のんびりする時間を意識的に作った方が良さそうだ。殺しの烙印と回転。 2020/04/09
木曜日である。少し寝坊したが朝イチの会議がない日だったのでたまにはのんびりとした朝を過ごすことも悪いことではあるまい。のんびりとした朝というとプレミアムな朝みたいな加山雄三のCMを思い出してしまう。プレミアムクラッカーのCMのはずで、youtube探したけどドンズバなものは見つからなかった残念。しかし意識的にのんびりした方が良い気がする。
今更ではあるのだが、twitterでお見かけする小泉進次郎語みたいな言い回しがずっと気になっている。「昼食はお昼に食べます」みたいな。同義反復をたくみに繰り返し上滑りし続ける言葉はとても気になるエクリチュールだ。直近のお気に入りは「昨晩のことは昨日のことのように鮮明に覚えています」というやつ。まるで不思議なのだが、僕も最近昨晩のことは昨日のことのように覚えている。そういう時代なのかもしれない。
カレー沢薫『クズより怖いものはない』を読了。世の中にはびこるステレオタイプ的なクズをピックアップして語る企画なのだが、こういうウケ狙いの企画は期待をどう乗り越えていくか、強すぎる言葉は悪趣味になるし結構難しいテーマだよなという気持ち。カレー沢薫は随時小ネタを挟みながらクズというテーマの周りをひらひらと舞おうとしているけれど、うまくいっているものもあればそうでないものもある。まぁ、世の中クズばかり(含む自分)であるのだけれど、要するに揶揄されるようなクズは総じて自覚がないということなのだろう。
「強がり」というのは往々にしてその「かわいげ」がない。
虎に食われかけているやつに手を差し伸べて「これは僕の想定内の展開なので、邪魔しないで欲しい」と前髪をかきあげながら言われたら、誰だってソースやケチャップを持ってきて、虎さんのお食事をサポートしてしまうだろう。
P.184
かわいげ、言うなればチャームなんだけど、結局こういう人間的な魅力がない人は限界あるんだよなってなことはビジネススクールの先生たちも言っていたことであり、あぁこういうことだよね、わかりますという感じ。まぁどうしようもない⋯⋯。
昼はパスタを作る。が、不評だった。美味しかったのにな。
散歩がてら注文していた本を引き取りにPebbles Booksへ。『読書の日記』で興味を持った本を数冊購入。引き続き読み進めており最初の年が終わった。小説のどこを抜き書きするかは本当にその人のセンスと、その時の色んな感性が入り混じるものだ。もっとも何を読んでいるか、の時点で多分にその影響を受けているのだけど。
夜は気分を変えようと映画を見ることにした。まずは鈴木清順『殺しの烙印』を。主人公が殺し屋なのでたくさん人が死ぬのだが、その死に方の1つ1つを味わう。宝石商が椅子の上で撃たれて椅子とともにクルクル回っているシーンが良い。しばらく回り続けるところ、そのリズムみたいなもんが良い。奥さんを殺すシーンで水が流れる便器と断末魔の女というカットもすごく清順らしいカット。そういえばこの便器の水も渦を巻いて流れている。椅子もクルクル回っている。くるくるクルクルくるクル⋯⋯
堤防みたいなところで待ち構えている組織の奴らと銃撃戦するシーンも高所から狙い撃ちしてくる敵を撃つと1人は倒れて落ちてくるのだが左のもう1人は落ちるかと思いきや縄が足に絡み宙吊りにされる。この宙吊りで死ぬのも妙に印象に残ったな。落ちる、と思ったら落ちないからね。でも落ちた人も落ちなかった人も落ちる過程で回転はしている。そういえば印象的な小道具である電話もダイアルを回転させるわけで⋯⋯。
おそらく20年弱ぶりの再見なのだけど、VHSのレンタルで学生時代に見た記憶なので今回Amazon Primeでの配信の画質の良さに腰を抜かした。殺しを失敗した直後の手前に宍戸錠、階段の途中に真里アンヌが、っていう構図も美しかったなぁ。モノクロの写真を撮りたくなる。
ちなみに鈴木清順はこの作品がきっかけで日活をクビになる。わけのわからない映画を撮るな、と社長が激怒したらしい。いやいや今となっては日本が世界に誇る異才ですぞ。
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