回まとめてみて、耳から情報を得るための工夫は本当にたくさんあるなぁと再確認しました。というか、自分の知識が増えてきた成果?もあり、あれもこれも思いついてなかなかまとめられなかったです。
ちょっと趣旨は変わるかもしれませんが、こんな音を使った教材なんかもあります。今は検索すればいろんな動画が出てくるので便利になりましたね。
(画像は山川出版社より)
普段の生活の中で意識することはないかもしれませんが、実は見えない人をサポートする音や声の手がかりは沢山あります。それらに気づくことで、見えない人だけでなく聞こえない人、高齢者、海外出身の方などいろんな人がこの身近な世界にいることに気づいてもらえたらなぁ。そしていろんな人が暮らしやすい社会って何かなぁと考えるきっかけになればいいなと思います。
参考にしたサイト
表紙の画像はazukichi.netより引用しました。