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子どもが作るまち 「ミニ・ミュンヘン」

ドイツ・バイエルン州のミュンヘンでは、2年に1回、「こどものまち」ミニ・ミュンヘンが開催されます。約3万人が参加する大イベントです。

「こどものまち」にもいろいろな形態があるようですが、ミニ・ミュンヘンは、今も続いているものの中では世界で一番歴史の長い「こどものまち」だそうです。
夏休み期間中の3週間、7歳から15歳まで誰でも無料で参加できます。

ミニ・ミュンヘンでは、市役所や裁判所やテレビ局や郵便局や銀行や飲食店や大学やゴミ収集システムなど、まちの生活に必要なあらゆるものがあり、また新しく作られ、その都度変化していきます。

子どもたちがアイデアを出し、問題解決をし、それぞれがやりたいこと、得意なことを仕事とし、(ミニ・ミュンヘンの)お金をもらって、自分たちのまちを作っていくのです。

ミニ・ミュンヘンでは、とにかく、子どもが主体。

「ミニ・ミュンヘン」という名前も、第1回開催時に子どもたちから出されたアイデアの中から選ばれて決まったそうです。


ミニ・ミュンヘンのそもそもの始まりは、1950年代〜1970年代、学校の枠組みを越えた美術教育への新しい考えを持った若い芸術教育者たちのグループによる活動にまで遡ります。

ミュンヘン市で世界文化展が行われた1972年、Pädagogische Aktion(教育的アクション)という芸術教育者たちのグループによって、子どもたちと段ボールで家を作るというイベントが行われました。
ここで子どもたちは、家を作るだけではなく、ガーデンやお店や郵便局、ホテル、飲食店などを作り、それぞれが作った家の中で遊ぶだけではなく、郵便を送ったり部屋を貸し借りしたり商売をしたりと、みるみるうちに「台本のないまちの生活」が始まったのです。

子どもたちのこの真剣な遊びに大人たちが魅了され可能性を見出し、ミニ・ミュンヘンの始まりに繋がったそうです。


ミュンヘンのオリンピック公園で行われ、1000人以上の子どもたちが集まり大盛況だった1979年の第1回ミニ・ミュンヘン。

第2回目の開催は、国際青年の年で特別資金が下りた1986年。

その次の年には予算が降りないと知った子どもたちは、ミュンヘン市議会に手書きを書き、実際に市庁舎へ出向き、その甲斐あって、その次の年の1986年と、それから先2年毎のミニ・ミュンヘンの開催が決まったそうです!

そうです、ミニ・ミュンヘンは、子どもたちが見せた子どもたちによるまちづくりの可能性に大人が魅了され始まり、子どもたちの熱意によって続行されることになったのです!

その後も、国際的な大きなイベントと重なったり使っていたホールが取り壊されたりしながらもその度に新しい場所を見つけ、予算が削減されそうになったときも、また子どもや若者たちが市議会やミュンヘン市長に手紙を書き直接話し、これまで2年毎に続けられてきました。

3週間の期間中に子どもたちは、自分たちの力で自分たちのまちを作りよりよいものにしていけること、自分たちで作り上げていく喜びや達成感、みんなで一緒に問題解決をする方法や働くということの楽しさなどを実体験を通して学んでいきます。

以前ミニ・ミュンヘン市民として参加していた子どもたちも、15歳を超えると、スタッフとして関わり続けることも多いそうです。

最近は、ミュンヘン市で政治家として活躍している当時のミニ・ミュンヘン市民もいるようです。



そんなミニミュンヘンも、第20回目で40周年の記念の年である2020年に、新コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれます。

こちらにコロナ禍でのミニ・ミュンヘンの様子を書いているので、よかったらぜひ読んでみてください。

ちなみに、ドイツの次に多くの「こどものまち」が開催されているのは日本!

ドイツ語ですが、ミニ・ミュンヘンのホームページで世界の「こどものまち」が記載されています。

研究されている方や「こどものまちを」計画・開催されている方など、日本からも毎回視察に来られているようです。

ミニ・ミュンヘン研究会があるようなので、ミニ・ミュンヘンについて詳しく知りたい方はこちらで読んでみてください。

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