雪の中で心がぽっとあったかくなった話
きのうベルリンでは風が強く、吹雪の中を歩いていました。
通りかかった小さな本屋さんをのぞくと、一枚のポストカードに目が留まりました。
いわさきちひろさんの『赤い毛糸帽の女の子』のポストカードです!
思わず手に取ってレジに向かいました。
「こんばんは、このポストカードください!」
「彼女の絵、素敵よね。だいすきなの。」と、店員さん。
私は、嬉しくてわくわくしてしまって、
いわさきちひろさんと生まれた町がとても近くて、彼女のお母さんが私の母校の高校で教鞭を執っていたこともあって、とても親近感を持っていること、
小さい頃母親がいわさきちひろさんの挿絵の『あかいふうせん』という絵本を持っていて、その頃は彼女の絵がなんだかこわいと思っていたけど、大きくなるにつれてだいすきになっていったこと、
今いつ次に日本に帰れるか分からなくて少しホームシックになっていたこともあって、このポストカードを見つけてとっても嬉しかったことなど、
滝のように話してしまいました。
こんなに話せてしまったのは、その店員さんのあたたかい笑顔と相槌のおかげ。
すると店員さんも、
「去年本当は日本に行きたかったの。そしてこのポストカードが印刷された東京のちひろ美術館にも。残念だけど、今年か来年の楽しみにして待つしかないね。」と。
そこで私はまた、
「東京のちひろ美術館ももちろんいいけど、時間があれば、ぜひ長野の安曇野ちひろ美術館にも行ってみてください!美術館も、その周辺も、きっと気にいると思いますよ!」
それから絵本の話をしたり日本の旅行の話をしたり、すっかり長居してしまいました。
ほしかった絵本もこのあたたかい雰囲気のお店で注文できました。
少し遠いですが、届いた絵本を受け取りに行くのが今から楽しみです。
私は小さな本屋さんがだいすきで、家の近くにも何軒かお気に入りの本屋さんがあるのですが、また一軒、だいすきな本屋さんが増えました。
外に出るとまだ風が強く吹雪いていましたが、思いがけなく出会えたポストカードと気さくで優しい店員さんのおかげで、心がぽっと温かくなったのを感じました。