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108人ときいて、何を連想しますか?の話
私はこれまでフス戦争の人物について調べて来ましたが、その人数が100名を超えてまいりました。
そろそろ一冊の本にまとめるための整理をする段階に入っております。
さて、その人数を数えていたとき、108名を数えた時点で
「あ、これは水滸伝の人数だわいな」
と思いました。
水滸伝とは、12世紀から14世紀の中国で成立した伝奇物語です。本編を読んだことはありませんが、名前とあらすじぐらいは知っていました。
悪政に苦しみ、住処を追われたりした108名の英雄が「梁山泊」という拠点に集まり、権力と戦う様を描いた物語のようです。
もともとは30名ほどの豪傑の物語だったそうですが、語り継がれるうちに108名まで増えたのだとか。
それをモチーフにした作品も多く派生し、「金瓶梅」や「岳飛伝」などがあります。
また、私の好きなゲームに「幻想水滸伝」というのがあり、そこにも108名の仲間が登場し、物語を紡いでいきます。
最近では「イラン水滸伝」という書籍も出版されているようですね。
書店で平積みになっているのを見ましたが、題名のインパクトが強かったです。内容は紀行文なのかな?
今はあまり興味がないジャンルですので、残念ですが放置します。
さてさて。
ではそもそも「水滸伝」という題名はどういう意味を持つのでしょうか?
調べるのが好きな私は早速調べました。
水滸とは「水辺、水のほとり」という意味で、直訳すると「水辺の物語」となります。
由来は、108名の英雄が集った要塞「梁山泊」が水辺にあったから、だそうです。
水辺の城に集った108名の英傑譚、といったニュアンスになるでしょうか。
で、頭のよろしい私は、水滸伝とボヘミア王国に通じるものはないか、記憶の引き出しを開けて確認いたしました。
ありました、ありました。
ボヘミアには「スラブ神話」というのがあります。
キリスト教以前に信仰されていた神や精霊などが、神話や伝説として語り継がれているんです。
その中に、水辺の精霊「ルサールカ」がいます。
それは美しい女性の姿をしており、死者の魂がルサールカになると言われています。
ルサールカは季節とともに住処を変える精霊で、春は川のほとりに居て、冬は川が凍るので木の上に暮らすそうです。
スラブ神話では、森や木の上は霊界に通じていると信じられておりました。ルサールカはまさに「死者の国」から現世に遊びに来た精霊、ということなのでしょうね。
ルサールカの語源は、スラブ民族の「ルサーキー」という祭事で、先祖の霊を祀る行事だったそうです。
もっと語源をさかのぼると、ラテン語で「Rusalii」と表記し、意味は「薔薇の祭り」なんですって。
川に薔薇の花を流し、先祖の魂を供養したというのがルサールカの由来になります。
なんて美しい祭りなんでしょう。
フス戦争とは600年前の出来事で、当然その時代の人々はすでに亡くなっています。
私のやっているのはそれらの人々へ向けた鎮魂という意味も含みますので、ルサーキーの祭事と似ているかもしれないな、と思いました。
ルサールカが、水辺で語る物語。
「ボヘミア水滸伝」
と名付けましょう。
水滸伝とフス戦争を、ルサールカという観点で繋ぐことができた、というお話でした。