こういう自己犠牲ものは好きではないけれど、そのことを話せるきっかけになる
たむらしげる『ロボットのくに SOS』読んだ。
91年に刊行された作品の再刊なのだそうだ。
TINTINのようにコマを読み進めていく、マンガのような絵本で、
素朴な絵柄は大人が読んでも美しい。
ただ、色々考えさせられる作品だったな。作品の役割をこどもにとって理想的なお手本となって欲しいもの、としてしまうと、本書はまったくそうじゃない。少なくともこの作品がではなく、この作品の中に出てくるいくつかの要素は嫌いだ。
例えば、古いものはダメ、新しいものが良いといった価値観は必ずしもそうじゃない。ロボットのくにを救って欲しいとやってきたゼンマイロボット5号と旅に出るのだが、ゼンマイ式の一番古いロボットだから他のロボからもバカにされてる、みたいな描写がある。(88コマ)
でも、結局発電所が故障して動けなくなってるのはゼンマイロボット5号をバカにしている奴等なんだぜ?おかしいだろ。
そしてロボットのくにを救うためにゼンマイロボット5号は自己犠牲するわけなのだけど、こういう安易な自己犠牲ってのも好きじゃない。大勢を救うために自分を犠牲にすることが美談、という価値観を当たり前のように思うのはおかしい。こういうの日本人は大好きだけど、少なくとも自分や家族が他人のために自己犠牲を強いられる世界にはなるべく住みたくない。
というわけで、ちょっと嫌だなと感じる論点がこの作品にはある。でもこれって、読んだ後こどもと話す親子読書には最高の作品なんじゃないかな。どう思った?ってポイントを提供してくれるから。正直つまらない作品て、読んでも別に話すことないんだよね。
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